スペインバスク地方の珍味として代表的なのは、アングーラス(ウナギの稚魚)です。
ウナギの稚魚は、冬、大西洋岸、ビスカヤ湾の河口、エブロ川のデルタ地帯、
その他の地中海沿岸の河口でも捕られています。そこで、ウナギが産卵するのです。
その捕り方はいたって原始的な方法です。
たくさんいそうな川底の泥の中にバケツを入れておき、
それをドロごと引っ張り出すだけです。
それを何度も洗ってドロをきれいに洗い流し、その後すぐに殺します。
伝統的な方法として、タバコの葉で煎じます。
細かく刻んだタバコの小袋(50〜100g)
を入れて沸騰させ、火を止めたら、小袋を取り出し、
エキスを搾り出します。その液を冷まして、
生きているアングーラスの上からかけます。そうすると、一瞬にして死ぬのです。
料理の仕方はそう多くはありません。
最もオーソドックスなのはビルバオ風(Bilbaina)と呼ばれているものです。
ビルバオとはバスク地方でビスカヤ湾に面した北西にある都市です。
小さな土鍋にオリーブオイルとニンニクとタカノツメを入れて炒め、
土鍋ごと食卓に出して食べます。必ず木のフォークで食べます。
北部では特にバスク地方では、
アングーラスはクリスマスや新年の食卓には欠かせないものとなっています。
近年捕れる量が減ってきているので、普段でも高価なものなのに、
最高に値段が上がっている時期に買うのですから、相当高価なご馳走です。
彼らは、それをその時期に食卓に出すことによって、ステータスを維持しているのです。
それは一種の儀式のようになっています。土鍋をお皿で覆って出され、
その中でアングーラスはオリーブオイルの中でまだ煮えたぎっています。
バッとお皿をはずした瞬間、
木のフォークでかき混ぜ、やけどしそうなぐらいのあつあつをフーフーいいながら食べます。
皆さんもエル・ポニエンテで、たまには贅沢に、
アングーラスを召し上がってみてください。夏バテ防止にもなりますよ。
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