LIVE LOVE second DESH 求める者

 

僕は不思議な力を手に入れた。自分が求む者を手にする力。

時に、自分の命を危うくする力に僕は身をゆだね、求む者を求めている。

只・・・・ただ・・・タダ・・・それだけ・・・・たったそれだけ。

『ドシュッ』

だから、僕が求めるものを邪魔する者は許さない。

僕が求む者、それは世界でたったひとつの者(物)なのだから。

火の海だろうが水だろうが死のうが僕は求む者(物)を求め続けることを僕は誓う。

只・・・・ただ・・・・それだけ。

「能力者・・・・?!」

まただ。最近妙に増えてきている、僕を邪魔する人。

僕には何も言う権利を与えられなかった。問答無用の発砲。

鉛球が僕のほうへと向かってくる。

でも、僕には好都合だった。

これで明日、君が元気に暮らす保障はなくなった。

だって、今から君は死ぬのんですから・・・・・・

敗因?それは僕を撃ったことですよ。僕の能力を知らずして撃ったこと。それが敗因です。

『ドンッ!!』

「グッ・・・・ハッ・・・・・ツッ・・・」

 

何っ・・・・この能力・・・・僕は撃たれた・・・・・んじゃ・・・・

「撃たれたのは事実だ。」

影のように音もなく現れた男、赤い影の男。

「流石刃君、君は今日から・・・・・なにかあだなをもっていないかな?このバトルは本名じゃでられないんだ・・・・・おっと名乗るのを忘れていたね!私は、ヒルク。以後、お見知りおきを。」

赤い影の男、ヒルク。

怪しい雰囲気が漂い、すべてを赤い世界へとおくる者にみえた。

「ん〜前から思っていたんだけど、黒がとってもキレイだよね〜流石君。だから前から考えてたんだけど『黒光りのジュエル』なんてどうかな?宝石みたいでいいと思うんだが?」

なんだかシャレた名前だ。僕はなんでもよかったので素直にうなずいた。

「素直なんだね〜流石君、いや・・・・『黒光りのジュエル』君。これから闘うにあたって、色々教えようか・・・・」

僕ははじめてココで知った。求めるもののために命をささげるこのゲームを。

どんな人間でも殺せば能力は上がる。能力者なら一般人二人分だそうだ。

これから半年、一番能力が強い者に与えられる“求む者(物)”。

僕は僕の求む者を獲得するためにこのゲームに参加することにした。

そのゲームは基本的にコンビでの殺し合い。パートナーが死んだら自分も死ぬ。

そういう世界。僕はなんとヒルクさんとコンビ。

力強すぎるパートナー、ヒルク。僕とは違う次元に住む人。

色々話をしたあと、ヒルクさんは立ち上がった。

「じゃあ、『黒光りのジュエル』君。私に用があるときは自分の影に話し掛けてくれないかな?そうすれば私はあらわれるからね。」

そういうと消えた。闇と同化しながら消えた。そこには何も無かったように。

 

一般人。でも、能力は上がっているはずだ。求む者に近づけたはずだ。

0.      1歩でも近づければそれでいい。

目に留まった暗い路地を歩いていった。

その先には只でさえ暗いのにその暗さよりも暗い倉庫。

不気味だったが、なんだか好奇心をそそった。

『ガララ・・・キィイ・・・・』

錆びた音、少し耳がきしんだ。というか鼓膜が縮んだ。

目の前にはダンボールの壁。思いっきり殴って壁を崩した。

『バラバラ・・・・ドーーン』

壁の向こう側には女の人が座っていた。

「ウフフ・・・・『吐息のジューアン』ココに参上☆こんにちは、『黒光りのジュエル』君。」

敵・・・・能力者だということは名乗ってくれたのでわかった。

相手がどんな能力でどんな条件で能力を発揮するのか、今、一番、知らなければならないこと。

「さぁ、はじめようか!」

ふわふわしたスカートがひらひら舞う。倉庫の古びた茶色の中に光る白。

一筋の白銀の長髪。

目つきを変えた、ジュエル。黒く光る二つの宝石。

「殺る気になった?よかった〜何もしない人を殺してもおもしろくないわv」

「フフフ・・・」と笑みを浮かべる。

キレた。脳天で音がしたのが自分でもわかってしまうくらいに・・・・

ひたすら、只、ひたすらにパンチをくりだす。

「アハハ・・・・フフフ・・・ウフフフ・・・・」

当たらない攻撃、体力だけがなくなっていく。

「あら〜?息が切れてきた?」

気がつけばハァハァ言っている僕の体。

まだ5分とたっていないのに息が切れ始めてきた。

「ウフフ・・・・ほら・・・もう殺れちゃうよ・・・」

幻覚を相手にしている気分。パンチをくりだしてもそれは幻覚、いや・・・そこに居ない者を相手にしているようで・・・・あてたはずなのにあてた感触がまったくない。気持ちが悪い感じ。すべてが蝶のように華麗に飛んでかわされる。

「ホラホラ・・・・そんなんじゃ死んじゃうよ〜ホラ・・・・」

突きつけられた刃。僕と同じ名前の時に殺人道具になる物。

「わたくしのために消えてくださいなv」

殺された。死んだ。首を一突きゲームオーバー。

・・・・・・・死んでない。意識がある。

「こんにちは〜御用のときは呼んでっていったでしょう?ジュエル君。」

目の前には真っ赤な影。背後にはヒルクさん。

僕は呼んでいなかった。影に話し掛けてなんかいなかった。

「あ・・・あ・・・・」

「ん〜不思議な顔してますね〜私は影ですよ?あなたの影です。だから、あなたが危険な時はいつでも手を差し伸べましょう、この『赤い影のヒルク』が。」

ウィンクをして、そのまま僕を後ろへ押した。まるで、僕は要らない者のように。

「サポートしてもらえるかな?ジュエル君v」

ニッコリ笑った。でも、根は笑っていない。悪しき気持ちに支配された心。

「2対1・・・・卑怯ですわ〜・・・・ねぇ・・・クィーン?」

「あら・・・お久しぶりに呼ばれてしまったのですね・・・ジューアン。」

どこからともなく現れた、違う女能力者。二人並ぶと気品というものが漂う。

「『微笑みのクィーン』ココに参上ですわ。」

「さて、二人そろえば最強よv」

「・・・・・・・『猛毒の女神』というのはあなたたちですか?」

ヒルクさんがはっした言葉、『猛毒の女神』。名前からして殺し屋の名前に思う。

猛毒・・・・なんてあの二人に似合わない言葉なんだろう。

「あら?わたくしたちをお知りになってて?」

「うれしいわ〜ヒルクさんともあろうお方にしていてもらって・・・v」

本当にヒルクさんは何者なんだろう?僕なんかと絡んでいていいひとなのだろうか?

「私はそんなに有名人だったんですか?それこそ嬉しいですね〜」

楽しく弾む会話。しかし、古びた倉庫の中は殺気でつまっていた。

殺気のほかに・・・・猛毒も・・・・

「ク・・・・・息が・・・・・」

倒れこむヒルクさん。僕もなんだか息苦しくなってきた。

「あら?やっと効果が出ましたのね、ジューアン。ではとどめと行きましょう。」

そう笑うとクィーンさんは消えていった。

まるで、そこにはいなかったように・・・

そういえば、さっきからジューアンさんはジャンプばかりしている・・・

もしかして・・・・

『ガシッ』「キャッ・・・・何すんのよ!!・・・息がぁ・・・・クハッ!!」

ジュエルはジューアンの足首を思いっきりつかんだ。

やっぱり・・・・ジューアンさんの能力わかった。

「・・・・・ジュエル君、よくやった。こっちも準備完了だ」

そういったヒルクさんの赤い赤い影は顔だけが現れているクィーンを捕らえていた。

「離しなさい!!撃つわよ!!」

どこからともなくクィーンの手が現れた。

現れた手にはしっかりと黒く光る銃をもっていた。

「どうぞ、ご自由に。」

「クッ・・・・・・・」

『パーン』

銃声が古びた倉庫の中に響き渡る。

銃口は僕に向けられていた。真っ赤な液体が宙を舞う。

「やりましたわ!!残るはヒル『ドピュ』・・・・・」

「クィーン!?今い『ドピュン』・・・・く・・・・」

ジュエルの体の一部が弾け跳び、クィーンとジューアンを打ち抜いた。

ドサリと倒れこんだジューアンに赤い影に支えられているクィーン。

ヒルクの赤い影の手はよりいっそう赤みを増していた。

「上出来だ」

気が付けば『猛毒の女神』、ヒルクさんはいなかった。

僕は知らない場所に居た。

古びた倉庫の茶色が目を覆っていたのに今は、白い壁が朝日に反射して目がくすむ。

「気がついたかな、ジュエル君?」

ヒルクさん・・・・・僕、気ぃ失っちゃったんだ・・・・

「お疲れ様だったね〜私は何もやることがなかったよ」

嘘つけ・・・・ほとんどヒルクさんがやっつけていたじゃないか・・・・

やることがなかったのは僕のほうだった。

最初なんか僕は邪魔者だったじゃないかぁ!!

「ハハッ・・・・でも、これから二人でやってくんだ。よろしく頼んだよ」

僕は広くてやわらかいベットの抱擁から抜け出そうとした。

でも、ヒルクさんの赤い影が邪魔をした。

「今日はゆっくりしていくといいよ・・・・」

今、気づいた・・・ヒルクさん眼鏡かけてたんだ・・・・

だから何か光っていたのかな?

そういえばココはドコ?白いマンション・・・・・デザイナーズ?

ヒルクさんの家かな・・・・・

「ココは暗黒街にある私の隠れ家」

暗黒街?・・・・中華街なら知っているんですけど・・・・暗黒街は聞いた事ないな・・・・

「暗黒街ってこのバトルに参加している者とか、裏社会の人たちしか知らない場所なんだって〜バトル参加者はココに隠れ家があるって〜太っ腹だよねぇ〜」

・・・・・・すんごく危ないところなんじゃないんですか?

太っ腹っていう問題じゃあないです・・・・僕の家ってドコだろう・・・・・?

「自分の家ね〜知るためには黒蝶にきいてみるといいって〜」

黒蝶?・・・・バトルの主催者なんですか?

「黒蝶はお店屋さんやってる人だよ。ほら、ココ行ってみな〜」

ヒルクさんの差し出した名刺サイズの紙、そこには住所が書いてあった。

『暗黒街4丁目13番地9 暗黒街物資取り扱い黒蝶商店』

いかにも怪しそうなお店だ・・・

 

「いらっしゃ〜い☆暗黒商店にようこそ〜」

黒い木製造りのお店。紫色のエプロンには大きく『暗』と書かれている。

怪しい・・・・怪しすぎる・・・

売っているものは色々あった。

瓶詰眼球七色カラー、もぎたてハンド。グロイ商品から、さっぱり牛乳、レレーラーメン。コンビニで売ってそうなものまで・・・幅が広い

「何買いに来たの?・・!!・・もしかして・・・はじめてのおつかい?!」

こんな怪しい店に小さい子がはじめてのおつかいになんて来ません。

親が気味悪がります。

そんな思いを抱えながら僕は事情を話した。

そういえば、この人とははじめてあった気がしない。

「ふ〜ん・・・・こんな坊主が参加者なんだぁ〜しかもヒルクとコンビ・・・いいねぇ〜ワクワクだよv・・・・・おいで、君の部屋を紹介するから。」

そういうと店の奥に入っていってしまった。僕はトボトボと黒蝶さんの後ろについて行く。

「今日は誰に言われて来たの?・・・ってヒルクだよね〜」

そういえば、ヒルクさんのことを呼び捨てにしている。

すごい強い人なのかな・・・・お友達?

「ヒルクの事聞きたい?」

黒蝶さんは僕の顔を覗き込んで微笑んだ。

僕は即行で首を縦に振った。

謎謎謎・・・すべてが謎に包まれている人の一つの謎が解けるのならば・・・・

「ヒルクね〜僕の弟〜★」

・・・・・・・聞き違いだと僕は一瞬思ってしまった。

歳は同じくらいに見える。

「双子。僕のほうが先に生まれちゃったの★驚きでしょ〜」

そういえば、顔が同じ・・・・・ってエエエッ!!!

だから、はじめてあった気がしなかったのか・・・・

「でもね〜不思議な事に誕生日は違うんだよ。僕は十二月三十一日、ヒルクは一月一日。十二時を境に生まれたらしいんだよね〜そのあと親に捨てられたんだ・・・僕達。

僕は闇に捨てられて暗黒街に、弟は光に捨てられちゃって社会にポン。

歩む道バラバラにされちゃったんだ〜弟のほうは日に当たって、僕は日陰にいたんだよ〜ずるいよね、ヒルク。でも、怨んではいないんだ。

僕もヒルクも大変だった事は変わらないし。

親いないし、親類いないしで兄弟離されるし。もう、ホームレス同然。・・・まだ聞く?」

ペラペラと話し始めた黒蝶さん。

とても興味深い話なので僕は真剣に聞いてしまっていた。

続きが聞きたい・・・・僕は首を縦に振った。

「ん・・・・・じゃあ母さんのことから話そうか・・・」

暗い路地のなかで聞く話は暗く切なく重かった。

 

Next….goodbye….