ZEUSUーゼウスー

 

#1 ”Ze

「オイ・・・名乗っていけ」

「おっさん。そんなん聞いてどうすんの?」

「そうですわ、こんな子供に。」

「お前らにはただ者じゃないオーラ、気がある。だから聞いている。お前ら何者だ?」

「「「「「「“Ze”」」」」」」

俺たち6人は声をそろえて武器屋のおっさんに答えてやった。

どうどうと“ZEUSU”を探す者、“Ze”と・・・・・

「あのおっさん、なんで僕らがただものじゃあないって分ったんだろ?E、分る?」

E』、俺のハンドルネーム。

闇の世界の住人的存在の俺たちにはハンドルネームというバリアをはって生きていかなければならなかった。

神の生まれ変わり・・・・・なのに闇にいるのは俺らの王様のせい。

行方をくらませて、どこに消えたのやら・・・・

ため息ものである。

ZEUSU・・・・ホント、どこにある?

神々の生まれ変わり同士で集まった集団こそ“Ze”、人々に忘れられてきている存在の塊。

「俺の予知でもわからねぇよ、F。」

俺のほかに5人。LISRF

もちろん、本名は知っている。仲間だから・・・・

しかし、仲間といえども闇に染まっていたらしょうも無いやつに良く狙われる。

だから、外出時には必ずハンドルネームであるアルファベットで呼び合う。

「そうなの?Eの予知だったら全然いけると思うのに〜」

F、そんな事を言っても神は万能ではありません。人間の思考を理解するなどほぼ、皆無に近いのです。」

可愛い系のFにクールなI

兄弟のように微笑ましく思えてしまうほどの包容力。

「ハァ・・・・買い物すんだし早く行こうぜ〜時間が惜しいだろ?」

「言えているわ。Lの頭にしては上出来よ」

ワイルドな二人はいつも助けてくれる大きな柱、LS

「いい天気〜これもEのおかげかな?」

いつも明るい。R

みんなが居てくれて俺は成り立っている。

心臓、脳みそ、手足・・・コイツらのためならなんでもくれてやる覚悟のうえ。

殺し屋として生涯を過ごす事に決めた。

今のところ問題もなく只、時が流れるだけのゆったりモード。

殺戮兵器と化する時間までいつものように路地からみえる青い空。

「う〜んやっぱりアジトって落ち着くv」

リリフは一番の特等席のソファーの上にもうねっころがっている。

殺風景なコンクリートの冷たい灰色の部屋に唯一のカラー、真っ赤なソファーは依頼をクリアしたときに貰った物だ。

「リリフ、早い・・・・お前本当、ネコなんじゃないのか・・・って寝るなよッ!」

「エイルス、そんな事言っても無理。リリフは一回寝たらおきないよ」

大きな袋を持ったリューズが顔をのぞかせた。

俺たちのハンドルネームはすべて自分の本当の名前の頭文字のアルファベットを使っている。

E→エイルス、俺の本当の名前。

「リュード、紅茶入れて。」

「ハイヨ、イリス様。」

「『様』はやめなさい。私たちは仲間でしょうに・・・・」

「はいはい!紅茶、ここ置いとくよ」

この空間だけは本当の自分になれるところ。

仲間との時間が俺のすべて。

地下の深いところにある俺達の城は明るさなんて少しも入らない暗闇。

電気がなければなにもかもが無になる世界。

『コンコン』

ドアに音が響いた。

ドアに貼り付けてあった『Ze』の看板がドアをたたかれ、ゆれて音を奏でているようだ。

E、誰か分る?」

客人が来るときはいくらアジトだからといって本名はご法度。

「本当に客のようだ。扉を開けてやれ、F

一番ドアに近かったF、フェイルがドアを空けた。

そこにはいかにも『リストラうけます』という顔の中年のおじさんと若い女。

「殺戮団、『Ze』はここでよろしいですか?」

丁寧な口調で口を開く若い女。

その姿とはあまり似合わない言葉を口にした。

「そうです。・・・・何か御用ですか?」

口調が一番綺麗なイリスがハニーレモンの飲みかけ紅茶のカップを置いて答えた。

御用がなければこんなところにはこないだろうと思うが俺は口を黙らせていた。

「この方たちを潰して頂きたい。」

中年の男が大きなかばんから分厚い書類の束をドンッと机の上に置いた。

誰もが近づきたくなくなるほどの厚みだった。

しかし、俺達の頭脳、スピアーは動いた。

驚くべき速さで書類を読み上げていく。

「了解、承諾します。ですが、コレに見合った報酬を頂きますが・・・E、こっから頼むわ。」

そういうと俺の肩にポンッと手を置き、部屋の奥へと消えていった。

その瞬間、俺の脳裏には書類の内容をまとめた情報が流れ込んできた。

そこから俺は予知を行う。

この依頼がどれほどの危険を伴い、どれほどの犠牲が必要なのかそれを考え、それに見合っただけの報酬を頂く。

それが俺達のやり方だ。

「この内容だったら、こんなものでどうでしょう?」

俺は電卓に金額を打ち込んだ、零を6つほど。

中年の男は渋い顔をしたが、すぐに分ったようで「分りました」と答え、去っていった。

E、この依頼に“ZEUSU”を感じたんだね?」

フェイルが顔をのぞかせた。俺は無言でうなずいた。

神王、ゼウスは記憶、体すべてを多くのカプセルに分けられこの退屈な世界にばらまかれた。

それを“ZEUSU”と人々は呼ぶ。

ZEUSU”は数え切れないほどの無能な人間の中に埋め込まれた。

それを取り出すには『殺す』という方法しかない、存在しない。

「それと、もういいみたいだよv風さんがそういうから」

「そうか・・・ありがとうフェイル。」

フェイルは海、泉、地震などの神ネプトゥヌスの能力を受け継ぐ者。

武器を持たない、平和信者。ダボダボの服はスカートのように着こなすが男。

中国人っぽい服装でドアの前にたたずんでいる。

外部情報はフェイルに任せるのが一番だと俺は思い、その場を離れた。

「イリスを呼んでくれ。スピアーがお呼びだ。」

リューズが戦略の神、ミネルアの能力者スピアーの言付けを言いに来た。

ぞくに言う勝利の女神とはミネルアのことだろう。

イリスは月の女神、ディアナの能力者。

清浄の女神はすべてを無に戻す。

どんだけ今回は黒いんだ?

「イリス、紅茶なんか飲んでないでスピアー、呼んでるぜ?」

リリフが寝転んでいたソファーにリリフをどかし、ちゃっかりと紅茶をすすっていた。

「わたくし?今は夜じゃないですわよね?エイルスの間違えじゃあなくって?」

月の女神は夜では活躍できるが昼間は俺、太陽神アポロの支配下。

「違げぇって。俺の出番は今回はあんまりナシだそうだ」

そういうとイリスは紅茶とともに消えていった。

「あ〜俺も飲もうかと思ったのに・・・・」

 

「スピアー、配置の説明を」

「待ってくれる?今回は中学校にも誰か行って情報収集をして欲しいの。」

「「「「「・・・・マジか?」」」」」

中学校、愚民どもの子供が集まる集団教育所。

反吐がでるほど最悪な場所だと俺たちは思っている。

「今回は学校教師として身を忍ばせているものが居ると分っているわ。ソイツをしめてくるだけでいいのよ、分る?」

「はいはいはい!!じゃあこういうのは・・・・・ねぇ?」

「ええ、もちろんですわフェイル。」

「俺も賛成だ。」

「だにゃー!」

「・・・・・“にゃ”?って何?俺?俺が行くの?!」

「私もリーダーが行った方が良いと思いますよ。予知もできますしね。」

「う〜〜〜〜〜・・・・・分った。俺が行こう」

こうして俺は情報収集のため愚民の集団教育所、白樺学園中等部とやらに行くはめになった。

江井太陽という偽名と仮の姿としてかつら、カラコンなどなどを使用して登校した。

「転校生の江井太陽君だ。」

教師が俺を紹介した。俺は「思いっきり性格は変えてください。何ならフェイルスのようにお願いします」とスピアーに言われたので本当におもいっきり性格を変えてあいさつをした。

「先生にご紹介いただいたように僕は江井太陽です。よろしくお願いします。」

自分のなかで一番の笑顔をしたつもりであいさつをした。

その瞬間教室のなかの女どもがキャアキャア黄色い声を発した。

「ちょっと〜かっこいい〜ごめんなさい〜英悟君〜〜」

「悩殺ぅう〜〜〜」

そのまま俺は後ろの席に黙って座った。

カラコンって目が痛いな〜

授業という変なものを受けさせられ午前中の貴重な時間がすべてを奪われようとした瞬間、ドアが大きく開いた。

「すいません!!まだ授業ありますか?!」

突然入ってきた少年に教室中が騒ぎ出した、

「キャアーーー!!英悟君〜〜〜今日来てよかった〜」

「日思井・・・・あと15分だ。」

「そうですか・・・・ソレだけ受けていきます。」

女の目が輝き、教師にも笑みがこぼれた。

俺だけは何もない表情をしていたようだ。

その少年は俺の隣に座ると前の男と喋っていた。

俺はこう言うときどうすればいいのか分らなくて何も言わずに外を見ていた。

「これで授業は終わりだ。日直!」

「きりーーつ・・・・れい!」

嗚呼・・・午前中が終わってしまった・・・・

教師を探すって結構大変だしそれぞれ5分しか自由な時間がないなんて・・・

愚民の集団教育所ってなんていう縛られたところなんだ・・・・

その後給食とかいう屑を食わされ午後の長い休みを迎えた。

「くっそ・・・どこにいるんだ・・・清吾っていう愚民は・・・俺の予知だとこの辺・・・」

広すぎる学校のなかを歩き回っていると目の前から声が聞こえた。

「ド〜モ♪転校生さんv日思井英悟と申します。何か探してんの?手伝う?」

なんて軽い野郎だ・・・・

「英悟君、そろそろ・・・・」

「え?モウそんな時間ですか?清吾さん。」

清吾?!・・・・発見・・・・流石、アポロさまさまだぜ。

「日思井君!その方は?」

明るい声と笑顔で聞いてみた。

「・・・・・ぼ、僕のマネさんだ・・・けど・・・・?」

「そうなんだ!ありがとう!」

「今度また遊ぼうよ!江井君!」

笑顔で僕はそいつに背を向けた。

絶対いかない約束をして。

「スピアー・・・・・あそこマダ行かなきゃだめか?」

 

 

 

作者:続くか〜?

ZEUSU一同:続け!!表に負けられないんだ!

 

作者より

ん〜年末企画ってこれ年末中に終わらないッスよ・・・・・

でも楽しいのでこのまま進みます。

次はいつ更新されるかお楽しみに〜

表も頑張んなきゃだこりゃ!!