gU 柏木凌という実験用鼠(マウス)
『お好きな色は?』
『『赤か黒』』
ある日のテレビ番組に双子の少女が「突撃!街で噂の美少女実態調査隊!!」
と大きなプラカードを持ったアナウンサーが質問攻めにされていた。
俺は「かわいいな〜」と一般的なことを考えながらテレビを眺めていた。
しかし、その少女たちはめんどくさそうにその質問に答えていた。
『何か好きなのことはない?』
『『探偵と占い』』
めんどくさそうにしてても言う事は女の子だな〜と少しほほえましかった。
だが、その後の質問により俺の微笑みは固まった。
『将来の夢は何かな?』
『『親の逮捕』』
どうやら両親は犯罪者らしい。しかも、警察まかせではなく自分で逮捕とは・・・
あっけにとられたのは俺だけではないようで、生放送中のアナウンサーも固まっていた。
『え〜っと・・・・じゃ、じゃあ探偵って?』
『自分たちの職業に決まってるじゃん。』
『お姉さん頭おかしいよ』
あざけ笑う姿はツンデレを過ぎて頭にくる。
アナウンサーの「プチン」という音も聞こえてくる。
『そ、それでは!今日の「街で噂の美少女実態調査隊」は街で噂のツンデレ双子でした〜』
『相沢さん、お疲れ様でした。では、続いて速報です。』
アナウンサーは動揺しながら中継を切る。
「すいませ〜ん!!」
俺の休息を邪魔するように店のほうから声が聞こえる。
残念ながら客に呼ばれたのでそのままテレビから目を離す。
「2点で340円です。」
俺は何の感情もナシで答え、お金をもらい、「あーざーした〜」と空あいさつ。
「柏木ぃいい!!テメーやる気出せぇえい!!」
奥で店長が騒ぐが無視。
俺はもともとココに来るべき人間ではなかったんだ・・・・
―――――1時間前
「う〜・・・何も見るもんねぇし・・・仕事か〜たるいな〜・・・休む・・そうだ休もう。」
時計は午後2時を指していた。
俺の仕事はフリーター。
フリーターなんて聞こえがいいが悪く言えば無職のニート。
バイトも大体は休んでいる。
しかし、今日はそうもいかなかった。
「すんませ〜ん。今日はお休みさせていただきたいんですけど〜」
『・・・・柏木ぃ〜今日休んだら首切るぞ〜パァーンキャーで終わりだ。』
「柏木凌、至急働きに参ります。」
気づけば俺は店長の脅しにまんまとはまってり、現在にいたる。
「すいませ〜んコレよろしく。」
俺が落ち込んでいるとまた客がやってくる。
「はぁあ〜い・・・・・只今参りますぅうう・・・・・」
思いっきりだらけた声で俺はレジにつく。
「マスクが一点、マニキュアが一点、週刊誌一点、電池一点。以上4点でよろしいですか?」
「翔夢〜おでんの卵ぉ〜」
俺が確認を終えたところでATMをいじっていた少女が叫ぶ。
「あ、じゃあおでんの卵と・・・じゃがいもも・・・・」
男っぽい名前の少女が追加注文をする。
俺はめんどくささ全開でおでんを容器につめる。もちろん、汁は多め。
汁多めは俺のポリシーだからだ。
いい感じにつかったおでんを別の袋に入れ、マスク、マニキュア、週刊誌、電池を袋に詰める。
「ちょうどお預かりします〜」
『チン』というレジの音が店内に響く。
そういえばこの少女たちはどこか見覚えがあった。
「・・・・・どっかで会った事ありますか?」
俺はレシートと一緒に質問をした。
「「ああ。」」
二人同時にうなずくと「「さっきテレビでてたよ。」」と平然と言った。
そういえばさっきのアナウンサーをタジタジにさせていた姉妹だ。
「あ〜だからか・・・・んじゃ。あーざーした。」
さっきと同じように挨拶をし、店の奥へ戻ろうとする。
しかし、それは少女たちの手によって阻まれた。
「「態度悪い。」」
そういうと少女とは思えない握力&パワーで俺を引っ張っていく。
「「もう一回教育をしなおしてあげるよ、お兄さん」」
不敵な笑みと一緒に俺は連れさらわれた。
コンビニエプロンのままで俺は街に出て行ってしまった。
いい宣伝になっているようですれ違うすべての人に笑われていた。
(なんで俺こんなことなってんの・・・・)
ズリズリと同じ顔の少女二人に引っ張られてく。
そのうちに壁につきあたる。
「行き止まりじゃん・・・戻るのかよ〜」
俺が少女たちに背後を見せた瞬間、2発のパンチが背中に直撃する。
「いっ・・・・・」
「「バ〜〜〜〜カ!!!!」」
そういうと少女たちが壁に手を当てる。
心地よいほどの風が頬とボロボロの髪の毛をなでる。
「「さぁ、入るよ」」
少女たちは俺に微笑を向け、赤いじゅうたんの世界へ引き込んだ。
「「お帰りなさいませ、夜吹様、翔夢様。」」
現実とはかけ離れたようなゲームのなかでしかみたことのないような服装の人が出迎える。
すらりとした体に黒いタキシードの男にやわらかに微笑むメイド服の女。
「「ただいま〜蘭、百合。」」
「ど、ども・・・・」
とんだ場違いの人間が迷い込んでしまったようだ。
なんだか居場所がない。
赤いふかふかのじゅうたんの上をコンビニエプロンで歩く男、俺が世界初だろう。
「では、こちらでお着替えを・・・・・」
メイド女の案内で少女たちと同じ部屋に俺も放り込まれる。
「好きなの着ていいから」
そういうと服を脱ぎ始める。
「ちょ!!おめー!!女だろう?!気ぃ使えって!!!」
俺は目を両手で隠す。
しかし、少女たちは笑いこけると
「アハハハ!!・・・あんたもホモヤンキーと同じなわけ?!」
「アハハ・・ハハ!!!・・・僕達は男だよ〜」
そういうと右隅にかけられたタキシードに着替えていく。
その姿は女から男へと変わっていた。
「ナッ?!さ、先言え・・・」
俺は隅のほうから真ん中へどうどうと歩み寄る事が出来るようになった。
しかし、俺は一つの問題にぶち当たってしまった。
「・・・・俺は何を着ればいいんだ?」
「ん〜テキトーに着て。」
「考えるの面倒だし。」
お騒がせ兄弟は自分のことばかりで俺に目をかけたりなどしない。
酷いやつらもいたものだ。
「いや・・・・そういわれても俺は困る。」
「「じゃあこれ着て」」
俺になげつけられたのはじいちゃんの葬式以来着ていなかったような黒いスーツ。
シンプルイズベストですか?
「「さて、行きますか。」」
着替えを済ませたお騒がせ双子は俺なんかを待ってくれない。
あたふたと青いチェックのネクタイを締めて双子を追う。
「行きますかってドコ?!」
赤いじゅうたんをどたどた歩きながら俺は双子に聞く。
「「そんなんも分らないでココにきたの?」」
そんなこといわれてもなんでここにいるのかも分らない俺に何を分れと?
「「これからお兄さんにはちょっと実験に手を貸してもらうよ。」」
今考えればココで俺は後戻りしなければならなかったのかもしれない。
作者より
お疲れ様です。
投票小説の結果で人気のあった新装版G or Bはどうだったでしょうか?
前回のG or Bとは違い、柏木という人が主人公ですが双子は相変わらず出ております。
一様第二話となっているので初回のG or Bをお読みでない方はそちらからお読みください。
柏木はすごい書いてて好きなんですよ〜
平凡でその辺に居るような青年は好きですよ。
実はモデルとかいたりして(笑
コンビニの店員でこんな感じの人が居るんですよ。
その人をモデルに書いてみました。
ありがとう!!コンビニのお兄さん!!
では、3話目は四月ごろに更新すると思います。