Real Time 〜今、生きる道〜

 

「いくら天才でもねぇ〜」

「はぁ・・・・そうですか・・・・・そうですよね・・・・」

僕は[天才美容師]と言われた、ピチピチ15歳で高1の沙魚 翼(さお よく)という者です。

高校をやめて、美容師として雇ってくれる所探しています。でも、いくら世界第3位でも、子供は子供。雇ってもらえるところなんて今のところ一つもない。

「はぁ・・・・やっぱ高校戻ろうかな〜」

公園のベンチに座って考えていると、女の子が僕の方に走ってきた。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・!?・・・・ちょっとかくまって!!!」

その女の子はとってもかわいい。ウルウルのブルーの目に、茶色の髪はロングでとてもきれいなのにくせっ毛なのか、あちこちクルクルになっている。

(うっ・・・・いじりたい!!・・・・・しかもよくみると超お譲校の制服じゃん!)

「お嬢様!!いい加減にしてください!!永宮家の専属美容師がお待ちです!!」

「な、永宮家!?あの『永宮コンサルチェント』の?!たしか、美容室もやってるって・・・・・」

「何?知ってるの?『Strawberry』と『Real Time』っていう美容室はうちの会社よ」

「えへへ〜」と笑う女の子

「し、知ってるも何も・・・・僕、美容師になりたいし・・・『Real Time』ってすごいし」

Strawberry』は女の子専門の美容室で美容師もクールビューティーな女性又はジャニーズ系美少年という女性あこがれの美容室。

Real Time』は男専門。『ダサ男をモテ男』というのをテーマにある美容室である。腕はバツグン!ココで身だしなみを整え、告ったら完璧フラれないというスーパー美容室。

僕が一番就職したいのは『Real Time』。青を基調に、美容師もかっこよくて憧れが強い。

「う〜ん・・・・・君、世界第3位の最年少美容師の沙魚君だよね?」

「え・・・・まぁ・・・・・・」

「じゃあ・・・・実力はあるんだよね・・・・う〜んと『Real Time』来る?」

少し考えてからこの永宮のお嬢様がビックリする事を言う。

「えっ・・・・いいんですか?!」

「うん♪いいよ〜」

笑って答えるお嬢様。ちょっとかわいい・・・・・

「沙羅お嬢様!!そんな軽いことじゃないんですよ!!」

「うるさいよ〜高梨〜いいじゃん!いいじゃん!美容師の1人や2人さ〜」

『高梨』という沙羅を追ってきた執事と思われる、男の人

「沙羅お嬢様!!旦那様に怒られますよ!!」

「もう!じゃあ採用試験しよ〜それならパパも大丈B〜」

というこで、僕は『Real Time』の採用試験を受ける事になったので、永宮家に行くことに。

 

「「「「「「お帰りなさいませ、お嬢様」」」」」」

「どぉわぁ〜!!!」

玄関は僕の部屋くらい、扉は僕ん家の倍。屋敷の大きさは一般家庭の5倍か、団地5個分くらい?もっとかな?まぁとにかくすごい。庭も野球とサッカーとバスケがいっぺんにできるくらい広い。すんごっ・・・・・玄関ををくぐると、よくドラマとかにある、ダァーってならんでお辞儀するのと、同じ光景が・・・・

「うん♪ただいま〜みんなもどっていいよ〜こんなんで時間使ってたら大変でしょ?」

「「「「「「では、失礼します」」」」」」

「沙羅お嬢様、さっそく試験の方を・・・」

「まぁまぁ〜ちょっと遊んでからでいいじゃないの〜それから、それから♪」

僕は遊び人?試験のこと考えて心臓バクバクだったのに・・・・・

「し、しかし・・・・」

「はいは〜い!堅くならない〜じゃあ高梨も遊ぼぉ!ね?」

説得にかかるわがままお嬢。「う〜」と悩む高梨さん。その時軽い声が聞こえた

「あれ?沙羅とちゃう?うぉ〜い!沙ぁ羅ぁ〜!!!」

「は?沙羅様?やっといたのか〜はぁ・・・・・・髪整えましょうよ〜!沙羅様〜!」

大きく手を振る、沙羅さんと同じくらいの美形男2人

「空馬!翔馬!ヤッホー!!」

「くうま?しょうま?・・・・ああ!!!!!!」

『空馬』&『翔馬』双子美少年参上

「この者たちは『Strawberry』と『Real Time』の掛け持ちカリスマ双子美容師ですよ」

「知ってます!知ってます!僕と2個しか歳違わないのに!もう自分の店持ってるっていう佐ケ波兄弟!!」

顔良し、腕良し、性格よ〜し!パーフェクト双子と名が高い僕の目指している人達。

「たかなっさんもヤホ〜」

「こんにちは、“下佐ケ”君」

「いやだな〜“下佐ケ”はないじゃないですかぁ〜」

てをひらひらさせる佐ケ波弟、翔馬。チャパツの髪は自然でかつ、かっこよく自分を見せている。服装もラフだ。

「いつも無礼だからそんなこと言われるんですよ、翔馬」

「ああ、こんにちは、空馬君。いつもながら行儀正しいですね」

眼鏡をかけている佐ケ波兄、空馬。黒髪は知性をだだよわせ、その目はいつも未来を予測しているような目だ。服装もちゃんとした正装だ。

「このちっさいのは?」

僕を見下ろす翔馬さん。そりゃちっさいですよ・・・ハハッ・・なんてったって160p。

「沙魚君だよ〜知ってるでしょ?あの最年少プロ美容師の子で世界第三位の子〜」

沙羅さんがヒョコっと顔を出す。

「あ〜!!!あれか!!知ってるぞ!ヨクか!!美容師のツバサ!ヨク!」

「え・・・・そんな偉い者でもないです・・・・・」

「ククッ・・・・・すごいですよ、君は。君の同じ歳の時の僕達でも4位だったしね」

「すごい・・・世界4位で日本の大会全て優勝ですし・・・僕は全然かないませんよ」

かこまれて少しビックリしていると

「沙魚君は3位じゃん!こいつらはパパが連れてきたんだけど、沙魚君は私が連れてきたんだから自身もってよ!!ね?」

「ほっほ〜う・・・じゃあ勝負してみる?俺たちと?どうよ?さ・お・く・ん❤」

翔馬さんが少しキレたらしく、勝負を挑んできた。

「翔馬にしてはいい考えだね、その頭を美容にも使ってくれ・・・・・どうかな?沙魚君?」

「え・・・え〜っと・・・・」

「やろーじゃんかぁ!!」

僕のかわりに沙羅さんが返事をする

「さ、沙羅さん?!」

「『さん』はいらないよ〜」

「はぃぃ・・・・・・・」

「いいんじゃないですか?沙羅様。これを試験にしましょう。これで佐ケ波兄弟を倒したら雇いましょう」

「おう!いいじゃん!さぁやろー!Let’s GO!ヨッ君!」

「よ、ヨッ君?・・・・まぁがんばります!!!」

 

「ではカットバトルをはじめます。沙魚対佐ケ波兄弟!はじ「ちょっと待った〜!!」

バトルの開始を高梨さんが言おうとしたら沙羅さんがストップをかけた。

「空馬と翔馬でやるんだったら、カット&メイクでしょ?高梨?」

「はい、そのつもりでしたが、何か問題でもありますか?お嬢様」

「ズルイ!!」

「「「はぁ?」」」

僕、翔馬さん、高梨さんが同時に叫んだ。

「だって〜佐ケ波’sは〜コンビでやってんじゃん!ヨッ君は1人〜ズルイ!!ねぇ?」

「そうですね〜我息子ながらずるいわ〜やっほ〜空馬、翔馬〜かっこいいぞ〜」

「「母さん?!」」

「えっ・・・・・お母さん?」

いつのまにか現われる、フレッシュなスーツ姿の女性。

「どぉもぉ〜佐ケ波洋子で〜す♪営業部部長兼秘書やってます、よろしくね〜沙魚君♪」

スマイルを絶やさない、とっても明るいお母さん、洋子さん

「佐ケ波母ってよばないでね〜♪なんなら気軽に洋子ちゃんって言ってね〜」

「「呼べるか!!」」

佐ケ波兄弟の強烈な突っ込み。

「え〜ママはぁ〜呼んでほしいな〜『ちゃん』づけで〜」

ウインクをするテキパキママ、洋子さん。

「「気持ち悪い!!」」

「え〜ママに対してそれはないんじゃないの〜?」

「う〜ん・・・洋子さん勝負に加わりません?」

「えっ?いいの〜??嬉し〜vv」

目を輝かせる洋子さん

「「ゲッ!!」」

かなり引きつる双子さん

「何〜?ママには負けちゃう?」

「「負け(ねー)ないから!!!」」

なんだか親子で話が進んでいる。

「えっと・・・洋子さんの実力は・・・・?」

僕は沙羅さんに聞いてみた。

「え〜と・・・・メイクでは日本一だったかな〜結構昔だから〜10年前?」

「はぁ・・・・」

「沙羅ちゃ〜ん!歳がばれる!歳が!洋子ちゃんは若くいたいの!!!」

結構すごいんだろうけど、この人が?って感じだ。しかも、歳にしちゃってるし

「でも、あの兄弟を育てたのは洋子さんだよ〜結構強敵!!」

「はぁ・・・・」

なんだか「はぁ」しかいえない・・・・・

「では再開します。洋子さん、沙魚組VS佐ケ波兄弟組、カットメイク対決はじめ!」

モデルは二組とも黒髪のロングの女の子。

「がんばれ〜洋子ちゃ〜ん!!ヨッ君〜!!」

大きく手を振るわがままお嬢。

「ハーイがんばるよ〜」

うう・・・手を振ってないで手伝ってください・・・洋子さん・・・・

「いたよ・・・『ちゃん』呼びの人が・・・・」

「まぁいい。母さんには負けない!!メイク生命にかけても!!」

「俺も負ける気がしないね!」

燃える佐ケ波兄弟

「じゃあヨッ君のカット技術を見せてちょうだい!世界第三位のね・・・・・」

洋子の言葉を合図に作業をはじめる。シャンプーは自分がしっかりと使い、香り、性質などを見極め、モデルの髪質に合わせたもの。シャンプー後、赤茶色のヘアカラーで染め、カッティングをはじめる。その華麗な手つきはさっきまでおどおどしていた男とは思えないほど、見違えていた。

ライトハードのワックスをつけ、仕上げる。ナチュラルだが、明るさと若さを加えた髪に仕上がった。

「はい!髪は完了!次は洋子さんですよ〜」

「ん〜さすが!かわいくなってるわ!さぁ!この後はまかせなさい!!」

にっこり笑うとすばやく、そして綺麗に仕上げていく。

唇はつやつやピンク。チークはピンクとオレンジのかせね塗り。

ネイルは女の子らしくハートのラメに。

「こんなもんでどーでしょう!?」

「オォ!!!すごいです!綺麗です!可憐です!」

自分ではできない技術に驚く沙魚。

「俺たちも完成・・・母さん頑張りすぎてない?空馬が会得できてない事やってんじゃん」

「カットも綺麗だね」

しかし、佐ケ波兄弟のカット&メイクもすばらしい

「では、審査に入ります。審査員は、沙羅お嬢様、『Strawberry』店長、今井様の2名!」

二人の目が光る。厳しい審査だ。

「う〜ん・・・・どっちもいいんだけどね〜洋子さんの技術やっぱすごいですもんね〜」

店長絶賛のメイク。

「では、審査結果の発表です!沙羅様・・・・」

「発表しま〜す♪勝者は・・・・・・洋子ちゃん・沙魚組で〜す!!!!」

「ウッシャ〜〜!!!子供(ガキ)にはまだ負けないわ!!!!」

「洋子さん!落ち着いてくださいぃ!!!!」

「あ〜あ〜負けちゃった〜」

「認めざる、得ないですね」

こうして僕は『Real Time』と『Strawberry』で働く事になりました。

 

「沙魚〜今日は3時からな〜「かわいい」からって予約だ〜」

「は〜〜〜い!!!!」

返事をして、客ほうへ向かう。

両方掛け持ちは結構きつい。あっち行ったり、こっち行ったりで・・・・

予約があるときだけ、僕は働いているんですが、沙羅さんが宣伝しまくったので予約客が絶えません。

「これも、沙羅さんのおかげです!ありがとうございました!」

ちょっとした休憩時間のベランダ。僕は空に向かって叫んだ。

 

END