(2003年11月16日現在未定稿)
(読者の皆様へ)
この作品は新作ですので脚本やスコアはまだ出版されていません。以下の作品紹介は、僕がケネディ・センターの公演を観たりワシントン・ポストの記事を読んだりして理解した範囲で書いていますので、ひょっとしたら誤解や見落としがあるかもしれません。あくまで未定稿としてお読みいただくことをお願いするとともに、もしお気づきの点があれば遠慮なくお知らせ願えれば幸いです。
<どんな作品?>
アディソン&ウィルソン・マイズナーは、19世紀末から20世紀前半まで生きた実在の人物です。アディソンは専門的教育を全く受けずに建築家として成功(今でも彼が設計した建物がフロリダに残っているそうです)し、ウィルソンは派手で賭博的な生き方をした(ミュージカル・ナンバーの作詩までしたらしい)ことで、多くの人々の記憶に残ったようです。
ソンドハイムは1950年代に出版されたマイズナー家の人々に関する本を読み、ウィルソンに関心を持ったようです。その後1990年代始めにワシントンDCのケネディ・センターから新作の委嘱を受け、脚本家ワイドマンのアイデアを取り入れてアディソンも合わせた2人の兄弟の物語として取り組みます。
1999年に"Wise
Guys"という題名でニュー・ヨークでワークショップを行った後、さらに改作し題名も"Bounce"と改めて2003年6月にシカゴのグッドマン劇場、10月にケネディ・センターで上演し、久々のソンドハイムの新作として世に出ました。
物語は2人の波乱万丈な人生を描くとともに、「兄弟とは何か」を考えさせる作りになっています。音楽面はともかく、ストーリーは比較的単純でソンドハイムの中ではわかりやすい作品と言っていいと思います。
<登場人物>
アディソン(アディ):マイズナー家の長男
ウィルソン(ウィリー):アディソンの弟
ママ・マイズナー:2人の母
パパ・マイズナー:2人の父
ネリー:アラスカのバーの看板娘(後にウィリーの妻となる)
ホリス:大学生 ほか
<みどころ、ききどころ>
[序曲]
"Next to You"に始まり"The Game""The Best Thing
That Ever Has Happened""Gold"など劇中のメロディがメドレー風に流れるオペレッタ風序曲。
[第1幕]
○第1場:ホテル(場所不明)のバー?及びロサンゼルスのホテルの一室
"England Club"と書かれたホテルのバー?でソファに座るアディ。多くの債権者から訴えられ憔悴状態。他方ロサンゼルスのホテルの一室にウィリーがハリウッドで見つけた女を連れて現れる。
ソファに座っているアディはボーイに次の飲物を頼んでいる間静かに息絶える。一方ウィリーは女とベッドで抱き合う最中にショック死。
○第2場:天国への入口
アディは気が付くと天国への入口に立っている。やっと安らぎが得られると思ったのも束の間、続いてウィリーもやってくる。2人を呼ぶ天使たち?の合唱が聞こえる。でもこいつと一緒ということは、これから行くのは地獄か?不安になるアディ。しかしウィリーは麻薬のせいか楽観的である。
1.Bounce
"Bounce"とは本来「はずむ」(日本語で言う「バウンド」)という意味だが、ここでは「挫折から立ち直る」ことを表現する言葉として使われる。日本人の感覚としては、落ちた玉が床に跳ね返って上がってくると言うより「七転び八起き」というイメージで捉えた方がわかりやすいと思う。
4分の4を単純に刻むリズムの上に語り調のメロディで歌は進む。
最初こそ2人は一緒に立ち直ろうと呼びかけ合うが、そのうちアディは過去を思い出し、ウィリーへの怒りが込み上げてくる。2人は取っ組み合いの喧嘩を始め、互いのかつらや衣服を剥ぎ取りあいながら若い頃へと帰っていく。
○第3場:マイズナー家の寝室
死の床に伏しているアディとウィリーのパパ。ママに呼ばれて2人がパパの部屋に入ると、パパはウィリーの名前だけを呼ぶ(このシーンはマイズナー家の血筋を象徴する場面であることが後にわかる)。そして息子達に向けた最後の言葉を贈る。
2.Opportunity
パパは自分の人生が失敗であったと悔やみ、息子たちに人生のチャンスを積極的につかむよう励ます。前半はパパが歌うが、体力が衰えてくるとパパの言葉を耳元で聞いたママが息子達に伝える、というソンドハイムらしい凝った二重唱。
パパが息絶えた途端管財人が入ってきて、パパの残した債務返済のため家財道具を一切合財持ち去ってしまう。呆然とする2人に向かい、ママはストッキングの中からへそくりを取り出して与える。ウィリーはパパが持っていた新聞で見つけたアラスカの金鉱掘りに行こうと言い出す。
3.Gold
下手端のドアから鉱夫(さっき死んだばかりのパパ役の俳優が演じる。しかも彼はその後も兄弟の人生に関わる様々な役を演じることになる。)が出てきてゴールドラッシュを夢見て盛り上がる歌を歌い、アディ達の前を横切って上手ドアから素早く退場。
このメロディはその後アディが金を探して掘る時など「一山当てよう」的な場面で繰り返し登場する。
最初は渋るアディもママとウィリーの2人に促され、結局一緒に行くことにする。
(このパターンは今後2人の人生の節目でたびたび繰り返されることになる。つまり、ウィリーが言い出しっぺで当初アディは反対するが、周囲は全てウィリーの味方になるので孤立したアディも最後にはOKせざるをえなくなってしまうのである。)
○第4場:アラスカ州ユーコン
極寒の中を悪戦苦闘して金鉱を探す2人。ウィリーは先に採掘権利書を作成することを思いつき、アディを残して町へ向かう。
とあるバーに入ってウィリーは早速バーテンダー(パパ役の俳優)に権利書を作ってもらう。
ウィリーが兄の下へ戻ろうとすると1人の娘に呼び止められる。
4.What's Your Rush?
バーの看板娘ネリーがウィリーを誘惑する歌。
ウィリーは誘惑に勝てず客たちとポーカーを始める。
5.The Game
ポーカーをしながらウィリーは「人生とは所詮ゲームである」と悟る。この考え方が彼の一生を支配することとなる。
彼は勝ち続け、ついに帳場を取り仕切る男に差しの大勝負を挑む。しかし賭け金が足りない。手元には権利書しかない。そこへ遂に金を発見したアディが入ってくる。権利書を賭けようとするウィリーをアディは止めるが、ウィリーは聞かない。ウィリーは権利書を差し出して勝負に出るが負けてしまう。しかし、男のいかさまがばれ、男は発砲して店は大騒ぎになる。その隙にウィリーはテーブル上の掛け金1万ドルをごっそり持ち出し、アディとともに逃げるが、肝心の権利書はネリーが持ち去ってしまう。
○第5場:ママが泊まるホテルの一室
ホテル暮らしをするママの元へ2人は帰ってくる。帽子に入れた1万ドルの現金を見てママは大喜びするが、権利書を失ったことがアディは納得いかない。
6.Next to You
ママはウィリーを温かくねぎらう一方、アディには励ましの言葉をかけるがどこかおざなりである。その様子を巧みな振付で表現する。すなわちウィリーとは一緒に踊るママだが、アディとは一瞬顔を合わせるもののすぐまたウィリーの方を向いてしまう。音楽自体はロマンチックで最後は"A
Little Night Music"の"Send in the Clowns"を思わせるのだが。
ママはさらにへそくりを出してウィリーに与えようとするので、アディは黙って帽子の中から自分の取り分を持ち出し、1人旅に出る。
○第6場:ハワイ、香港、グアテマラなど
7.Addison's Trip
アディは船で世界各地を巡り、一儲けしようとするが、ことごとく失敗に終わる(各地で彼から金を巻き上げる商人たちは全てパパ役の俳優)。有り金は底をつき、手元にはハワイのインコ、香港の小さい銅鑼、グアテマラの鎌といった二束三文ばかり残る(一言で言えば「逆わらしべ長者」)。その間彼はずっとママを呼びかけながら旅している。
シーソー型のタラップを上がり、反対側に降りると目的地に着くというパターンで旅行は進んでいく。各地のシーンを表す道具類は、彼が去るごとに舞台後方に無造作に集められる。
しかし最後に彼の頭でこれらの文物が一つの建築物へと融合していく。様々な文化に触れたおかげで彼は自分に建築の才能があることに気付く。その様子を各地の召使達が道具類を舞台上に再配置し、天井から降りてくる壁や屋根と組み合わせることで観客に見せる。最後にアディが二束三文を加えると彼の構想は完成する。
"Sunday
in the Park with
George"第1幕終盤の絵が舞台上で完成する場面に似ている。
○第7場:ロングアイランド州ベルモント競馬場
ベルモント・ステークスの当日?招待状を持ってないが何とか入れないかと入口前でウロウロしているウィリー。そこへ建築家として成功したアディがやってくる。思わぬ再会に喜ぶ2人。しかし、アディが招待状を持っていることを知ったウィリーは兄を出し抜いて招待状をくすね、さっさと中に入ってしまう。激怒するアディ。
入口が180度回転して競馬場内のバーになる。そこでウィリーはネリーに再会する。彼女は人生をうまく渡り歩き、今はエリノアと名乗る裕福な貴婦人になっていたのだ。
(彼女には義理の息子ホリーがいるが、彼は後にアディと運命的な出会いを果すことになる。)
8.The Best Thing That Ever Has Happened
再会を喜ぶウィリーとネリーの二重唱。同じ音をまず3つ、短い音符にしてさらに10続ける単純なメロディ(理想の人に出会って心拍数が上がっていくような感じ)が2人の惹かれ合う様子を見事に表現している。
2人が抱き合っているところへアディが受付の男を振り切って入ってくる。ウィリーを非難するアディ。
○第8場:ニューヨーク
しかし場面はニューヨークの教会に早変わり。ウィリーは燕尾服に着替え、ネリーもウェディング・ドレス姿で登場。アディはウィリーに新居の設計を頼まれ、うまくまるめこまれてしまう。
結婚式でもウィリーは牧師(パパ役の俳優)の進行に従わずネリーと勝手に誓いを交わしてさっさと儀式を済ませてしまう。ママも列席するがアディが強引に連れ出していく。
結婚式が終わると祭壇に掲げられた十字架ははずされてたたまれ、下半分を延ばすと祭壇はあっという間にダブルベッドに変身。2人の新居となる。
9.I Love This Town
ウィリーとネリーの二重唱。2人は衣服を脱ぎながらベッドで愛のひと時を過ごそうとするが、途中で次々と邪魔が入る。ウィリーがマネージメントしているボクサー、マジシャン(パパ役の俳優)、ダンサー、競馬の騎手、そして彼らが起こす騒動を取材する新聞記者たちが目まぐるしく出入りする。結婚後も一向に改まらないウィリーのギャンブラー人生。他方でウィリーは麻薬、ネリーは酒が止められない。
あっという間に2人の生活は破綻し、ネリーはウィリーを追い出す。1人ベッドに残ったネリーが舞台後方に下がっていき、彼女の周りから照明も暗くなって、最後は彼女の顔だけにスポットが当たり、暗転となる。
○第9場:アディのアパート
一方アディはその後も建築家としての実績を積み、注文も順調に入ってくる様子。寝たきりになったママを引き取って一緒に暮らしている。
しかし、ママは競馬スキャンダルに関するウィリーのコメントが載った新聞記事に夢中である。
10.Isn't He Something!
ママはまたもウィリーのことをほめ始める。アディには理解できない。自分の方が堅実な仕事に就いてママの面倒まで見ているのに、ママは出来の悪いウィリーにしか目を向けない。なぜママは自分のことを愛してくれないのか?
ママが歌う間、絶望感に打ちひしがれたアディは客席に背中を向けてママの傍らに座り込む。何とも胸を締め付けられるシーンである。
歌い終わったママは息を引き取る。そこへ落ちぶれた様子のウィリーが転がり込んでくる。ネリーに追い出されたウィリーはしばらくここで同居させてくれ、と頼む。アディは弟にママの死を知らせず寝室へ通す。兄に言われるままママの唇にキスしようとしたウィリーはそこで初めてママの死を知る。ウィリーはショックを受け、自分を騙した兄へ恨みの言葉を吐いて部屋を飛び出す。
11.Bounce
1人残ったアディは、さてここからどうやって立ち直るか、思案を始めるところで幕。
[第2幕]
○第1場:ニュー・ヨーク?
幕が上がると下手からウィリー、ネリー、アディが横1列に並ぶ。ウィリーはバーの屋外のテーブルに座り、相変わらず麻薬漬け。ネリーはバー(ひょっとしてウィリーがいるのと同じバーの屋内?)の歌手、アディは古本屋の屋外のテーブルに座り、建築の仕事を続けている。
1.The
Game
「ウィリーのテーマ」であるはずの歌を3人が代わる代わる歌う。ウィリーやネリーが歌うならともかく、アディまで「人生は所詮ゲーム」と歌うとなると、彼にとっては少し意味合いが違ってくる。つまり真面目で地道に生きてきたが報われない彼は、自分の生き方に疑問を持ち始めている。そんな彼の前ではゲイのカップルが人目も気にせず愛し合っている。
○第2場:フロリダに向かう列車の客室
コンパートメント(ベンチ状の座席が向かい合った客室)の下手側座席にホリスが寝ている。そこへアディが入ってくる。最初は相席になるのを嫌がってよそよそしく接していたホリスだが、アディが建築家と知って興味を示し始める。彼は美術を専攻している大学生だったのである。
2.Talent
ホリスが自分の夢を語る歌。希望に満ちた明るい曲調。
○第3場:フロリダのリゾート・ホテル
富豪たちが滞在するホテルのカフェ。ホリスは普通の会社に就職させようとする父に反発し、そこにいる叔母夫婦(夫はパパ役の俳優)に助力を求めに来たのだが、緊張している。そんな彼をアディは励まして送り出す。
ホリスと叔母の会話を傍らで聞くともなく聞いていたアディは、「ホテルなんて大嫌い」と言う叔母の言葉を逃さず割り込み、戸惑う彼らにかまわず今まで温めていた家の設計図を売り込み始める。それは、世界の様々な建築様式を融合したユニークなものだった。
叔母はすっかりその設計図が気に入る。
3.You
アディのアイデアは周囲の富豪たちの興味をも引き始める。舞台前面中央の床に置かれた設計図の方を向いて歌う彼らの間を、アディは忙しく名刺を配って回る。今までお人よしで損ばかりしていた彼が人生で初めて自分から打って出、パパの言葉どおりチャンスをつかむのである。
カフェにいる客たち全員がアディに自宅建築の注文をした後、別の富豪カップルが入ってくる。見ると女性の方はネリー。アディ、ホリーと思わぬ再会を果たす。
アディたちが退場した後残った客たちがアディの才能を称える合唱で締めくくる。
○第4場:フロリダのアディの邸宅
一躍売れっ子建築家になった彼は大邸宅を構え、ホリス、ネリーと一緒に住んでいる。
嵐の夜、仕事中のアディのところにホリスがやってくる。今やホリスはアディの右腕兼愛人である(アディにキスをする)。
パーティに出かける支度をするよう促すホリス。ネリーも入ってきてアディをせかすが、彼は2人を先に行かせる。
アディが仕事を続けていると、突然男が飛び込んでくる。すっかり落ちぶれたウィリーだった。新聞で兄の成功を知り、ニュー・ヨークを発ったのだが途中から歩いてここまでたどり着いたのだ。体調も優れない様子。
アディにとっては疫病神の再来。追い出そうとするが、ウィリーはもう一度チャンスをくれと兄に懇願する。アディが拒否すると、ウィリーはその場に倒れる。驚いたアディは救急車を呼ぼうとするが、一際大きい雷鳴とともに停電となる。
○第5場:アディの邸宅のテラス
ネリーとアディが朝食を取っている。ウィリーは命には別状ないようである。ホリスが現れ、ウィリーから聞いた"Marvelous"なアイデアを話し始める。嫌な予感がするアディ。
そこへすっかり元気になったウィリーが現れ、精力的に語り始める。
4.Addison's
City
ウィリーはアディが設計した新しい都市を建設することを提案する。あまりに大風呂敷のアイデアにアディは難色を示すが、ホリスやネリーも乗り気になるので、とうとう最後にはOKしてしまう。いつぞやと同じパターンである。
ウィリーは未開発のフロリダ州ボカ・ラトンに目を付ける。
そこへ"Gold"のメロディに乗って投資家(またもパパ役の俳優!)がボカ・ラトンへの熱病のような期待を歌い、4人の前を一瞬通り過ぎる。
○第6場:フロリダ州ボカ・ラトン
5.Get
Rich
Quick
ウィリーはボカ・ラトンの土地を派手に売り込み始める。またもやギャンブルの始まりである。
大げさな宣伝文句と看板、美人ダンサー、ダークダックスみたいな男声カルテットを起用したCMに惹かれ、多くの投資家たちが集まってくる。彼らは地価がどんどん上がっていくので大喜び。舞台いっぱいに広がって踊り狂い、"BOCA
or BUST"(ボカを買うか破産するか)の宣伝文句が書かれた幌馬車のような乗り物(シカゴ・グッドマン劇場公演のポスターに使われている)に乗って舞台上を駆け回る。最前列で音頭を取るウィリーの両脇にはいつの間にかママとパパが付き添っている(あの世から帰ってきたのか?)。どうやらウィリーの性格はマイズナー家の血筋らしい。
その血筋から唯一はずれたらしいアディは、土地バブルの有り様を舞台端で呆然と眺めるばかり。
ママとパパが先頭に乗った幌馬車が走り去った後、バブルは崩壊。地価は暴落し、投資家たちは去っていく。アディたち4人には多額の負債だけが残った。言い出しっぺのウィリーを罵倒するアディだが、逆にホリスに頬を張られる。2人に愛想を尽かしたネリーとホリスと一緒に出て行く(最初はともかくホリスも最後は金の切れ目がアディとの縁の切れ目となる)。2人きりになったアディとウィリーはつかみ合いの喧嘩を始める。
○第7場:天国への入口
気がつくと2人は天国への入口前に戻っている。アディはウィリーを殺そうとするが、2人とも死んでいるのでどうしようもない。
6.Last
Fight
今度こそ弟と縁を切ろうとするアディに向かい、ウィリーは「でもほんとは兄さんは僕が好きなんだろ?」と語りかけ、出来の悪い弟でも見捨てないでくれ、と訴える。
最初は背を向けていたアディも、ついに弟への愛情を告白し、2人は和解する。やっぱり最後はアディがOKと言わされる運命にあるらしい。
歌のコンセプトとしては"Cats"の"Memory"に似ている。アディにしてみれば、さんざんひどい目に遭わされたけど、自分のそばにずっといたのは結局弟だけだったことに気づく。ウィリーもうわべは派手な人生を送ったが実は兄と同じ孤独を感じていた。兄は母の愛に飢えていたが、弟は兄の愛に飢えていたのだ。
7.Bounce
天国から2人を呼ぶ合唱が再び聞こえる。さあ今度はどうやって立ち直るか。一つだけ確かなのは2人で力を合わせることである。兄弟は肩を組み合って天国の門をくぐり、奥へと消えていく。