その木は樹齢17年
内部は暗く腐っている
だから花を咲かさない。
つぼみのままに
こらえている。
醜い毒を散らさぬように
立ったまま
枯れて死ぬように
その木は必死に生きている。
詩 夏樹 涼
丸い大きな岩の上 風にユラユラ崖の上 私はつま先だって立ちすくむ 下には白い骨の群 幾つもの朝焼けと 幾つもの夕焼けを ひりひり乾いた涙目で 空飛ぶ鳥を追いかけて 流れる川をうらやんで ほんのわずかに微笑むことも ほんのわずか恐怖の影も できずに私は玉乗りピエロ
誰かと確かに約束した。 どこかで会おうと約束した。 いつか会おうねって約束した。 遙か昔に約束した。 ここですか? 今日ですか? あなたですか? あなたですか?
一番長い中指を焼いた しなやかな人差し指を焼いた 心細げな薬指を焼いた 頑丈な親指を焼いた 最後に小指を焼いた 私には もう、焼く指がない。
エアコンの音は5万年前の真夜中の森の木々のうなり。 テレビの騒音は近すぎる太陽に沸騰する遠い湖の水鳥達の羽音。 携帯の音は青空に突き刺さる高すぎるがけを駆け抜ける風の音。 でも 真夜中の森の木々のうなりはエアコンの音。 遠い湖の水鳥達の羽音はテレビの音。 がけを駆け抜ける風の音は携帯の音。
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