LIVE LOVE1 黒光りのジュエル

 

「あなたを殺します・・・・刃君・・・・」

愛しい君はいきなり僕にそういった。

何がなんだかわからない。

僕が君に何をした?君のために尽くしてきたと思っていた。

でも、君は今僕の目の前で黒光りする物を僕の額にくっつけている。

ナゼ・・・・・?

「・・・・不思議そうな顔しないでよ・・・もっと憎い顔してよ・・・!!」

いつのまにか君の顔には水が流れていた。

僕の・・・・表情。

ワラッテル・・・ナンデ・・・?

「ねぇ・・・なんでそんなに幸せそうなの?!今、生死の境を・・・・見てるのに」

僕にも分らなかった。

真剣な眼差しに戻そうとしているのに無理だった。

憎しみに満ちた顔もしたいのに・・・

君の涙を止めたいからか・・・・笑みはとまらない。

笑えば君も笑ってくれる?

「笑わないよ・・・あなたのためには笑わないよ・・・」

そういう君はうなだれていた。

いつのまにか黒光りの物は僕の額からなくなり、君の涙を拭くものに変わっていた。

自由になった僕の頭部は手に命令を出した。

君を優しく包み込めと。

「・・・・ねぇ・・・・なんでそんなに優しいの?!なんでそんなに・・・私を嫌いにならないの・・・・・・私を嫌いになって欲しいのに・・・殺して欲しいのに・・・・・」

そんな君を僕は僕自身の命令に従った。

抱きしめた。君に黒い感情が残らないように。

そんな、黒光りするものが似合わないように。

 

『パァン』

 

弾ける音、弾ける僕。

泣き崩れた君の顔はにんまりとまんべんの笑みに変わっていく。

「フフ・・・私の演技力ってすごい・・・さすがの能力者もダメだったわね」

君の顔がはがれ、知らない女の顔になる。

ダレ・・・・キミハドコ・・・・・・?

「あら?とっても絶望的。嬉しいわ。そのお顔v」

アカイ・・・・・ナンデ・・・・モシカシテ・・・・・・・・・・?

 

『ドピュッ』

 

鈍い音が知らない女のほうから聞こえる。

「クハ・・・・!!!!!!!」

なぜか僕は立っていられた。

倒れているのは彼女のほう。

不思議で不思議でたまらない。

「の、能力の発動だ・・・・と・・・」

彼女は倒れたまま、真っ赤な液体をこぼし、動かなくなった。

真っ赤な液体。

それは僕を、違うものに変えるスイッチに思えた。

 

「君も“バケモノ”の1人のようだね。流石君」

影は夜動き、人を喰い、笑いこける。あなたのそばでうごめき命を喰らう。

そのうちに、影は黒から赤に変化する。真っ赤な液体を吸い続けるから。

ほら、またひとつ染まったよ・・・・・

真っ赤にね・・・

 

今のは何だったんだろうか・・・・?

僕の肉体は弾けたはずなのにどこにも傷一つ無い。

逆に倒れているのは僕を打った人のほう。

トケタ・・・

コレデキミヲサガセル・・・・?

コレデキミヲ・・・・

 

ハッピーバースディ・・・黒光りのジュエル・・・・・・

 

 

黒光りのジュエル完