九星主様〜ナインアビラー〜

 

視界に浮かぶ不可解な数字。

『96543280639184』

「ったくなんの意味があるってーの!!!」

右端に映る、電卓のようなパネルに数字を入れていく。

「96・・・5・・・4・・3・・2・8・・9っああああ!!!間違えた!!」

少年の口から零れ落ちる言葉たち。

朝っぱらから少年は布団の上で頭をフルに使っていた。

「何で電源入れっぱで寝たんだろう・・・あ〜時間がねぇ!時間が!!」

そもそもこんな羽目になったのは昨日の自分のせいであって。

少年は特殊な機能をもった人間だった。

というか、人間とその他の生命体とのハーフとでもいっておこうか、まず半分は人間ではない。

普通の人間だったら視界の右端に電卓のようなパネルは映らない。

「恭介ぇ〜早くしないと遅れるわよ〜」

下から母さんの声。

そんなことは分っている。

分っているけど、出て行けない。

このままだと能力が高すぎて脳がオーバーヒートしてしまうから。

普通の人間になるためには半分の人間じゃない部分を封じ込めなければならない。

そんなあせりが恭介を襲った。

「ああああ!!!できるかぁあああ!!!!」

朝のさわやかには似合わないほどの大声と苦痛。

しかし、30分の格闘は無駄ではなかった。

「・・・84!!できた〜〜〜俺頑張った!!」

あせりの脅威のなかでの電源オフに恭介の気力はすべてを奪われそうであった。

現在の時刻は7時40分残り時間は20分そのわずかな間に朝食、身支度、学校のしたく(昨日忘れてた)をしなければならない、二黒恭介。

「母さん!!飯ッ!!!」

朝食の置かれた机にすべりこみながら席につく。

片手には寝癖を整えるためのブラシをもち、片手にはトースト。

両手はフルに活動する。

「恭介、一個ずつやる余裕をもちなさい・・・・・」

「ふぁふぁってふふぉ(わかってるよ)」

おしこめられたトーストが口の中で暴れ出す。

そんなトーストたちを無理やり牛乳でおしこみ飲み込む。

おとなしく腹に収まったトーストに感謝の意味をこめて挨拶。

「ご馳走様でした。」

次に待ち受けるかばんに向かう。

片手のブラシは変わらずに寝癖と格闘中。

かばんは大きな口を空け、俺に喰らいつく。

昨日の教科書とノートを素早く取り出し、必要な分の教科書、ノートを押し込む。

俺、勝利。

最終バトルは寝癖のみ。

(頑張れ!!俺のブラシ!!)

そう、念を送りながら洗面台に向かい片手に歯ブラシ、片手にブラシの同時進行で即急にブラシ物を片付けにかかる。

しかし、歯ブラシ終了後の俺の寝癖は手ごわかった。

(クッソ・・・最終兵器か・・・・!!!)

最終兵器=水。

最終兵器を頭にかぶりドライヤーで熱風をあびせ無理やりセットする。

「おっし!!行って来ま〜す」

現在時刻8時ぴったし。

鳩時計もその時を伝えている。

ミッション成功。

「クルッポークルッポー」

(俺最高!!!俺万歳!!!)

小さなガッツポーズを友に登校。

「恭介、ごきげんだね〜」

「その元気の10%でもいいから僕は欲しいよ。」

同じ顔の野郎が二人。

鋼野六白・七赤兄弟。

OK!頭OK!容姿OK!の完璧少年。

ちなみに俺は顔それなり!頭それなり!!容姿それなり!!の一般それなり少年。

「それなりの何が悪い!!!BY恭介。」

「「それなりは進化が無い。BY六白&七赤」」

「・・・・悪うございましたね、進化ナシで。」

天才は消えちまえッ!!!

「それで今日はなんで元気30%増量なわけ?」

「どーせ寝ぼけてスイッチ入れっぱで起きたんだけど余裕で間に合ったとかでしょ?」

「な・・・・監視してたのか?」

図星図星図星。

恐ろしいほどに今日の状況をしっかりとどこかで見ていたような・・・・

「んなめんどくさい事をなんでこの僕達がしなくちゃいけないの?」

「そうそう!そんなの湿った恭介の髪を見ればイチコロv」

(まぁどうせ、能力でも使ったんでしょうけど・・・あ〜俺もあいつらみたいな能力が欲しい!!)

「「おしかったね〜恭介。」」

顔およせあいながら笑う二人。

頭にくるような顔をする。

「バッ・・・勝手に人の思考を読むんじゃねぇよ。」

思いっきり冷たい視線を野郎共におくってやった。

二人も恭介と同じ半分人間、半分人間じゃないもの。

「ん〜相変わらず危険な子達・・・鋼野六白君、赤七君」

「気色悪いですよ、ナインアンビラーなんて(お前もな!コノ厚化粧)。」

学校向かいの高層ビル。

(厚)化粧をした女(男)と無表情な少年。

二人は双眼鏡を懸命に視界に広げていた。

「やっぱ九星は強いね〜はんぱないわ、オーラ。お姉さんまいっちゃうv」

手を口元に持ってきてかわいくポーズをとってみたりしてみる。

「(お前はお兄さんだろ)そうですねーオーラバシバシですねー」

軽く流す少年にお姉さん(お兄さん)は冷たいコンクリの床に寝そべる身体の上からもっと冷たいものがのしかかっているような気がしてたまらなかった。

「・・・・感情抜きは勘弁してくれない?」

「(不可)以後気をつけます。」

その言葉に感情は無かった。

無線から出てくるロボットの声のように

「お兄さん方〜僕達に何か御用ですか?」

背後からチャラケタ若い声。

「やっぱ早いな〜楓の移動方法は。」

「二黒・・・恭介・・・・・」

「(うわッ・・・平凡な顔だな〜)さっきまでそこに居たじゃないですか。」

後ずさりするお姉さん(お兄さん)とは大違いに開き直ったように大きな態度を見せる少年。

「ん〜なんか双子がうるさくて。」

「(テメーは1人じゃ行動できない坊ちゃんか?)それはすいません。」

感情抜きの笑顔での対応。

完璧に挑発しているぞというオーラも出ている。

「あんたらのお名前は?」

「(めんどくさ)凍狼です。こちらは園蘭さんです。」

「へ〜変な名前。俺は「(ウザッ!!)知ってますよ、二黒恭介君。」

おもいっきり偉そうにうえから言う、少年凍狼。

その態度に恭介はブッツン寸前だった。

「なんか口パクで言ってませんか?」

「あはは〜嫌だな〜恭介君。口パクなんてやってないよ。(やってるよ)」

「凍狼、挑発なんてしたら・・・・」

どこまでも偉そうな凍狼に園蘭は注意を入れる。

しかし、そんなことで凍狼が収まるわけもなく。

そのまま挑発を続行する。

「(ダマレv)園蘭さんは心配性だな〜九星使徒がすごいことは了解済みです。」

(!!)

九星使徒という言葉に妙に反応する。

九星、古代中国の「洛書(らくしよ)」の図にあるという九つの星の事(Yahoo!辞書より)。

陰陽道では五行にコレと方角を配置し、運勢を占ったとか。

そう、二黒恭介、鋼野六白・七赤は九星の意志をつなぐ使徒。

九星使徒、ナインアビラー。

それぞれのもつ方位、惑星から力を借りる事の出来る非公開人種。

半分人間で半分人間ではないもの。

「(興味もないけど)さて、君はどんな能力なんですか?」

「ん〜戦闘用」

微笑み合う二人の目が一瞬、ほんの一瞬あったような気がした。

少しだけ恭介の右手が赤く光った。

「・・・・・グハッ・・・・(嗚呼、馬鹿げてる)」

「ヒッ・・・・・」

赤くは無い。赤いのに赤くないような血が宙を舞った。

雨のように恭介の上に降り注ぐ。

黒い学生服が赤黒く光りだす。

「真っ赤だな〜真っ赤だな〜つたの葉っぱも真っ赤だな〜♪」

血雨がやんだ空を見上げて恭介は歌いだす。

「君の心も〜♪」

「「真っ赤だな〜♪」」

屋上で寝そべるツインテールの少女の風の声と恭介の声が重なる。

歌っている間に園蘭はどこかに消えてしまったようだ。

しかし、恭介の足元には二人分だけの血溜り。

別の場所から釜井達のような風が吹いたのだろう。

恭介の右腕に傷がついていた。

「やるな〜楓。」

屋上で寝そべる少女に大声で話し掛けるとグッと親指を空に向けた。

学校の窓辺では双子が怪しく微笑んでいた。

「戦闘能力のほうが僕たちは」

「うらやましいと思いますけど・・・・・」

 

 

 

 

作者より

これ、結構時間かかったような気がします。

書き上げたのは早かったですけどね〜

チェック→書き直し→チェック→書き直し→チェック→書き直しと何回かやってたので

遅かったですね〜すいません。

コレは書く前の資料集めも結構大変でした。

楓という人はまだ一言も喋ってませんね〜

多分またHit記念で書くと思うので(他にキャラをつくったから)

待ってみてください。

ちなみに楓は「かえで」ではなく「ふう」と読みます。

なんか間違えられそうなので・・・・っていうか普通はそうは読みませんよね〜

他の名前は

二黒恭介「じくろきょうすけ」鋼野六白「こうのろっぱく」鋼野七赤「こうのしちせき」

凍狼「こうろん」園蘭「えんらん」です。

分りにくい名前だな〜すいませんOTL

それより、LOVELIVEと7POWERを更新しなきゃかな〜と思っています。

多分7POWERの方が早いと思いますけど、両方頑張ってますんで!!

では、またのご来店をお待ちしてます。