シミュレーションの勧め(回路図エディター)
"何をしても音は変わる"の中で書いている回路図は何で描いたのか質問がありました。ちょうど良い機会なので、簡単に使える回路シミュレーターの話をしたいと思います。回路シミュレーターは本当に便利で一回使ったらもう止められませんよ!。
私が回路シミュレーターを最初に使った時は、音響カプラー(電話機の音声をそのまま使って送受信する・・・・・懐かしい!!)を使ってIBMの大型コンピューターに接続して使うもので、日常、使用するには敷居が高すぎて魅力を感じませんでした。その後10年ほどしてから、Spectrum Software社のMS-DOSで使えるMicro-Cap3が発売され、会社で使い始めました。MC3は回路図上の配線が難しく、繋がっているようで繋がっていないことが多く、使いにくく、しかも共用で使っていたので、これも積極的に使う気になれませんでした。その後、Windows用のMicro-Cap5が発売され、さらにMicro-Cap5のCQ版が発売されて個人でも気軽に使えるようになりました。
このMicro-Cap5のCQ版はノード数などの制約は多いのですが、オーディオの回路程度なら、十分使用に耐えるものでした。それからは、回路は全てMicro-Cap5 CQ版でシミュレートしてから使いました。hfeや温度などのファクターを変えてシミュレートできるのですから、便利此の上も無いシミュレーターで、手放せなくなりました。本当はCQ版ではなく機能制限のない正規版を欲しかったのですが、とても個人で購入できる価格ではありません。今はそのMicro-Cap5のCQ版と、ita2さんに教えてもらったMicro-Cap8の体験版を使っています。
Micro-Cap8の体験版は Spectrum Software社のホームページよりダウンロードできます。Spectrum Software社のホームページのメニューからDEMOをクリックすると、Evaluation Version (5.4M)のダウンロードができるページに移ります。Micro-Cap 8の日本の代理店 (株)東陽テクニカのホームページhttp://www.toyo.co.jp/micro-cap/index.htmlからもデモソフトウェアーをダウンロードできるようになりました。(さらに、「日本語Micro-Cap 7 チュートリアル」、「FAQ」コーナー が提供されています、(株)東陽テクニカのホームページの<汎用計測機器>の中の電子回路シュミレーターソフトをクリックするとMicro-Cap 8のページに入れます)
MC5の体験版は今まで、CQ版(CQ出版社)でCQ版として売られていましたが(1万5千円程度でした)現在は絶版になっています。
Micro-Capは回路図エディターとしても秀逸で、簡単な作画機能もあり、使い方も簡単です。回路図を描くだけなら、知っている人が直接説明すれば、数分でほとんどの人が使えるようになるでしょう。Micro-Cap8体験版のHelpに各種デモがありますので参考に見てください。何故か、私のパソコンではこのデモが無茶苦茶早くて何をやっているのか細かなことは判りません。でも大体の事はこれを見ているうちに判ってくると思います。
では簡単にMicro-Capでの回路図の描き方を説明します。
最初にFileメニューからNewをクリックしてSchematicを選択してください。回路図の作成画面が現れます。パーツはComponentメニューをクリックしてから目的のパーツを探し出してください。例えば抵抗ならComponentメニューをクリックしてAnalog primitives → Passive components の先のresistorをクリックしてください。
後は、回路図領域内で左マウス・ボタンをクリック・ドラッグし、希望する場所に部品を配置します。この時左マウス・ボタンを押したまま、右マウス・ボタンをクリック、あるいはスペース・バーを押すと、部品の表示方向が 90度づつ回転します。方向が決まったら左マウス・ボタンを離します。そうすると部品属性ダイアログ・ボックス画面が開くので、抵抗値を打ち込んでokをクリックするだけです。
部品属性(部品番号、定数、モデル名)を変更したい時は、ツール・バーの選択ボタンをクリックします。変更したいパーツをダブルクリックすると、パーツの設定画面が開きます。部品番号、定数、モデル名の表示位置を変更したい場合は、変更したい属性を回路図領域内で左マウス・ボタンをクリック・ドラッグすることで自由に位置を決める事ができます。その他のパーツも配置の方法は同じです。注意しなければならないのは定数の記入単位でしょうか。
F | フェムト | 1E-15 |
P | ピコ | 1E-12 |
N | ナノ | 1E-9 |
U | マイクロ | 1E-6 |
M | ミリ | 1E-3 |
K | キロ | 1E3 |
MEG | メガ | 1E6 |
G | ギガ | 1E9 |
T | テラ | 1E12 |
単位は大文字でも小文字でも良く、Mもmも両方ともミリを表わします。
次は配線ですが、を左クリックするとWire Modeに入ります。後は、端子間を左マウス・ボタンをクリック・ドラッグすることで結線できます。文字を挿入したい場合は、
をクリックするとText Modeに入りますので、文字を置きたい場所で左クリックしてからTextを打ち込んでください。作画により簡単に部品を描く場合は
を左クリックすると作画メニューが現れます。このメニューをさらに左クリックして目的の作画に適する物を選んでください。作画の方法はやはりクリック・ドラッグです。色々試してみると面白いと思います。そうそう、作画というのは、単なるお絵描きで電気的なシミュレートには何の関係も意味もありませんのでご注意ください。単なる回路図なら、これだけで殆んど描けてしまいます。簡単なものです。
その内に、シミュレートの方法も簡単に説明したいと思っていたのですが、2002年4月から「Micro-Cap 7 日本語チュートリアル」が(株)東陽テクニカさんより提供されるようになったので説明の必要がなくなりました。こういった日本語チュートリアルが発表されるのは珍しいことですし、良く出来ているチュートリアルのようです(さらに興味がある人は、トランジスタ技術SPECIAL-No.56とNo.62を参考にして下さい)。また、SPICEで検索をかけると結構シミュレートの方法を説明しているホームページが見つかりますので、そちらを参考にするのも良いと思います。
Micro-Cap 7の日本の代理店 (株)東陽テクニカ
その他にもかなりのSPICE(Simuletion Proguram with Integrated Circuit Emphasis)を使った多数のシミュレーターが存在します。使い勝手や機能の豊富な点からは、やはりMicro-Capが好きです。ただもっと多くのノード数を使えたら良いなあと思うことが多くなり、価格が安いシミュレーターを探し始めました。参考までに、例えば、以下のような回路シミュレーターがあります。私も少しずつ試しています。
CircuitMaker2000
PCB-CADを検索していて見つけました。米国MicroCode Engineering社製回路図CAD&シミュレータ&PCB-CADのソフトウエアです。 前バージョンのCircuitMaker6は日本では\40,000程度で売られていたようですが、CircuitMaker2000になってから、回路シミュレーターとPCB-CADが統合されました。価格もサーキットメーカー 2000のプロ版で、\128,000とPCB-CADが統合されている事を考慮するとリーズナブルな価格です。
私はhttp://www.circuitmaker.com/よりCircuitMaker2000 Trialバージョンをダウンロードしました。アナログ回路をシミュレートして使ってみただけの感想ですが、回路図エディターとしてみると、昔使っていた図研の回路図エディターとかなり似ています。使いにくい処までそっくりです。回路シミュレーターとしては、全体に操作性が悪い、シミュレートした結果の表示の設定に自由度が乏しい等、Micro-Capと比較するとやや不自由さを感じてしまいます。ただPCB-CADが統合されている事を考えると仕方が無いことかもしれません。価格がMicro-Capとは一桁違うくらい安い事を考えると上出来!とも言えます。それと私にとって嬉しい事は、ちゃんと真空管のデバイスも用意されていることです。Studentバージョンでも12AX7/12AU7/6SN7/7199Tが使えるし、。同じStudentバージョンでもMicro-CapのStudentバージョンより使える素子数も多いようです。
CircuitMaker6.0 Studentを収録した本 http://www.bookclub.kodansha.co.jp/Scripts/bookclub/intro/intro.idc?id=27978 がブルーバックスから発売されています。内容はCircuitMaker6の取説に近いもののようです。私はまだ読んでいないのですが判りやすいSPICE関係の本が出版されるのは珍しいので期待しています。
購入は ミッツ株式会社
OPUSER 2000
http://www.unicraft.co.jp/index.html
OPUSER 2000 NC Basicは“回路図エディタ+A/D混在回路シミュレータ+基板レイアウト+オートルータ+デザインルールチェック+基板製造データ出力+部品作成+部品表作成+日本製部品を含む部品ライブラリ ”で\49,800です。但し、メンテナンス契約なし/サポートなしで、インストール、バグについてのサポートのみです。
使ってみました。EDWin XP/2000 Liteのデモバージョン
OPUSER 2000 NC の中身は基本的にはEDWin XP/2000のようです。EDWin XP/2000 NC Professionalの価格は$300 、EDWin XP/2000 NC Basicで$190ですので激安です。私もEDWin XP/2000 Liteのデモバージョンを使ってみたのですが、各ソフトのグループに対する操作が面倒なのと、回路シミュレーターはやや使いにくいと感じました。回路エディターの場合、最初の部品選択の煩雑さでうんざりしてしまいました。慣れだけの問題かもしれませんが、部品ライブラリーの内容を見るとアナログ中心の私には合わないのかもしれません。PCB-CADは部品設定に部品の形状が入り込むため、回路シミュレーターのみのMicro-Capと同じような使い安さを期待するのは難しいことなのかもしれません。私はPCB-CADまで試してみていないのでPCB-CADに興味のある方は試してみてください。なんと言っても価格が魅力です・・・。
VISIONICS EDWin XP/2000
http://www.visionics.a.se/index.html
EDWin XP/2000は一応(OPTIOPNで日本語を選択すると英文が文字化けする個所がある)日本語対応されています。Helpは英文ですが替わりに結構詳しい日本語チュートリアルが用意されています。EDWin XP/2000 Liteのデモバージョンはダウンロードしたzipファイルを解凍しただけではインストールできませんでした。解凍した中のEDWin2K.CABがzipファイルなのに気がついて、さらにこれを解凍してからインストールしました。
Ivex Spice アナログ・シミュレーション
http://www.datadynamics.co.jp/ivex/ivex.html
Ivex Viewにアナログ回路シミュレーターIvex Spice/Standard(スタンダード)は¥25,000です。さらに回路図入力 WinDraftとPCB レイアウト WinBoardは使用できるpin数によって価格が違い、ユーザーにとって合理的な体系になっています。
PSpiceオフィシャルホームページ,現時点で最もポピュラーなシミュレーター
http://www.pspice.com/default.asp
カナダElectronics Workbench(Interactive Image Technologies社)multiSIM 7
Education版やStudent版は驚くほど廉価で提供されています。もともと定評のあるシミュレーターであり、UltiBOARD 7やUltiROUTE 7はかなり高機能で本格的なPCB-CADですからStudent版が購入できる人にはお勧めです。 個人的にも一番使ってみたいシミュレーターです。Professional Editionは私には手が届かない価格です。
Personal Edition の価格
兼松エレクトロニクス Multisim 7 Professional \337,000 Ultiboard 7 Professional \252.000 Ultiroute 7 Professional \252.000
McCAD Classic SPICE (マッキントッシュのためのアナログ電子回路シミュレーター、 Power Macintoshには非対応)
http://www.midl.co.jp/products/McCAD/2SPICE/
B2 Spice A/D ver5
B2 Spice A/D 2000はBスクエアード スパイスと読むそうです。 プロ・ バージョンには真空管モデルが多数付属しています B2 Spice v5 Professional $399 B2 Spice v5 Standard $249 B2 Spice A/D v4 Lite フリー B2 Spice A/D v5 + PROFESSIONAL + Eagle PCB Layout and Autorouter $1197 B2 Spice A/D v5 + STANDARD + Eagle PCB Layout and Autorouter $846 B2 Spice A/D v5 + PROFESSIONAL + Eagle PCB Layout $798 B2 Spice A/D v5 + STANDARD + Eagle PCB Layout $448 日本の代理店がcircuit boards service, inc.に代わりました。 価格などは近日、公表されるようです
まだ簡単に触ってみただけの感想ですが、定評のあるシミュレーターだけあって使い勝手は中々です。独自の設定や動作が理解できていないので面食らう事も多いのですが慣れだけの問題のようです。 PCB CADも人気のある Eagle CADと組み合わせて使えるようになりました。
Beige Bag Software,Inc. http://www.beigebag.com
日本の代理店はcircuit boards service, inc.です http://homepage3.nifty.com/circuitboards/v2_software/softwarelist/softwarelist.html
Eagle CADの使い方はこちら http://www.cadsoft.de/Tour/tour00.htm
Beige Bag SoftwareからダウンロードしたB2 Spiceのデモバージョンをダウンロードすると、日本語IMEのリンクが消えてしまうことがあるようで、私のパソコン(Win2000)は漢字変換が出来なくなりました。ご注意ください。
Island Logix社のVisualspice
Island Logix VisualSpice Personal v6.0(schematic,analog, digital, mixed mode simulator) $99 VisualSpice Std v6.0(Std schematic, analog, digital, mixed mode simulator) $149 VisualSpice Professional v6.0(Pro schematic, analog, digital, mixed mode simulator) $199 (MONTHLY SPECIAL) VisualSpice Advance V6.0 (Schematics, Analog, Digital, Mixed Simulator) $249 (MONTHLY SPECIAL) VisualSpice Professional Download $99 VisualPCB Std (Std schematic, PCB layout, Std Auto-Router, viewer) $199 VisualPCB Pro (Pro schematic, PCB layout, Pro Auto-Router, viewer) $399 VisualEDA Pro Advanced (FULLY LOADED)(VisualPCB Pro + VisualSpice Advance) $579
廉価かつ機能豊富で驚いてしまいます。最初シミュレーションをスタートさせると小さなSCOPE Windowが出てくるのですが、この中に結果が隠れていて、面食らいます。さらにControl Panel WindowやHelp Windowが個別に現れるので煩わしく感じられ、最初はとっつきにくい気がしました。でも、慣れれば使いやすいのかもしれません。私は最初から諦めていますが、よほどの覚悟があって、英語に堪能かつこのVisualSpiceの使い方が直に理解できる人にはIsland LogixからのDownload版$99は魅力です。ダンピングしすぎとも思えますが嬉しいと言えば嬉しい価格です。
Island Logix http://www.islandlogix.com/
有限会社データ ダイナミクス http://www.datamagic.co.jp/ilogix/ (リンク切れです、会社名が変わったのかも知れません)
日本のデータ ダイナミクス社ではIvex のPCB CADを取り扱っています。VisualPCBについては不明です。 その他、Visualspiceは同名のMIDI用ソフトがあり、ちょっと紛らわしいです。Score PIece Compile Engine からSPICEと言われているようです。
シミュレーションについて大変に詳しく乗っているホームページです。トップページ下のCMOS & SPICEより入ってください
http://www.venus.dti.ne.jp/~s-takei/index.html九州東海大の藤本研究室のホームページです。PSpiceを学べます
http://www.ktokai-u.ac.jp/~kfuji/金沢大助教授の北川先生のホームページ、各種Spiceの使用方などがあります。For Studentsが入り口です
http://jaco.ec.t.kanazawa-u.ac.jp/kitagawa/index.shtmlSPICEシミュレーターとPCB-CADのpart2へ