A Funny Thing Happened on the Way to the Forum

<どんな作品?>
 ソンドハイムが歌詞とともに初めて作曲を手がけたミュージカルです。ワシントンDCのナショナル劇場などで試演を行った段階では不評だったものの、改作して1962年5月にニュー・ヨークのアルヴィン・シアターで開幕したところ大成功を収め、公演数964回というロングランを記録しました。これは彼が関わった作品の中では「ウェスト・サイド・ストーリー」や「ジプシー」をもしのぐ最高記録となっています。
 翌年のトニー賞では最優秀作品始め6部門で受賞。正に彼にとっての出世作となりました。(唯一の不満は肝心の作曲部門がノミネートすらされなかったことかもしれません。)

 でどんな話かと言うと、「ローマで起こった奇妙な出来事」という邦題からもおわかりのとおり、古代ローマを舞台にしたコメディ・ミュージカルです。機転の利く奴隷が自由の身を勝ち取るため主人の恋愛を成就させようと奔走する中で起こる様々な騒動を描いています。
 ソンドハイムが初めて本格的に手がけたミュージカルにしては意外な題材を取り上げたものだと思います。ストーリーは古典的な喜劇そのもの(=ややこしくて荒唐無稽)ですし、音楽は単純で親しみやすいですし、まるで音楽学校の教科書みたいな作品です。「これくらいの作品はいくらでも書ける」という自信と余裕すら感じさせます。
 彼としてはこの作品を自らのミュージカル人生の出発点と位置付けたかったのではないかという気がします。まずはこれまでに開発された手法を使った模範的作品を書く。これを踏み台にして、その後の彼は誰にも真似できない新しいタイプのミュージカルに挑むのです。

<主な登場人物>
 
 セネクス:老市民
 ドミーナ:セネクスの妻
 ヒーロー:セネクス、ドミーナの息子
 スードラス:ヒーローの奴隷
 ヒステリウム:セネクス、ドミーナの奴隷
 ライカス:セネクス家の隣りの売春宿の主人
 フィリア:最近ライカスに買われた娘
 エロニアス:セネクス家の隣りに住む老人
 マイルス・グロリオサス:将軍
  

<みどころ、ききどころ>

 演劇が大きく悲劇と喜劇に分けられたのは古代ギリシャ時代に遡ると言われます。悲劇では細部まで練られた台本を忠実に演じるのに対し、喜劇では大まかな台本を元に俳優のアドリブで観客を楽しませるというやり方が一般的だったようです。そのスタイルはモーツァルト、ロッシーニ時代のオペラ・ブッファや19世紀末のオペレッタに多少なりとも受け継がれています。
 このミュージカルもそのようなスタイルで書かれています。したがって、演者によって独自のギャグを入れたり時事ネタを取り入れたりして上演されるのが普通です。
 ここではオリジナルの台本に書かれている内容に沿ってご紹介します。

[第1幕]

 プロローガス(Prologus)が現れ、演劇の神様に敬意を表した後、今夜は悲劇と喜劇のうち喜劇を演じることを宣言。PrologusとはもちろんPrologueをもじった古代ローマ人風の名前です。

1.Comedy Tonight

 プロローガスはまず3人の俳優を連れてきて観客に紹介。彼らは要は「その他大勢」役なのですが、3人で多くの役をこなすので、古代ギリシャの変幻自在な海神ProteusにちなんでProteansと呼ばれます。
 続いて喜劇の場所を紹介。古代ローマのある通り、まずエロニアスの家。彼は海賊にさらわれた子供を探しに旅に出ているので空家になっている。次に売春宿を経営するライカスの家。両家の間にあるのがセネクスの家。妻と息子がいて、息子にはスードラスという奴隷がいる。そのキャラクターが気に入ったプロローガスはちゃっかり自分がこの役を演じることにする。
 他の登場人物も現れ、全員で喜劇気分を盛り上げる。
 軽快で単純なメロディが何度も繰り返され、それがしだいに高い音域へ移ることで盛り上がっていきます。このミュージカルに出てくる多くのナンバーに共通するパターンです。

 物語が始まります。まずセネクスとドミーナが家から出てくる。2人は病気のドミーナの母を訪ねるため外出。一人息子のヒーローが留守中に変なことを仕出かさないよう、ドミーナは筆頭奴隷のヒステリアムに後を託す。

2.Love, I Hear

 1人残ったヒーローが歌うソロ。年頃の若者は隣りの売春宿に興味津々。と言っても理由はそこが何をする所かを知りたいのではなく(とっくにその段階は過ぎたらしい)、そこにいる1人の娘に恋しているからなのです。
 ここでも単純なフレーズを何回も繰り返していますが、若者特有の熱病のような恋心を巧みに歌にしています。背中に羽根が生えて飛んでいるような気分になります。

 そこへヒーローの奴隷、スードラスが市民たちとともに帰ってきます。市民たちはスードラスがいかさまの賭けで金を騙し取ったとヒーローに文句を言う。ヒーローはスードラスに金を返すよう命令。
 市民たちが帰った後、ヒーローはスードラスに恋の悩みを打ち明ける。奴隷の身に飽き飽きしていたスードラスはこれをチャンスととらえ、主人の恋を実現させたら自由の身になることをヒーローに約束させる。

3.Free

 またも短い単純なフレーズ(でも歌いこなすのはかなり難しい)を繰り返しながら曲は発展していきます。スードラスが主人との取引のことを頭の中で反芻する一方、ヒーローは耳元でスードラスに"Free"とささやきかける。その言葉がウィルスのようにスードラスの身体に回っていくにつれて彼の歌は熱くなり、最後には高らかな自由賛歌となる。
 ソンドハイムの自由に対する思い入れが見事に音楽として表現されていると思います。

 そこへライカスが売春宿から出てくるので、スードラスは客の振りをして彼に声をかけ、娼婦たちを見せるよう依頼。そうやってヒーローが恋している娘を突き止めようという作戦である。

4.The House of Marcus Licus

 行進曲風の音楽で始まり、ライカスが1人ずつ娼婦を紹介する。それぞれの女たちの特徴に合った音楽がバックに流れる。
 次々現れる美女たちの誘惑にスードラスは何度も負けそうになるが、ヒーローが探している娘ではないため苦し紛れの断り文句を並べながら次の娼婦を紹介させる。

 しかし全員紹介されてもヒーロー目当ての娘はいない。その時若い娘の顔がライカスの宿の窓から見える。ヒーローは「あの娘だ!」とスードラスにささやく。ライカスに訊くと、その娘は処女で、マイルス・グロリオサスという将軍が昨日身請けし、今日引き取りに来ると言う。絶望するヒーロー。
 でもただでは引き下がらないのがスードラス。彼女がクレタ島からやってきたと聞き、最近クレタ島で疫病が流行し彼女も感染しているとウソをつく。仰天したライカスは、将軍が来るまでひとまず娘をスードラスに預かってもらうことにする。
 ライカスが娘を連れてくる。名はフィリアと言う。ライカスが宿に戻った後、スードラスはフィリアをヒーローに引き合わせ、自分も退場する。ただし、観客に「ヒーローも童貞なんだけどね」とささやくことは忘れない。

5.Lovely

 "Love, I Hear"のメロディをバックに2人は自己紹介し合い、愛の二重唱となる。ブランコに揺られるようなメロディが急に飛躍して2人の気分の高まりを巧みに表現している。

 そこへヒステリアムが出てきて2人を引き離そうとするが、スードラスも現れ、ヒステリアムの弱みに付け込んでとりあえず将軍が来るまで一緒にいることを認めさせる。ヒステリアムが家に入った後、スードラスはヒーローたちにある計略を話す。

6.Pretty Little Picture

 波に揺られるようなメロディが低音域から次第に高音域に上がっていきます。スードラスが小さな舟で駆け落ちするという"Pretty Little Picture"のようなアイデアを打ち明け、ヒーローとフィリアもそれを聞いて夢中になり、スードラスとの三重唱となります。

 しかし問題が一つある。フィリアはマイルスとの契約がある限りマイルスについて行かねばならない。スードラスはフィリアに「ドアが3回ノックされたらマイルスが着いた合図」と言い聞かせ、とりあえず家の中で待たせることにする。
 ヒステリアムが市場へ買物に出かける。スードラスは彼の尻ポケットに入った秘薬の製法に関する本を抜き取る。フィリアに眠り薬を飲ませてライカスたちに死んだと思い込ませ、「死体」をヒーローに引き取らせてそのまま逃がそうという算段である。
 ここでまた問題発生。スードラスは字が読めない!ヒーローを呼んで眠り薬の製法を教えてもらった後、舟を確保するため先に港へ行かせる。スードラスは秘薬の材料を探しに退場。
 入れ替わりにセネクスが妻の胸像を持って戻ってくる。うっかり落として鼻を折ってしまったのだ。ドアを3回ノックすると、フィリアはもうマイルスが来たものと勘違いし、外に出てきて「あたしを連れてって」と抱きつく。訳はわからないがいい気分のセネクス。
 そこへ材料(牝馬の汗)を見つけたスードラスが戻ってきて、セネクスの帰宅に仰天。フィリアが家の中に戻った後スードラスはセネクスに彼女は新しいメイドだと言いつくろう。

7.Everybody Ought to Have a Maid

 若いメイドの登場にすっかり有頂天のセネクス。8分の12拍子のこれまた単純なメロディが、中年男のスケベ心を見事に表現している。
 そこへなぜかヒステリアム、さらにライカスも加わり、男4人のメイド賛歌となる。レハール作曲の名作オペレッタ「メリー・ウィドウ」の「女を扱うには」を思わせる、男なら思わずにんまりしてしまう歌である。客受けがいい時のことも考えてアンコール用のナンバーまで作られている。

 セネクスは早速フィリアを「指導」しようとするが、スードラスは息子が中にいるから、と止める。するとセネクスは隣りのエロニアスが留守中ときどき家を点検してくれと言われていたのを思い出し、そこへ彼女を連れて行こうとする。するとスードラスはさっき手に入れた牝馬の汗を彼にふりかけて体臭がひどいと思わせ、まずはエロニアスの家で入浴させることにする。
 事の展開にすっかり動揺するヒステリアムに対し、スードラスは"Calm"(落ち着け)と言い残して家に入る。

8.I'm Calm

 何とか落ち着こうとするヒステリアムだが、最後にセネクスの呼ぶ声でセネクスの家に飛び込んでしまう。
 ワルツ風だが歌詞とは正反対に何ともせわしない歌。

 エロニアス登場。彼は海賊にさらわれた子供たちを捜しに長年旅していたが、やっと帰ってきたのである。しかし、家に入ろうとする彼をヒステリアムが止める。中にはセネクスがいるのだ。隠そうとするがセネクスの鼻歌が外まで聞こえてくる。ヒステリウムはとっさに「この家は呪われている」とウソをつき、中へ入れまいとする。エロニアスはそれならその呪いが本当かどうか預言者の所へ連れて行けと言い出す。
 このやり取りを聞いていたスードラスが預言者の振りをして割り込み、エロニアスに向かって子供の居場所が知りたければローマの7つの丘を7周するよう告げる。エロニアスは素直に従い、歩き始める(その後彼は舞台上の展開にお構いなく、1周するごとに舞台に現れ、客席に「○周!」と叫んで通り過ぎる)。その後エロニアスの家から出てきたセネクスはヒステリアムに入浴の準備を命じる。
 セネクスも戻ろうとするところへ折悪しくヒーローが戻ってくる。しかもセネクスの家のバルコニーに現れたフィリアが2人に向かって手を振る。

9.Impossible

 父子は互いに相手を疑い始める。あんた、フィリアの何なのさ?(古い!)セネクスはまさか彼女=自分のメイドが息子と関わりあるわけがないと思い、ヒーローはまさか彼女=自分の恋人が父と関わりあるわけがないと思う。
 他のナンバーよりは少し複雑なメロディ&リズムで2人の間の緊張関係を描いています。

 疑心暗鬼のまま2人が別れた後ライカスが出てきてスードラスにフィリアの「容体」を訊く。スードラスは、彼女の病状はよくないので自分が作っている特効薬(実は眠り薬)を飲ませていいか尋ね、快諾を得る。
 そこへファンファーレが鳴る。マイルス到着の知らせである。すっかり動揺するライカス。スードラスはここでも機転を利かせ、セネクスの家をライカスの売春宿に仕立て上げることとする。しかも将軍に事情を話す勇気のないライカスに代わり、スードラスがライカスになりすますことにする(このあたりは、冷静に物事を運ぼうとするスードラスを、浮き足立ったライカスが何度も引き止めるという古典的なギャグが展開される)。
 事情を知らないヒステリウムが出てくるが、スードラスはまたうまく彼を言いくるめて協力させる。
 2度目のファンファーレが鳴り、マイルスが兵士たちを伴い仰々しく登場。ライカスに扮したスードラスと娼婦たちが出迎える。

10. Bring Me My Bride

 マイルスが花嫁を呼ぶ歌。ヒーロー物の主題歌のようなメロディをマイルスが歌うと、兵士たちが彼を称える合いの手を入れる。

 ここでスードラスはフィリアに眠り薬を飲ませるはずだったが、彼女が宗教上の理由で飲まないと言うので、とっさに彼女は逃げたとマイルスに告げる。マイルスはショックを受け、それなら先払いした身請け金を返すよう迫る。そうとは知らないスードラスは「自分はライカスじゃない」と本物のライカスに尋ねるが、ライカスもヒステリアムも認めない。激怒したマイルスはスードラスを成敗しようとするが、スードラスは最後の一言として客席に"Intermission!(休憩!)"と叫ぶ。

[第2幕]

 プロローガスが登場し、第1幕のいきさつをおさらいしていくうちに登場人物たちが舞台に現れる。第1幕幕切れと同じ場面になったところでスードラス役に復活して再開!

 マイルスに剣を突きつけられ絶体絶命のスードラスはとっさに「自分を殺すと娘の居場所がわからなくなる」と言い、フィリアを見つけることを条件に何とか一命を取り止める。マイルスはセネクスの家で1時間だけ待つことにするが、スードラスはその前にヒステリアムにフィリアを屋根裏に隠すよう頼んで先に家に入らせる。兵士たちはフィリアが見つかるまでスードラスを監視することとなる。
 マイルスが家に入った後セネクスがヒステリアムを呼び、メイド(=フィリア)を連れて来るよう命じる。今やヒステリアムはセネクスだけでなく、ライカスの振りをしたスードラス、娼婦たち、フィリアなど多くの者を主人としなければならなくなる。
 ヒステリアムと入れ違いにスードラスが登場し、娼婦の1人を使って兵士たちをまくことに成功。フィリアが死んだと思い込ませるために死体泥棒から一体借りることを思いつき、走り去る。
 入れ違いに夫に悪い予感を持ったドミーナが戻ってくる。ヒステリアムを呼んで問い詰めるがもちろん彼は本当のことを言わない。

1.That Dirty Old Man

 彼女の疑いは晴れない。30年もの間夫が何か不実なことをしているのではと疑う一方で彼への愛は衰えない。そんな複雑な感情を歌う。
 夫への不信を表す短い音符のメロディと夫への愛を表す長い音符のメロディが交互に出てくる。

 そこへマイルスの声が聞こえる。ヒステリアムに訊けば軍人を家でもてなしていると言う。自身も軍人の娘である彼女はマイルスに会ってきちんと歓迎したい旨を告げる。マイルスは彼女の家柄に気押されて家に戻る。彼女はマイルスを歓待する前に夫の行状をつかむため変装することにし、その場を去る。
 スードラスが帰ってくる。あてにしていた死体泥棒が死んでしまったので、死体を借りられない。しかし一案を思いついた彼はヒステリアムをライカスの家へ引っ張り込む。
 入浴を終えたセネクスが出てきて、フィリアを呼ぶ。屋根裏から返事したフィリアはエロニアスの家に向かおうとする。その声を聞いたマイルスはフィリアを探し始める。
 その間にフィリアはうまくマイルスに見つからず外に出てきて、港から戻ってきたヒーローと再会し、彼に別れを告げる。身請け人(と彼女は思っているが実はセネクス)が現れた以上契約に従うしかないからである。

2.That'll Show Him

 フィリアのソロ。マイルスを愛しながら、いかに自分がヒーローを愛しているかを思い知らせてやるという、メロディは甘いが歌詞は恐ろしい歌。

 スードラスがライカスの家から出てくる。なぜ2人がここにいるのか彼には疑問だが、マイルスの怒りの声が聞こえるので2人を庭に隠れさせる。
 続いてフィリアそっくりの衣裳を着て女装したヒステリアムが登場。フィリアの死体代わりになってマイルスを諦めさせようという作戦である。うまくいくわけないと嫌がるヒステリアム。

3.Lovely

 スードラスは必死で「あなたはかわいい」とヒステリアムを説得。なぜかヒステリアムもだんだんその気になってくる。
 この野郎の二重唱、どこかで聴いたメロディが使われている。何とヒーローとフィリアの二重唱と同じである。

 ヒステリアムはベンチの上に横たわり、顔をヴェールで覆い、両手を胸の上に組む。そこへ戻ってきた兵士たちにスードラスは「フィリアの死体」を見せる。驚いた兵士たちはマイルスを呼びに行く。マイルスも死体を見て嘆き悲しむ。

4.Funeral Sequence and Dance

 兵士たちを「嘆き役」に仕立ててマイルスとスードラスが葬儀を執り行う。娼婦たちも加わる。恐怖におののくヒステリアムは床に転げ落ちるがあわててベンチに戻る。

 マイルスは死体に別れのキスをしようとするが、スードラスは彼女はクレタ島でかかった伝染病で死んだのだからキスすると感染すると言って止めさせようとする。逃げ惑う娼婦たち。しかし、同じクレタ島から戻ったばかりのマイルスにだけは即座にウソと見破られてしまう。いよいよキスの危険?が迫ったヒステリアムは耐え切れずに逃げ出してしまう。追いかける兵士たち。スードラスも追いかける振りして逃げ出し、マイルスはスードラスを追う。
 その様子を陰で見ていたライカスは部下たちとともに娼婦たちを探しに駆け出す。
 ヒステリアムとスードラスが逃げ惑っている間に、ドミーナがこれまたフィリアそっくりの衣裳を着て戻ってくる。それを見つけた兵士たちはフィリアと勘違いして追い始める。エロニアスの家から出てきたセネクスはヒステリアムをフィリアだと勘違いして追い始める。なおもドタバタが続くが、スードラスはその間にマイルスの契約書を兵士から奪うことに成功。ライカスは店の娼婦全員を取り戻す。
 その後も同じ格好をしたフィリア、ドミーナ、ヒステリアムがセネクスの家の前で鉢合わせするなど、登場人物たちが激しく出入した挙句、スードラスはヒーローに契約書を渡し、ヒステリアムとドミーナはエロニアスの家に入り、今度はドミーナをフィリアと思い込んだセネクスがこれを追ってエロニアスの家に入る。しばらくしてセネクスとドミーナはすっかり和解して出てくる。
 続いてエロニアスの家から出てきたヒステリアムは、3周歩き終えたエロニアスと鉢合わせ。しかし、エロニアスはヒステリアムがはめている指輪を見て自分の娘と主張(この指輪は元々エロニアスが付けていたものを、子供を探す手がかりとして預言者に扮したスードラスに渡し、スードラスがヒステリアムを娘らしくするため彼の指にはめたもの)。マイルスも追いついてヒステリアムの正体を知る。セネクス、ドミーナも現れ、マイルスはセネクスの家をライカスの娼婦宿と思わされていたことを知る。
 マイルスがヒステリアムを罰しようとするところへスードラスが現れ、全ての責任は自分にあると宣言し、フィリアに飲ませるはずだった眠り薬を飲んで死んだ振りをするが通用せず、マイルスに捕われる。
 その隙に港へ逃げ出そうとしたヒーローとフィリアはライカスに見つかり、マイルスの前に引き出される。とうとう契約どおりフィリアはマイルスのものになるかと思いきや、マイルスとフィリアが自分と同じ指輪を持っていることにエロニアスが気付く。何と2人はエロニアスが探していた子供たちだったのだ。となればマイルスとフィリアは兄妹となり、身請けはできない。ヒーローは両親の許しも得てフィリアと結ばれ、スードラスも晴れて自由の身となる。

5.Comedy Tonight

 全て丸く収まったところで最初と同じナンバーを全員で歌う。めでたし、めでたし!