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小ネタ2 TOPにもどる/小ネタTOPにもどる 前置き。 ご面倒でしょうが、とりあえずお読みくださいませ。 *以下の前文に少しでも引っかかった方は、お戻り下さい* 拙作『華燭』の後の話。 師匠の過去捏造エピソードをぶち込んでおります。 いつも以上に話の筋はありません。 私設定満載の上、えちぃ話でもございません。 ……よござんすか? ↓ ↓ ↓ ■灯明の陰 ──ぼっちゃんはここに隠れて。何があっても出て来ちゃいけない。いいですか、何があってもだ。 彼の言葉に頷き、物陰に隠れてじっと息を潜めていた。 争う声、剣を切り結ぶ音、くぐもった呻きと、倒れる音。 ──仕留めたか? ──ああ。一緒にいたガキは? ──逃げられた。確か息子がいるって話だったが。 ──そいつに関しては特に指示はされていない。行くぞ。 下町を見てみたいなどと言わなければ良かった。 傭兵は知らぬうちに敵を作っているものだと聞かされていたのに。 俺の武術指南役になったことで、金回りが良くなったと噂されていただろうに。 俺のせいだ。俺のせいで彼は……。 路地から男たちが去った後、息絶えたその体に近寄った。喉笛に正確な一太刀の傷。懐の財布には手も触れられていなかった。 ようやく気づいた。 彼を死なせたのは本当に俺だった。 俺が彼に懐いたばかりに、一族の者に煙たがられ、始末されたのだと。 目覚めると、冷たい汗をかいていた。震える指で傍らに眠る温かな体に触れた。穏やかな寝息。愛しい寝顔。 「そこに、いるのか?」 覚えのある気配を感じとり、部屋の隅の暗がりに声を掛けると、男が一人歩み出て跪く。 「こいつに手出ししたら、ただではおかない。一族の誰の命令だとしてもだ。誰かに命じられたなら、必ず俺の耳に入れろ」 「御意」 「異国人の稚児を囲う程度で、よもや叔父貴殿も文句はあるまい?」 「御意に……存じます」 眠る少年の頭を撫でる。 こいつが目覚めないということは、殺気がないということ。男の言葉に嘘はないのだろう。 男はあのときの刺客だった。数年かけて探し出し、倍の報酬で契約した。雇い主の情報を逐一こちらに知らせるようにと。 普段は従者に紛れて邸内に潜んでいる。 俺も隠れて震えているだけの子どもではない。 「もう良い。下がれ」 「は……」 戦争が終わり正式に当主となった今でも、俺に自由など無い。断つことのできない血の軛に縛られている。 身を屈め、あどけない寝顔に口づけた。 これは、俺自身のただ一つの望み。手に入れることのできた、ただ一つの宝。 「ジョルジュさん……?」 夢の中に届いたのか、寝言に俺の名を呼び微笑む口許。 吸い寄せられるように唇を重ねた。祈りの言葉のように繰り返し幾度も。
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