LIVE LOVE third death 過ぎた真 黒い蝶が飛んだ

 

 

「僕はココに捨てられた。親が捨てたかどうかは分らないよ?でも捨てられた事は真実だ。」

黒蝶はくっきりと残ったダンボールの後を見ながら微笑み、僕には聞こえない声でつぶやく。

「ねぇ・・・・白岸、元気ですか?」

遠くの、果てしないほどの空を見上げて今にも飛び去ってしまうような感じだった。

「さて、話しますけど・・・・・赤帽君、何しに来たの?」

僕の後ろに恥ずかしそうに赤いキャップをかぶった少年がいた。

どうやら黒蝶のお店で働いている少年のようだ。

「ちょっと気になるんで来ただけッス・・・黒蝶さんは何も俺に教えてくれないし。」

投げやりに言いながらすでに深々とかぶったキャップをまだ深くかぶる。

そんな少年にクスリと幸せそうに微笑むと「いいよ」とうながす。

「僕達は別々のところで別々に捨てられた。兄弟って気づかせないようにって意図的に見えるけどね。僕は白岸っていうおかしな人に拾われちゃってね。魔術っていうファンタジックなものをならっちゃったよ・・・・・

「白岸!!こんなこと無理に決まっているだろう!!!」

午後のさわやかな昼下がり、幼い黒髪の少年が笑い狂う白髪の若い男にどなりちらしていた。

「プハハハッ!!・・・・人間無理な事はないんですよ、黒ちゃん。」

無理やり笑った顔から真面目な顔に変える。

しかし、笑をこらえる顔はさらにおかしかった。

「アハハハハ!!おかしい!!おかしい!!」

「ソレ、動かせるまでご飯抜き!!!!!!」

「ンゲッ?!」

元祖黒蝶商店、白岸精工所の前の道路で“修行”という名の弟子イジメ。

白岸精工所所長、白岸春。

昔、政府魔学省直属魔術師としてすべてのものをまとめてきた男。

現在は小さなお店の所長兼自称老いぼれ魔術師。

最近可愛い弟子を拾い、もっていた黒い蝶のブローチから「黒蝶」と名前をつけた。

「白岸は人間じゃないでしょ?」

「正真正銘の人間です。・・・・ほら。」

手を狭い路地の影に重ねる。

「うっぐぁっ・・・・・」

うめき声とともに体格のいい男が倒れこむ。

「こんなやつでも倒せると思われているんですよ!!完璧人間じゃないですか!!」

こんなやつというレベルでもないと思われる。

「こんなやつを一撃では倒せませんって・・・白岸」

「師匠なのに呼び捨てぇ?!」

「『さん』をつける価値がないですから!!」

「黒ちゃんたらイ・ケ・ズ!」

黒蝶の頬をグイッと押す。

が、黒蝶の頬に激痛が走りまくる。

「痛い痛い!!!痛いッ!!白岸!!強化を解いてから触ってくださいよ!!」

「むぅ・・・・・」

「大の大人がスネルな!!ボケッ!!!」

怒りながら赤茶色のドアを大きな音とともに開け、ズンズンと大きな足音をたてながら台所へ向かう。

白岸はまったく料理は作れなかった。

しかし、黒蝶は1歳の時から無謀なほどに包丁を持たされたため、今では一流シェフ並だ。

「初めてのおつかいに行ってーらぁあ〜〜!!(←いってらっしゃいの意)

「ハァアア???自分で行ってください。」

ちょうど夕食が終わり食器を片付けている黒蝶にルンルンではなしかける。

「え〜〜〜!!すごい近いんだから!!」

「そんなに言うならご自分でどうぞ。」

「行ってよ〜買うのはね〜」

ゴソゴソと白い紙きれを取り出すと

「カラーメとカラーメとカラーメとカラーメとカラーメとカラ「いくつ買うんですか?!」

永遠に「カラーメと」と言い続けそうな勢いで言うので黒蝶が突っ込みを入れる。

「まぁおやつ程度に50個v」

「おやつ程度じゃあないですよ・・・・しかも何ですか?カラーメって・・・」

「激辛ポテトチップ!!激辛、うま辛、サラ辛、極辛の4種類!今なら50個買えば1個おまけがついてくる!!」

とても嬉しそうに微笑みながら話す姿は子供のようだ。

「あ、ソレ絶対5個の間違い「さっさと行ってこようッ!!」

言いかける黒蝶を完璧に無視して首から下げる型のおまもりを引っさげて。

砂漠のような何も無い砂道を1時間半歩き続ける。

「う〜わ〜どこがちょっとなんだぁあああ!!!!!」

叫んでも迷惑がかからないくらいの果てしない道。

その先にやっと小さなコンビニを見つける。

「ありがとうございました〜」

お姉さんの笑顔は何にもならない。

片手に25個のはずが変なオマケのせいで10個も増え、30個を片手にそれぞれ持ってまた1時間半の道のりを歩き続ける。

途中、不明団体のお兄様方に襲われかけたが白岸に対する怒りによりすべてを圧倒した。

「ただいま〜〜〜〜〜」

ぐったりとした声で木戸を開ける。

両手にもった計60個を店の奥へつっこみ、白岸の待っているだろう居間に向かう。

「白岸ッ!!全然近くねぇぞ!!!」

早々に怒鳴り込むとそこに白岸の姿はなかった。

赤茶色の壁に赤いしみが残っていた。

寒気が黒蝶を押し寄せる。

「白岸!!・・・・白岸?!」

また隠れているのかとすべての部屋という部屋のふすまを空け、探し回る。

「本当に悪ふざけがすきなんだから・・・・!!白岸〜!!どこですか?!」

しかし、どこをさがしても居ない。

夜はふけていくばかりである。

「嘘・・・待って・・・冗談でしょ・・・冗談・・・だよね・・・?冗談だと言ってくれ!!白岸ッ!!!」

泣き叫ぶ事しか自分にはできなかった。

まだ自分は何も出来ない人間なのになのに・・・・

冗談だよと笑顔で言って欲しかった。

「ジョーダンv」

「・・・・・・・」

「ジョーダンvだよvく・ろ・ちゃんv」

「・・・・・息の根を止めてやらぁああああ!!!!」

「アッハッハッ!黒ちゃん怖ぁ〜いvv」

「本当に殺しますよ?」

大笑いする白岸に負けじと恐怖とまざった笑顔で言う。

その後、壮絶なる喧嘩。

黒蝶は怒り疲れて寝てしまった。

「おやすみ・・・・黒蝶。」

黒い蝶のブローチをまくらもとにおいてふすまを音がしないように閉める。

「アハハ・・・・・もうココにはいられない・・・かな・・・」

笑っているのに涙がこぼれた。

 

「白岸〜なんでブローチあんの?・・・・・白岸?」

朝日の真っ白な世界にいつのまに1人でたたずんでいた。

また「ジョーダンだよ」とおちゃらけたように笑ってくれると思っていた。

「白岸ッ!!白岸ッ!!!!」

探しても探してもどこにも居ない。

昨日の夜中の出来事のようにまた笑ってくれるんじゃないかって・・・・

外へ飛び出した。

「ンだよ・・・・これ・・・・」

看板はいつものさびれた白岸製鉄所ではなく新しくかかった黒蝶商店という看板。

そして見覚えがうっすらとある段ボール箱。

最後のプレゼントは大きすぎたものだった。

ダンボールのなかにある黒い怪しげな箱を開けてみる。

なかには紙切れと真っ黒な紙に白いペンで書かれた手紙。

『黒蝶へ 君にまで迷惑はかけられないから僕はいなくなるけど、笑顔を絶やさずに生きていってください。

それに、君にこの場所をあげる。

いつか、困っている少年が現れたら必ず雇ってあげてください。

僕が君にしたように優しく、そして1人でも生きていけるように。

君の前から僕は消えるけど、必ず生きているから心配しないように!!

 

PS.カラーメはいつも置いておいて!!いつ帰るかわかんないからさ!』

いつものような笑顔が黒蝶の目の前には映っていた。

いつもの白岸の笑顔が・・・・

黒い紙切れはそのまま忘れてしまっていた。

最初の経営は最悪だった。

誰もこない何も無い

すべてが無になって世の中の世界はすべて白いものだと思うくらいに。

いつの日からか知らない人間が土地を売れ売れと押し寄せるようになっていく。

はじめて知った、この世はすべて力が強いものが生き残り、弱いものはどんどんすべてを無にされていく。

僕は白岸がいなくなったときから狂い始めた。

お店はとられて道端に僕は転がされた。

手にしているのは黒い箱と白岸の手紙、忘れかけていた黒い紙切れ。

何か恐怖を感じながら僕は黒い紙切れを開く。

『闇の世界に放り込んだ名も無い息子へ

これを開けたという事はまた捨てられてしまったのですね。

まぁ呪われた子供なんですから当たり前ですかね。

そんなあなたに一つ言っておきましょう。

今はもう1人だと思っていませんか?

あなたにはもう1人弟がいます。

その子は奇跡の子供。光の中に居るでしょう。

探す?探さない?どちらでもいいわ。

でも、私たちには関らない事、それが条件よ

あなたを理解するものより』

“理解するもの”。

つぶしてやりたかった。

弟である奇跡の子供。

そいつも僕の事をなにもしらないで裕福に優々と過ごしているのかと思うと自分でも恐ろしくなるほど壊したくなった。

白岸がいたころのような平和はもう僕には訪れなかった。

・・・・っというわけなんだよ〜」

明るく答える黒蝶は貼り付けたような笑顔しか残されて無かった。

後ろを向く前の黒蝶は泣いていた。

そう思えるほど眼は赤い。

『うわ〜喋るね、黒蝶。』

黒蝶さんの影が喋りだす。

どうやらヒルクが能力を使っているようだ。

「ここからはヒルクのほうが詳しいんじゃないかって思ってね〜ココできったよ。」

白岸という人との約束は絶対のようで笑顔は絶やさない。

『そうだね〜じゃあ次は僕の番かな〜ジュエル君はどうするの?まだ聞く?』

ココまできたら下がれない。

僕は返事をした。

赤帽君もどうやら残るようで今度は赤い影が話し始めた。

「さっきの奇跡の子って僕。分るよね?」

話し始めようとするとふと空に黒い蝶が飛んでいったように見えた。

 

END

 

 

お久しぶりです〜(笑

ホント今回は楽チンなのに遅い・・・・

すいませんでした〜

この話は続きますよ〜

『過ぎた真 昼間の苦痛』というのに続きます。

キーキャラは“理解するもの”

誰だろ誰だろ♪

そしてジュエルの人気は下がり続ける(笑

あんまし出てこないよ!!主人公なのに!!!

主人公メインは書きづらい!!(なのに主人公

よかったら黒蝶メインの小説も2月前半まで投票期間を延ばそうと思っているので読みがてら投票してってください。

やたら長い題名ですがどうぞ!!

赤帽君でますよ〜

他の従業員も出てくるのでどうぞ〜

最近黒蝶とヒルクの区別がつきにくくなっている作者より