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小ネタ2 TOPにもどる/小ネタTOPにもどる 前置き。 面倒でしょうが、とりあえずお読みくださいませ。 *以下の前文に少しでも引っかかった方は、お戻り下さい* 義務教育を修了していない年齢の方。BLとか苦手な方。 呟く場所がベッドの上なだけで、内容は当サイトお馴染みのむずがゆい会話です。 いつも以上に話の筋はありません。 ……よござんすか? ↓ ↓ ↓ ■もう少しだけ 「こら、まだ寝るな」 「ん……もう少し……」 「湯を使うぞ」 未だ余韻に震える体を抱き上げようとすると、甘えるように胸元に擦り寄ってくる。 「もう少しだけ、こんなふうにしていたいんです……ね? いいでしょ?」 そう言いながら、俺の肩に残る古傷に幾度も口づけてくる。 こいつはやけにこの傷痕に執着を見せる。眼前で負傷させてしまったことを未だに悔いているらしい。痕は大きく残っているものの、日常生活に障りはない。これしきのことで関心を惹けるのなら安いものだ。 「……ぼくに、癒しの力があればいいのに」 ぽつりと呟く声音はどこか頼りなげで、出会ったばかりの、まだ幼さを残していた時分を思いおこさせる。離れ難くなり、腕に絡む手に引き寄せられるまま、寝台に腰かけた。 夢想めいた例え話は面白く、しどけなく甘える仕草は可愛いとしか思えない。他の奴にされても鬱陶しいとしか感じられないことが、昔からこいつだけは気に障らないのは不思議だ。 軽く抱き寄せて頬に触れたり手櫛で髪を梳いてやると、心地良さそうに目を細める。こいつの好む触れ方が、すっかり手に癖づいてしまった。こんな些細なことにすら、共に過ごしてきた年月を感じて、温かな気持ちになる。 「……そういえば、戦争の頃に司祭の真似事をしていたな」 「にわか司祭では、魔道書や杖の力の半分も引き出せませんでした。向き不向きもありますが、日々の積み重ねが大事なんでしょうね」 「積み重ね……か」 相手の白い腹にそっと手を当てた。 「これだけしていれば、いつかは子どもができるかもな」 にやりと笑ってそう言うと、顔を真っ赤にしてこちらを見た。熱を帯びた視線を逸らし、ためらいがちに囁く。 「この手に抱けたらいいのに、って思うことは……ありますよ。あなたによく似た、金髪の子どもを。たとえぼくと血のつながりがないとしても、誰より慈しんで大切にお育てします」 「俺は自分の分身なんざ見たくない」 「知っています。だから、ぼくを相手になさるんですよね」 今までにも冗談めかして幾度か繰り返されたやり取りだったが、小さく笑ったその顔は、どこか淋しげだった。 そんな顔をするな──無茶苦茶に抱いて、憂いなど忘れさせたくなる。 「事を成す秘訣を知っているか? 事が成るまで諦めないことだ」 「あ……だめ」 腹に当てていた手を下の方に滑らせると、ひくりと体を震わせた。素直な反応に、燠のように燻っていた欲望が再燃する。こちらの動きを制するように手が添えられているが、本気で嫌がっていないのは明らかだ。 「お前に似た子なら見てみたい」 「ぼくに、できるわけないでしょう」 「そうだな。ただの方便だ」 「……いじわる」 「そんなところも好きなんだろう?」 「……す……好き…です」 余裕のないところを狙いすまして、焦らしながら本音を聞き出すのが愉しい。 何を求めているのか、どうすれば悦ぶか、互いに知り尽くした体だ。それでも飽かず求め合うのは何故だろう。 「言ってくれないと分からない。どうしてほしい?」 本当は分かっている。言わせたいだけだ。こいつだって承知の上だろう。それでも、わがままを言っていいのだと安心したのか、絡められた指に力が入る。 「あなたをください……もっといっぱい……」 元来は人が子を生すための行為だ──俺たちがそれを模して睦み合ったところで何も得るものはないのだと、頭では分かっている。だが、体も魂もどうしようもなく餓えている。衝動に突き動かされ、互いを貪り合うしかない。理屈で考えるより前に欲しているものに、抗う術はない。 しなだれかかる体を支えてやると、こちらの頬に両手を添えて、軽く唇を合わせてきた。 「好き……大好きです……」 穏やかな口調、聞きなれた言葉にさえ、ざわりと心が騒ぐ。こんな感覚を抱くのは、こいつにだけだ。 間近に瞳を覗き、その奥の炎を確かめてから目を瞑るのは、口づけを求める合図。 冷めることを知らない熱情に支配され、唇を重ねる。繰り返し幾度も、次第に熱く深く。 胸の痛みが、愛おしさと快感で塗り潰されていく。逸る鼓動と呼吸がひとつに重なり、零れる声がどちらのものなのかも分からなくなる。 寝台に押し倒し、その瞳を覗きこんだ。 愛しい者は合意の証に一つ頷くと、こちらの背に手を回しながら笑みを零した。
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