G or B

 

 

「ねぇ、双子の彼女。俺たちとどう?遊ばない?」

渋谷109前。

美少女ともいえるような同じ顔の二人が街を歩いてた。

「?」

誰に言っているのか分らなかったらしく目を丸くしていた。

「彼女達だよ、か・の・じょv」

ナンパのお兄さんが女の子の目の前に立ち、ニッコリ笑う。

しかし、鼻で笑うと驚きの言葉を放った。

「「彼女?俺たちなんだけど・・・・ホ〜モッ!!」」

目の前でニッコリ笑ったお兄さんたちはそのまま固まった。

そんなお兄さんたちを横目に笑いながら後にした。

「まただね〜夜吹。」

「だな、翔夢。」

ここは都心ですか?と聞きたくなるような狭い路地の中を進み壁に突き当たった。

二人が壁に手を触れた、その瞬間だった。

髪が後ろになびくほどの風が何も無い壁から吹き始めた。

「お帰りなさいませ、夜吹様」「お帰りなさいませ、翔夢様。」

「「ただいま、蘭、百合。」」

すらりとした体に黒いタキシードの男にやわらかに微笑むメイド服の女。

赤いじゅうたんはセレブの証。

双子は何も無かった壁から「我が家」を取り出した。

「「彼と彼女は・・・・」」

「もちろん。」

「見つかってはおりませんわ。」

二人の返事にほっとむねをなでおろす兄弟。

「夜吹様、お客様がお待ちですよ。」

「了解。」

「翔夢様はこちらへ」

「分ってるよ。じゃあね、夜吹。」

「ああ、また夕食でな。」

夜吹は長い長い廊下を歩くなか、蘭に服を渡された。

蒼いフリフリのミニスカワンピース。

アクセントの胸のフリルの薔薇が特徴だ。

さっきまで着ていたズボンにシャツの上からワンピースをかぶり、ズボンを脱ぐ。

茶色いカツラをかぶり目の前の部屋へ入る。

「夜吹様、今日はどういたしますか?」

「巻いといて」

「分かりました。」

ウェーブがかかる長い茶髪。

すっかり女の子仕様だ。

「お待たせしました、お客様。伊都様です。」

「お待たせしました、山吹伊都です。今日はいらしていただきありがとうございます。」

蒼いワンピースは夜吹の男っぽさを無くしている。

すべては美を象徴している。

夜吹はお客様の前だけ女の子の山吹伊都。

普段は夜吹。

使い分けているのはHとSに会わないため。

発見されないためのもの。

しかし、ややこしいので夜吹と統一しておこう。

「ココは他の探偵事務所では解決できないものを解決できると聞きました。」

金の縁取りがされた真っ赤なソファーの上で場違いなほど一般的な女の人が座っていた。

「はい。でも普通の探偵事務所で扱うようなものは取り扱っておりません。」

「どういうことですか?」

「犬を探せなどのくだらないこと。殺人事件なども基本的に取り扱ってはいませんわ。」

“詳しくはコチラ”と太字で書いてある冊子を手渡す。

さらさらと読むとお客は冊子を返すと依頼を口にした。

「私・・・最近、追われているような気がするんです・・・それも暗い日に限ってなんです!有名な探偵事務所にもいったんです!!でも・・・状況は変わらなかったんです。」

ソファーに座るお客様は涙ぐみながら答えた。

心当たりが夜吹にはあった。

彼=Hと彼女=Sの招待状だ。

「分りました。蘭、伊乃を呼んでください。」

「承知いたしました。」

伊乃とはもちろん、翔夢のことである。

二人は探偵事務所を隠れながらやっていた。

もちろん、二人に抵抗していくためである。

そのために二人から被害をうけている人を集めている。

集まる場所として選んだ事務所は役に立っている。

「お待たせしました、姉様。何か重大なものなのですか?」

翔夢はショートカットのかつらに色違いのピンクのワンピース。

アクセントの花は薔薇ではなくチューリップになっていた。

「どうやら彼と彼女の仕業のようです。」

「まぁ・・・・で、何か被害を受けていたのですか?」

「ストーカーの手前くらいのことなんですが・・・・すごい恐怖心に追われるんです。」

「さすが・・・・ギリギリできますのね・・・」

彼女と彼は犯罪ギリギリのことをやってくる犯罪者。

目的は二人の存在の変更。

「それとコレが今朝・・・・」

小さな白い封筒の宛名の部分に黄色いハートのなかにHSと書かれていた。

「分りました。わたくしたちで解決してみますわ。」

「お任せください。」

二人は優雅にお辞儀をすると長い廊下にもどる。

「ん〜・・・・今回はどんな回し者かと思ったら」

「結構普通な人だったよな〜」

ばさばさと着替えを済ませ、長いリムジンへ向かう。

今度はタキシード姿だ。

黒いリムジンはこれまた大きな屋敷の目の前で止まった。

すかさず蘭が扉を開ける。

「いってらっしゃいませ。」

「おう!留守を頼むよ。」

「百合さんにコレ渡しといて。」

「了解しました。」

大きな屋敷に入るとまた赤いじゅうたん。

長い廊下、ならぶメイド。

次元がちがうファンタジックな世界の頭上には光り輝くシャンデリア。

「さて、直接対決かな?」

「ああ、こっちも覚悟していかないとな。」

大きな茶色の扉を二人でおしあけた。

目の前に広がる長いテーブル。

あきれるほど遠くに二人の人影が見える。

「お久しぶり、兄弟!」

「よう!夜吹、翔夢!」

軽い感じで声をかけてくる二人に兄弟は依頼時にもらった封筒をフリスビーのように放った。

封筒は二人に向かって飛んでいく。

軽くよけると背後の壁に突き刺さった。

「うは〜危ないッ!!」

「そんなに気に入らなかったか?コレ。今度はハートにしてみたんだが・・・・」

壁から封筒を引き抜くと悲しげにポケットにしまう。

H、何のつもりですか?招待状なんて。」

「たまには顔がみたいな〜と思ってね。」

「自分勝手ぇ〜」

夜吹の背後からひょっこりと顔を出してブーイングする翔夢。

「まあ!!どっちがよ!!私たちの目の前からいなくなったりして!!」

まけじとのりだすS

「まぁ両親の前から姿を消すのはいただけないな。蘭も百合も何も教えてはくれない。」

HSは兄弟の両親。

そして、盗みでここまでのぼりあがった人。

そんな両親に負けないために逆の職業につく息子たち。

「今回は逮捕させていただきますよ、お母様、お父様。」

「あら、強気ね、夜吹。」

「兄様だけではないということも忘れずにお願いしますよ、お母様、お父様。」

「ほう・・・・今回はやる気だね、翔夢。」

二人は大きなテーブルを後ろに赤いじゅうたんの廊下へ戻っていく。

その背中は負けないというオーラがもれていた。

 

作者より
おめでと〜双子!!!
受かったよ!!夜吹&翔夢をヨロシク!!

夜吹:・・・・選んでくれた?!
翔夢:夜吹〜はしゃがないで!!!
百合:そうですわ!あ〜素敵なドレスが〜
夜吹:・・・・だって〜嬉しいじゃんかぁ〜
作者:(・・・・・かわいい・・・・・vvvv(親バカ)