Merrily We Roll Along

<どんな作品?>
 高校時代に知り合った2人の男と1人の女がショー・ビジネス界で活躍するにしたがって友情を失っていく様を、時代を遡りながら描くという大胆な構成の作品。
 音楽面では非常に充実しており、珠玉のナンバーが続々と登場するのですが、後述する構成面の問題で、1981年の初演はわずか16回で打ち切りとなりました。その後改訂が加えられ、再演されるうちに人気作品へと成長していきましたが、いまだに決定版と言えるものは出ていない状況です。
 ここでは、基本的なストーリーの流れを押さえつつ、私が把握しえた改訂箇所にも触れながら、この作品がいかに"Roll Along"しているか、ご紹介できればと思います。
 手っ取り早くあらすじを知りたい方は、【寄り道】を飛ばしていただければ結構です。

 なお、文中で触れるプロダクションは以下の通りです。

[初演版]1981年ブロードウェイ初演時の版(同年録音のCD(RCD1-5840)を参照)
[92年版]1992年英国レスター市ヘイマーケット劇場での再演版(1993年録音のCD(CDJAY2 1245)を参照、ちなみにメアリー役は2021年ホリプロ主催公演で演出を担当したマリア・フリードマンです)
[94年版]1994年ニューヨーク・オフ・ブロードウェイのヨーク劇場での再演版(同年録音のCD(VSD-5548)及びヴォーカル・スコア(ISBN 978-1-4584-1485-4)を参照)
[12年版]2012年ニューヨーク・シティ・センターでの再演版(コンサート形式、同年録音のCD(PS-1208)を参照)
[宮本版]2013年天王洲銀河劇場での宮本亜門演出による公演、休憩なし1幕仕立ての短縮版
[フリードマン版]2012年英国ロンドン・メニエール・チョコレート・ファクトリーでの再演版(2021年ホリプロ主催公演での筆者の観劇に基づき記載)

このほか筆者が観劇した公演としては2002年ケネディ・センターでの公演があるが、94年版とほぼ同じと思われる。

<登場人物>
 フランクリン(フランク)
 チャーリー
 メアリー
 ベス
 ガッシー:女優
 ジョー:プロデューサー

 タイラー:発明家
 ベスの父、母        ほか

 フランクリンたちをどう紹介したらいいのか、書こうとするとあらすじ紹介と絡んできて、難しいのです。ですので、あえて書かないでおきます。 

<みどころ、ききどころ>
※ナンバーの番号はフリードマン版による

[第1幕]
1.序曲
 ノリのいいファンファーレ("That Frank"で用いられるテーマ)から始まり、"Now You Know"のテーマが開幕への期待を盛り上げる。

 【寄り道】
 いきなり寄り道ですみません。実は序曲ですら再演を重ねるたびに変わってきているという、とんでもないことが起きているのです。上記についてはほぼ変わりないのですが、その後はこんなに違うのです。
[初演版]最初の部分の熱狂が静まると"Good Thing Going"のテーマによるゆったりした部分→"Now You Know"の部分に戻り、終盤で"Old Friends"のテーマが顔を出して華やかに曲を閉じる。
[92年版]"Good Thing Going"のテーマによる部分から"Now You Know"に戻らず"Merrily, We Roll Along"へ
[94年版]"Now You Know"の部分が少し長く、"Good Thing Going"のテーマが1回目はピアノで提示され、"Now You Know"に戻らず"Merrily, We Roll Along"へ
[12年版]"Now You Know"の部分が少し長く(オーケストレーションは94年版と少し異なる)、"Good Thing Going"の部分から"Now You Know"の部分に戻ってすぐ"Old Friends"のテーマが登場、この部分が初演版より長い。
[フリードマン版]"Good Thing Going"のテーマも提示されずに"Merrily, We Roll Along"へ

【寄り道】
 続けての寄り道でまたもすみません。初演版では序曲の後、以下の場面から始まるのですが、92年版以降はカットされています。
〇1980年Lake Forest Academy
 フランクの母校(高校)での卒業式の場面。

●The Hills of Tomorrow
 フランクが1955年自身が卒業する際にチャーリーの詩に基づいて作曲した歌を卒業生たちが歌う。
 実はこの曲は"Good Thing Going"の変奏です。正確には、この曲が後に改作されて"Good Thing Going"になる、と言うべきでしょうが。

 フランクが卒業生たちにお祝いのスピーチを始める。しかし、彼の話は彼らの私語にかき乱され、やがて"Merrily, We Roll Along"に取って代わられる。

2.Merrily, We Roll Along
 登場人物たちが全員集合、フランクに向かって次々に、"How does it happen?"(どうしてこうなった?)"How does it disappear?"(どうして消えた?)"Whereis the moment?"(いつのことか?)などと問いかける。
 このナンバーは、その後も節目節目にフランクや客席に向かって投げ掛けられる。

〇1979年、フランクのマンション
 フランクがプロデュース、作曲した映画の封切り祝いのパーティ。大いに飲み騒ぐ客たちの中で、泥酔状態のメアリーだけは浮いている。

3.That Frank
 客たちがフランクの才能と業績を称える歌。これに応えるフランクの歌は"Our Time"の変奏になっている。

 フランクの妻、ガッシーが登場するが2人の関係は既に冷え切っている。客の1人が、チャーリーの作品がピュリッツァー賞を受賞したことを話題にし、場の空気を凍らせる。
 メアリーは周囲に悪態をつきまくり、フランクのとりなしも聞かず、客たちを全員クズ呼ばわりして倒れてしまう。何とか立ち上がって出て行く。
 ガッシーは自分が映画に出演できなかったことでフランクを恨むだけでなく、主演女優メグとの関係を問い詰める。フランクがメグと関係を持ったことを認めると、嫉妬に狂ったガッシーはメグの目にヨードチンキをぶちまけ、フランクとの関係も終わり、と告げる。ショックを受けるフランク。

4.Transition 1
 コーラスによる"Merrily, We Roll Along"のリフレイン、時が遡る。

【寄り道】
 初演版の次の場面は以下の通り。
〇1975年、ビヴァリー・ヒルズ・ホテルのラウンジ
 メアリーとチャーリーが飲んでいる。メアリーはここにフランクが来ることを知っていて、チャーリーと仲直りさせようとする。

5.Old Friends - Like It Was
 前半は後述する3人の友情のテーマ曲のリフレインだが、後半はメアリーがチャーリーを説得する内容。

 フランクがガッシーたちを連れて登場。メアリーたちがいるのに驚く。チャーリーは意を決してフランクの元へ行き、彼のサインを求める。フランクはこれに激怒、2人の間は修復できずに終わってしまう。

〇1973年、ニューヨークのテレビ局
 メアリーとチャーリーは楽屋にいる。この日、チャーリーとフランクはテレビの生番組でインタビューを受けることになっている。しかし、フランクはまだ来ない。チャーリーは貴が進まないが、メアリーは2人が仲直りするチャンスと捉えている。

5.Old Friends - Like It Was
 ほぼメアリーのソロ。前半は後述する3人の友情のテーマ曲のリフレインだが、後半はメアリーがチャーリーを説得する内容。
 歌の内容は同じだが、このナンバーが歌われる状況が初演版から変更されている。

 本番直前にフランクがガッシーたちを連れて登場。事前打合せもそこそこに、久々に再会するチャーリーとフランクの間の会話もかみ合わないまま一同スタジオへ。
 番組本番、始めのうちはフランク中心に答えていたが、キャスターから2人の仕事のやり方を問われると、チャーリーが引き取る。

6.Franklin Shepard, Inc.
 チャーリーのソロ。フランクの作曲に合わせて詩を書こうとしても、契約交渉など様々な雑事や映画など他の仕事に邪魔され、全く先に進まない苛立ちをぶつけ、自分はフランクでなく「フランクリン・シェパード株式会社」と仕事しているのだと非難し、彼に作曲に集中するようお願いしてほしいと視聴者に訴える。
 ソンドハイム得意の早口ソング。

 インタビューは打ち切られる。フランクは生番組で恥をかかされたことに激怒、チャーリーに絶交を宣言。

【寄り道】
 "Franklin Shepard, Inc."では、フランクがまずメロディを書き、その後チャーリーが詩を書くという様子が歌われる。初演版ではフランクのメロディを描写するピアノのフレーズに対し、チャーリーの詩に相当する部分はタイプライターの音が使われていた。後者の扱いについて、以後の版では以下のように微妙な差がある。
 92年版:初演版と同じ
 94年版:フランクのメロディが別の楽器で演奏される
 12年版、宮本版、フリードマン版:フランクのメロディが別の楽器で演奏され、そこにタイプライターの音も重なる

6A.Transition 2
 コーラスによる"Merrily, We Roll Along"のリフレイン、時が遡る。

〇1968年、ニューヨークのマンション
 船旅から帰ってきたフランク。そこへフランクの息子(ジュニア)が入ってくる。続いてチャーリーとメアリーも入ってきて、フランクとの再会を喜ぶ。しかし、それも束の間、今後の仕事をめぐってフランクとチャーリーは口論を始める。2人の仲を取り持つメアリー。

7.Old Friends
 フランク、チャーリー、メアリーによる、友情を確かめ合う三重唱。

 3人が今夜ゆっくり話し合うことを約束した後、劇場へ向かう途中のジョーとガッシーの夫妻が入ってくる。ガッシーはジョーたちの目を盗んでフランクと2人きりになり、今夜ジョーと別れてこのマンションへ来るから電話するまで待っていてほしいと迫る。
 板挟みになるフランク。ジョーとガッシーが出て行った後、一旦はチャーリーたちとの約束を断るが、説得されて再び受け入れる。チャーリーとメアリーが出て行き、再び部屋で1人になる。

7A.Growing Up(Part I)
 初演時にはなく、92年版以降に追加されたナンバー。"Franklin Shepard, Inc."でのフランクのメロディに始まり、それが変形されて"Good Thing Going"の前奏に。同曲のメロディのハミングに、フランクの友に対する感謝の気持が歌われる。その一方で、厳しいショービジネスの世界で生きていくために「成長」しなければならないことを理解しようとしない2人への不満ももらす。

 "Good Thing Going"のテーマに戻ったところで、フランクはガッシーが電話せず直接戻ってきたことに気付く。

7B.Growing Up(Part II)
 ガッシーのソロ。フランクに「成長」と決断を迫る。
 Part Iも含め、いずれもリフレイン。

 結局フランクはガッシーの誘惑に屈する。

7C.Transition 3
 コーラスによる"Merrily, We Roll Along"のリフレイン、時が遡る。

〇1966年、裁判所
 フランクとベス夫妻の離婚調停が行われると聞いて、マスコミ関係者が集まっている。ジョーとガッシーも証人として呼ばれ、取り囲まれるが、何とか振り切る。
 フランクの仕事仲間がマスコミをだまして追い払った後、フランクたちが登場。全財産だけでなく息子の親権まで奪われようとしているフランクは、パニック状態。そこへ折悪しくベスやジュニアたちが通りかかり、もみ合いとなる。周囲が何とかなだめ、フランクとベス2人だけ残る。フランクはベスに「まだ愛している」と訴え、ベスはフランクに「ガッシーと寝たの?」と尋ねる。

8.Not A Day Goes By
 ベスのソロ。たとえ別れても、フランクのことは自分の中で生き続けると訴える。

【寄り道】
 "Not A Day Goes By"は、ソンドハイムが書いたナンバーの中でも1,2を争う名曲ですが、初演時このナンバーはフランクが歌っています。しかし、92年版以降はベスのナンバーになりました。そのことで、詩は変わらなくてもこの歌に込められた内容は変わったのです。しかも、全編の中の珠玉の1曲が主役3人以外の人物に歌われるという、音楽上のアンバランスも起こってしまいました。私はこの点は、いまだにこの作品の弱点になっていると考えます。
 なお、この場面でのベスの歌はリフレインであることにも要注意です。

 フランクは、ガッシーと寝たことをベスに認め、2人の離婚は確定。ベスが去った後、残ったフランクは戻ってきたマスコミの餌食になり、自暴自棄に。そこへチャーリー、メアリーたちが戻ってくる。

9.Now You Know
 彼らはフランクに、しばらく旅に出れば過去を忘れ、新たな人生をスタートさせるきっかけがつかめる、と説得。始めは拒否していたフランクも徐々に乗せられ、最後は颯爽と旅立つ。チャーリーとメアリーたちも派手に送り出す。


[第2幕]
〇1964年、Alvin Theatre
 フランク作曲、チャーリー作詩でジョーがプロデュースしたミュージカル、"Musical Husbands"の舞台。主演女優のガッシーが聴かせどころのナンバーを歌っている。

10.Entr'acte
10A.Act II Opening
 短い序奏に続いて、ガッシーのソロ。メロディは"Good Thing Going"のアレンジ。

【寄り道】
 上記2つのナンバーは、初演版のCDには収録されていない。おそらく92年版以降に追加されたものと思われる。

 場面は舞台裏に。フランク、ベス、チャーリー、メアリーがジョーとともに客の反応を不安げに待っている。

11.It's A Hit
 幸い客は大喝采。これまでの苦労から解放された喜びを、みなそれぞれの思いで歌い合う。

 チャーリーは妻の出産に立ち会うため病院へ。ベスはフランクと終演後のパーティには行かず、病院へ行こうとするのをメアリーが止め、「ガッシーに気を付けて」と忠告。しかし、ベスはそれを振り切って病院へ。
 舞台から降りてきたガッシーがフランクを祝福。パーティへ向かう。

11A.Transition 4
 コーラスによる"Merrily, We Roll Along"のリフレイン、時が遡る。

〇1962年、ジョーとガッシーのマンション
 ニューヨークのセレブ達が集まるパーティ。フランクとベスがやってくるが、お上りさん状態。先に来ていたチャーリーを見つける。

12.The Blob Part 1
12AB.The Blob Part 2
 パーティの客たちの他愛ないやり取り。主にコーラスが歌う。

 ジョーとガッシーが彼らを出迎え、このパーティは彼らのために開いたのだと説明。
 ガッシーは巧妙にフランクと2人きりになり、自分が主演のミュージカルを書いてほしいと依頼。彼とチャーリーがあらかじめ用意していた曲を自分の好みに合うよう創り直してほしいという。

12C.Growing Up Act 2
 ガッシーのソロ。演劇上の順序では第1幕のナンバーのリフレインとなるが、音楽的にはここが最初に歌われる場面であり、第1幕の方がリフレインとなる。このあたりがこの作品のややこしいところ。フランクに、ショービジネスの世界で成功するために「成長」を促す。

 フランクは、チャーリーに相談することなくガッシーの依頼を承諾。喜んだ彼女はパーティ会場の客たちを静まらせ、フランクとチャーリーをピアノのところへ呼び寄せ、客たちに紹介。彼らの書いたナンバーを披露させる。事情が呑み込めないチャーリーだが、フランクに促されて一緒に歌い始める。

13.Good Thing Going
 フランクとチャーリーがユニゾンで歌う。これまたソンドハイムらしい、素朴な中にも切なさに満ちた名曲。

 2人は客たちの喝采を浴びる。

13A.The Blob Part 4
 ガッシーは無理矢理アンコールを求め、2人ももう一度歌い始めるが、もはや客たちは飽きて私語を挟み始め、やがて元の喧騒に戻ってしまう。

13B.Transition 5
 コーラスによる"Merrily, We Roll Along"のリフレイン、時が遡る。

〇1960年、グリニッジ・ヴィレッジのナイトクラブ
14.Bobby and Jackie and Jack
 フランク、チャーリー、ベスによる政治風刺ミュージカル。

 ベスの両親、ジョーとガッシーも観に来ている。ベスの両親がいるのは、この日フランクとベスが結婚することになっていたから。しかし、両親は定職を持たないフランクと娘の結婚に反対。
 ジョーとガッシーがフランクたちのショーを評価して去った後、フランクとベスは両親を説得し、何とか結婚を認めてもらう。

15.Not A Day Goes By Act 2
 結婚式で、ベスがフランクに向かって歌う。しかし、よく聴いていると、2人から離れてメアリーが重ねて歌っているのがわかる。ベスの喜びの歌であるとともに、メアリーの絶望の歌でもある。

【寄り道】
 初演版では、フランクとメアリーの2人が歌う。

15A.Transition 6
 コーラスによる"Merrily, We Roll Along"のリフレイン、時が遡る。

〇1958〜1959年、3人それぞれのアパート
 3人はそれぞれ自宅で、フランクはピアノに向かい、チャーリーとメアリーはタイプライターに向かっている。

16.Opening Doors
 "Good Thing Going"のメロディを創りかけては行き詰まるフランク、チャーリーやメアリーと会話しながら作業を進める。ようやく1曲完成し、ジョーに聴いてもらう(控える秘書はガッシー)が、「もっとみんなが口ずさめるようなものを」と要求される。
 売り込みが困難と知ったフランクは、自主公演を提案。オーディションでベスを発掘。ドタバタしながらも幕開けに向けて4人は突き進む。
 行進曲風の音楽、三重唱を基本としながらガッシーやベスなどが絡む。オペラ・ブッファの一場面を観るような、陽気で希望に満ちたナンバー。

16A.Transition 7
 コーラスによる"Merrily, We Roll Along"のリフレイン、時が遡る。

〇1957年、ニューヨークの古アパートの屋上
 夜明け前、フランクが1人で空を見上げている。そこへチャーリーもやってくる。2人はソ連が打ち上げた人工衛星スプートニクを見に来たのだ。除隊したばかりのフランクの引っ越しをチャーリーが手伝ったのを機に、2人は互いの才能を認め合う。

17.Our Time Part 1
 フランクのソロ。2人で一緒に世界を変えようと呼び掛ける。
 これも名曲中の名曲。何回聴いても、オクターヴを繰り返す序奏が流れただけでゾクゾクしてくる。シンコペーションを多用したメロディに、だんだん心を強くつかまれていくような気分になる。
17A.Our Time Part 2
 再びフランクのソロに始まり、途中からチャーリーも加わった二重唱となる。

 そこへメアリーもやってくる。自己紹介し合う3人。フランクのピアノにメアリーが感激したことを告げると、彼は喜ぶ。
 そして、3人はスプートニクを見つける。この奇跡に分かち合ったことで、3人は友情を育み、3人の力で世界を変えようと誓い合う。

17B.Our Time Part 3
 フランクにメアリー、チャーリーが加わり、さらにコーラスも加わって、最後は大合唱となる。

【寄り道】
 初演版では、この後以下の場面がありました。
〇1980年→1955年Lake Forest Academy
 冒頭のフランクの母校の卒業式の場面に戻る。歳を取ったフランクのスピーチが続く中、若いフランク、そしてチャーリーが現れ、場面は1955年の卒業式の場面に変わる。2人が創った"The Hills of Tomorrow"が歌われた後、卒業式一同の記念写真が撮られたところで幕。音楽としては、"Merrily, We Roll Along"の序奏の変奏で終わる。

 その後、92年版以降は"Our Time Part 3"でキャスト全員の合唱で華々しく終わるパターンが定着したかに見えました。

 しかし、2012年のフリードマン版で、さらに新たな試みがなされました。すなわち、"Our Time Part 3"の最後は"You and Me"を8回繰り返すのですが、7回目までいったところで突如"Merrily, We Roll Along"の序奏に戻り、舞台は1979年に戻り、フランク1人に。1957年の場面で持っていた譜面帳を見つめています。そこに初演版と同じエンディングが流れて終わります。このミュージカルをフランク、チャーリー、メアリー3人の物語よりも、チャーリー中心の物語に捉えた解釈と言えます。