恋人[イトシイヒト]
『恋人はサンタクロース♪』
(ウワッ・・・古ッ・・・・・っていうかそんな古い曲を知ってる俺は何?!)
季節外れにもほどがあるような曲が商店街を盛り上げる。
『恋人でHAPPY!愛で不況もぶっとばセール!!』とかいうふざけたセールなんかやってるもんだから“恋人”と名の付く曲たちは季節外れだろうとなんだろうと流しているようだ。
「う〜寒い・・・早くこないかな〜伊織・・・・」
ケーキ屋の前で待つ。俺は甘い匂いに囲まれながら俺の顔を寒い風が駆け抜けていく。
まだ寒いはずなのにショーウィンドウの光の熱で背中は温かかった。
あまりにも暇なのでポッケの中からアールロイヤル(タバコ)とライターを取り出す。
甘いバニラのにおいが鼻に通る。
「ふぅ・・・・」
ため息をつくと白い息と甘いアールロイヤルの匂いが俺を包み込む。
「アケト!おまたせ〜ごめん!!待たせたよね!!」
一本目が終わる頃にケーキ屋のドアが「ガランゴロン」と鳴り、伊織が飛び出してきた。
「・・・おせぇよ・・・お待たせしまくっちゃってるよ・・・・伊織君。」
伊織は笑ってごまかすとケーキ屋へ俺を促す。
「はい!今日の分ですッ!!」
山のように詰まれたケーキの箱。
よく女の子は「ケーキの山に囲まれたいv」なんて言うが、俺は毎日のように山のようなケーキに囲まれている。
この甘ったるい匂いにも慣れるくらいに。
ザッと50個ほどのケーキを配達するのが俺のバイト内容。
幼馴染の伊織の家なので高校生の俺でも簡単に雇ってもらう事が出来た。
「はぁ・・・・たるい・・・」
半分くらいを配達し終え、一息つこうとアールロイヤルを吸おうとすると伊織が横から奪い取った。
「未成年が吸うなぁあ!!!!没収ッ!!!」
伊織のせいで半分の小遣いが消えた。
しかし、リスク多いタバコ代。俺はアールロイヤルを取り返そうと努力した。
「おぉぉおい!!!!返せ!!!」
「ダ〜メv体に悪いのよ〜ん♪」
完璧に取り上げられた。
「取り上げるなら金くれ・・・・・」
「NO!!こんなアイボリ君を吸っちゃダメなの!!」
「あ〜・・・・半分・・・・」
2箱のアールロイヤルはケーキ屋のゴミ箱へ。
その後の俺はすさまじく働いた。アールロイヤルのために。
伊織父に「頭うった?」などといわれるまでに働いた。
「ったり〜マジたり〜!!!!伊織ちゃ〜んアールロイヤル返して!!」
「ハッ?!ゴミ箱だから。」
ゴミ箱といっても一個は開封していないので平気なはずだ。
しかし、すでに失敗ケーキとまざっていたようなのでアウトだろう。
「そのかわりバイト料(増)だよ〜vvv」
俺のバイト料を手にもち、目の前の商店街へと飛び出す。
その時だった。
俺は初めて孤独を感じるほどの赤い色を見た。
めったに通らない商店街の道に商品を乗せたトラックが伊織を巻き込んだ。
「伊織ッ!!!!!」
叫んだ1秒後には伊織の姿はなかった。
軽トラなのに伊織の軽い体は遠くへ飛ばされていたからだ。
アールロイヤルを握ったまま伊織は動いてはくれなかった。
恋人とはいえない距離にいた小さな存在。そんな存在を俺は消し去ってしまった。
『西城家葬式』
その時が最後の伊織という存在を感じられたときだった。
俺の目の前で一輪の花は枯れてしまった。
あのケーキ屋も今、商店街にはない。
伊織と俺をつなぐものは焼き払われた。
そして今、俺はあのときのちょっと赤色がついたアールロイヤルを眺めながら寒空の残る屋上にたたずんでいた。
「伊織、見てな。ちゃんと罪は消させるから。」
俺はあのときのトラックの運転手を探し出すために這いずり回っていた。
「み〜っけ・・・・・」
ある日俺はそいつを見つけた。
「死ね」
パンッという音と共にまた俺はあの赤い色に出会ってしまった。
作者
初お題作品がこんなんでいいんですかぁあ!!!
いいんだよv(笑
短いですね〜うん短い。
でも次回もあるんですよ。
頑張りますよ〜!!!自分v
実を言うと3つくらい今書き終わり・・・・
疲れた・・・・OTL
まぁいっぱいかけたし〜楽しかったな〜