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小ネタ2 TOPにもどる/小ネタTOPにもどる 前置き。 面倒でしょうが、とりあえずお読みくださいませ。 *以下の前文に少しでも引っかかった方は、お戻り下さい* 義務教育を修了していない年齢の方。BLとか苦手な方。 呟く場所がベッドの上なだけで、内容は当サイトお馴染みの病みポエムです。 いつも以上に話の筋はありません。 ……よござんすか? ↓ ↓ ↓ ■病 昂奮が頂点を迎え、奥深くに熱を放つ。 刺激を受け収斂する器官に搾り取られるように精を出し尽くしてから、ゆっくりと身を離した。 仰向けになっている相手に覆い被さるように倒れ込むと、眠気さえ伴う深い充足感と多幸感に包まれる。 若い頃は、事が終わってしまえば早く一人になりたかった。頭の中が妙に冴えてしまい、どこか白けた気分になる。そのまま寝床を共にすることなど、思いもよらなかった。 年齢のせいだけではないだろう。相手が、こいつだからだ。 柔らかな髪を手櫛で梳きながら頬に口づけると、瞑っていた目をゆっくりと開き、恨みがましい視線をこちらに向ける。 「……今日は、しないって言ったのに……」 「物欲しそうな顔を見せたお前が悪い」 蕩けた顔で自ら求めてきたくせに。余裕をなくしていく俺を甘い声で煽り、己の乱れる様をこれでもかと見せつけて。 潤む瞳と、紅潮した頬、荒い呼吸に喘ぎながら俺の名を呼ぶ口許は───愉しげに笑っていた。 「あなたのせいですよ」 「ほう。こんないやらしい体にしたのは俺か」 「そうです。責任とって下さいね」 耳元で、そっとささやく。 「いつかぼくに飽きても、ときどきは抱いて下さい」 「……笑えない冗談だ」 身を起こして相手の腕を掴み、組み伏せた。正面から視線を合わせる。 「閨の相手を指図される謂れはない。例えお前だろうと」 俺は笑みをうかべていたはずだった。それでも声音に潜む感情に気づいたらしい。 「すみません……」 「何を謝る? 冗談のつもりだったんだろう?」 「余計な事を言って、ご機嫌を損ねてしまいました」 「俺の機嫌の問題ではない。お前は賢いのに、こういうことには頭が回らないんだな」 相手の腕を握る手に力が入る。 ふたり共に歩んでいこうという約束を、俺が違えると思っているのか。そんなに俺は信用ならないのか。 「部屋に閉じ込めて毎晩抱きつづければ、その疑念は払えるのか? それとも今ここで正気を失くすまで抱き潰せば、余計な事を考えなくなるのか?」 「どちらでもいいですよ。あなたがそれをお望みなら」 うっとりと夢みるような瞳と、落ち着いた声。口許には、先ほども見せた危うい笑みを浮かべていた。 俺の怒りに怯えているのだと思っていた。でも、震えているのはこちらの方だと気づく。そっと手を離し、顔を背けた。 「……望む訳が無いだろう? お前がお前でなくなってしまっては、意味がない」 「そうですか。残念です」 あっさりとした返答は、虚勢ではないようだ。そんな病んだ状況を願っているはずもないだろうに。 振り向くと、寝台に横たわる愛しい者は、ひどい有り様だった。身体中至る所に執着の痕をつけられ、顔にまで精を散らし、溢れる残滓は太股を伝っている。 すべて俺がしたことだ。 それでも罪悪感を上回る満足感と昂揚と、愛しさがわき上がる。 「そのままのお前が、俺には必要だ」 俺の言葉に瞳が揺れ、やがて静かに瞼が閉じられた。 「身に余るお言葉。……ですが、どうかこのままと言わず……湯を使わせて頂けませんか?」 再び開かれた瞳は危うさが消え、いつもの穏やかな光をたたえている。 「もちろんだ。恋人を湯殿までお連れしよう」 気怠げに寝台に横たわる身体をシーツでくるみ、そっと抱き上げた。 小柄だが大人の男。決して軽くはない。この歳になっても恥をかかずにいられるのは──もちろん、この時のためのものではないが──ひとえに日頃の鍛練の賜物だ。 俺の労苦を知ってか知らずか、くすくすと楽しそうに笑い、甘えるように頭を擦り寄せてくる。 童顔で小柄なこいつは、責任ある立場になってからはより一層、頼りない若輩に見られないようにと気を遣っている。いつも背筋を正し、穏やかに微笑み、口数は少なく、弓の技量をもってのみ多くを語る。 こんなふうに無邪気に振舞うのは、俺に対してだけだ。 ふと、俺たちは同じなのだと思った。 未だに俺がこいつに対して触れることが許されない無垢な少年の印象を抱いてしまうように、こいつにとっての俺は、手の届かない憧れの騎士のままなのか。 年を経て想いを遂げ、愛と欲が混ざり合った衝動に溺れるようになった今でも、互いを失うことに怯えている。 ようやく手に入れた、大事な宝を。 浴室に向かいながら、この不安すら愛しく思う自分に気づき、より重い病に罹っているのは俺の方なのだと理解した。 うつしてやりたい。 そう思い、抱き上げる腕に力をこめ、笑いをこぼす唇をふさいだ。
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