LOVELIVE番外編

 

白い雪のなかで僕は夢をみた。
D〔ディー〕
僕は死にかけていた。
白く美しく散るなかで死にかけていた。
そのなかで天使が僕の目の前に現れた。
「死んだら何もなくなるけどいいの?」
ニコニコ微笑むその人は僕のすべてを見透かしていた。
その後なぜか僕はその人の手を握っていた。
今になって思えば悪魔なのになんで天使なんて見えたのだろうか・・・
きっと白く舞った雪のせいなんであろうと無理に納得した。
「お名前は?」
まるで小さな迷子にあった放送案内のお姉さんのように聞いてきた。
もちろん、名前はあるが好きじゃあない。
僕は答えない事にした。
無言で首を振る。
「ないの?!・・・カラーメじゃあダメ?」
カラーメ、お菓子の名前だった。
激辛ポテトチップスの名前をつけられては大変だった。
懸命に首を横に振った。

僕の懸命な首振りで納得したのかまたうなりながら名前を考えてくれていた。
僕の手を引いて歩いていくその人はいつのまにか雪でもはいれないような路地に入り、一軒の店に入った。
「ただいま〜」
誰も居ない店なのに大声で叫ぶその人がなんだかおかしかった。
「ココ、君の家でいいからね〜お菓子もあるよv」
周りを見れば木の棚の上にポテチやらアメやらなんやらお菓子が広がっていた。
反対側にはグロテスクな物体も置いてあったが気にしない事にした。
その人はあめ玉を瓶の中から取り出すと「口ッ!!」と叫ぶ。
なんだか分らなくそのまま口をあけたらあめ玉を放り込まれた。
透き通るような青い飴は優しく口の中で溶けていった。
「うまい?」
僕はこくりとうなずいた。
その時後ろの扉が大きな音を立てて開く。
「久しぶり、ヒルク。」
「やぁ、黒蝶。」
その人、黒蝶さんと似た顔をしたヒルクと呼ばれた男の人は血まみれていた。
タオルを渡すと微笑み、ゴシゴシ拭いていた。
「拾い子君?」
「そう、よく分るね。まだ名前は無いんだけど・・・・」
残念そうに笑うとタオルを受け取った。
「またお菓子の名前でもつけようとしたんだろ?・・・・カラーメとか。」
図星。
すべてをあてられていた。
どうやらお菓子好きなのは有名なようだ。
「かわいそうなやつだな、お前・・・・そんなお前にプレゼント。」
そういうと赤い帽子を僕の頭にのせた。
ニッコリ笑うとお菓子を買って帰っていった

懐にしまわれていたせいか赤い帽子は生暖かった。
「あれ?赤い帽子似合うね〜」
おくからカラーメを取り出し、ぱくついていた黒蝶さんがいう。
「そうです・・・か?」
僕は深く赤い帽子をかぶりなおす。
押さえ切れない微笑を隠すために。
「そんなに深くかぶんないッ!!」
「あ・・・!!!」
帽子を取り上げるとふわりとまた僕の頭のうえにやさしくかぶせる。
そして僕の目の前に一冊の絵本を置く。
「お名前決定。」
指差された絵本は『赤頭巾ちゃん』。
僕の名前は赤頭巾ちゃん?
最悪だった。
男なのにちゃんづけというところが最も嫌だった。
「あの・・・・男なんですけど・・・」
まぁ、捨てられてて髪切らないまま伸びきった髪の毛も悪いがそんなに女顔じゃあないと自分では思っていた。
「嘘ッ!!・・・じゃあ赤帽・・深夜・・・・信也!!」
「どうよ?」よ僕を覗き込む。
まるで子供がお母さんに「僕だって出来るもん!!!」と言い張る姿が重なった。

このときから僕の名前はちゃんと決まった。
赤帽信也。なんだか呟けば呟くほどに心に響く。
「赤帽く〜ん!!ちょっとできれば手伝って欲しいな〜」
「・・・・・・・・・」
「赤帽君?」
まだ生まれたての名前を黒蝶は呼んだので赤帽は反応できずにいた。

「まぁ、慣れていけばいいですよ。人なんてそんな柔軟に出来てないんですから。」

END

 

夏木sのところで投稿連載していたものです。

ん〜黒蝶は書きやすいんだよね〜だから人気が無くても!!!

主人公は書きにくい!!!(バカ