第1話 山火事だ!ゲーム

無事に復活を果たしたP8mkII。しかし、 専用のディスプレイがないことに変わりはない。 受験期ということもあり、めったに使うこともないであろう本体を 居間に置いておくわけにもいかず、 結局は部屋の隅に置いておくことになった。 加えて、「いつでも使える」という安心感があったことが逆に 「今使わなくてもいい」という気分にさせ、 結局それ以降、高校に入るまで殆どmkIIに触れることはなかった。

長い受験も終わり、開放感に浸る中三の春。 巷ではドラクエIVの発売に沸いていた頃だろうか。 わざわざ秋葉原まで買いに行ったゲームが5インチ版しかなく、 家の非純正ドライブで動かなくて金を無駄にしてしまったのもいい思い出である。

高校の合格祝いに 専用ディスプレイを買ってもらい、本格的にmkIIが復活した後も、 それほど真剣に使うことはなかったと記憶している。 「復活した」ということそれ自体に満足してしまい、 それまでのモチベーションが薄れていたのかもしれない。 また、高校生になり、いきなり遠くの見知らぬ町の学校に通学を始め、 いろいろと気苦労の多い時期でもあった。 こういう精神的に不安定な時期は、あまりパソコンにも のめり込めないというのが経験則である。

そんな日々であったが、気まぐれにプログラムを組んでみたりすることも 時々はあった。例えば、8001のカラーがVRAMにどのように 格納されているのかを調べてみたことがある。試行錯誤の末、 左側から順に色の変わるポイントを格納するという、8001の アトリビュートエリアのしくみをつきとめた。 また、「自己増殖」のマシン語プログラムを書いたこともあった。 具体的には、はじめ1つだったキャラが、まわりに新しくキャラクタを 生成していき、どんどんと大きな群体を形成していくという物である。 火がどんどんとまわりに飛び火し、広がっていく様子のシミュレーション というとわかりやすい。

このシミュレーションプログラムがうまく動いたため、 ちょっとゲームにしてみようと思い立った。じつに久々のゲームプログラミングである。 プログラムの知識がちゃんと残っているか不安だったが、 やってみると結構覚えているもので、意外にスムースに進んだ。 ゲーム内容は、広がっていく炎をホースの水で消し止めるという、 そのまんまな内容であった。 ホースが「あるけあるけゲーム」のように 伸びるようになっており、ホースの経路を引き返すと縮む。 このへんのプログラムはちょっとややこしいのだが、 流石に高校生ともなると思考力もアップし、 さほど苦労することなく組むことができた。

程なく久々のオリジナルゲーム、「山火事だ!ゲーム」 が完成した。 (ちなみに、火事を題材にしたシューティングゲームというと、 スーファミの「ザ・ファイアーメン」の マネじゃないかと思うかもしれないが、 別にそういうわけではない。ていうか、たぶんこっちが先。)

せっかく作ったのだからどこかに出してみよう。 (といっても、今時(その当時)8001用のゲームを扱っているところは ベーマガしかないのであるが。) その頃は、ベーマガのプログラムコーナーは 全然読んでなかったので まだ8001を扱っているか不安だった。というわけで ちょっと調べてみることにしたが、見てみると果たしてまだ そこに8001のコーナーは健在であった。 未だ8001を見捨てない媒体があることに少し感動しつつ、 投稿してみることにした。

上記のようになんとなく作ったゲームであった為、 投稿はしてみたものの、昔のようにワクワクして結果を 待ったというわけではなかった。というか、その後文化祭や何やらで 忙しかったこともあり、投稿したことなど すっかり忘れていた。

それを思い出したのは10月11日、いつもの様に学校から帰った時だった。 「なんか来てるよー」と聞いて見てみた封筒には、「マイコンBASICマガジン」 の文字が・・・「何故!?」とわけがわからず封筒を開け、 中に入っていたベーマガを見ているうち、 自分のゲームがそこに載っていることに気がついた。

「おおー!」 載っている。自分のゲームが、原稿が、ベーマガに載っている。 それはなんとも不思議な感覚だった。あのベーマガに、 自分のゲームが、しかもあのアホのようなゲーム が採用されたのである。 過去あれだけ苦労して載らなかったのに・・・。
当時は、一時期起こったN−BASICブーム も去り、PC−8001の投稿数は激減していたようだ。 (掲載本数も月1本に減っていた。) そういうマイナーな場所ではあったが、 とにかく、好きなPC−8001でゲームを作り、 そして未だにPC−8001のプログラムを扱って くれる投稿誌があり、そこに自分のプログラムが載ったのだ。 その頃、徐々にPC−8001でのプログラミングを再開させていたが、 やはりプログラムを作る目標があるというのは大きい。 ベーマガに投稿するという目標を得て、私の PC−8001でのプログラミングは、このとき本格的に再開することになる。

既に10月8日に全く気付かずベーマガを買っていたため、 11月号が2冊になってしまった のもご愛敬であろう (どのみち記念で買ってたかもしれないし)。


山火事だ!ゲーム

(ベーマガ1990年11月号pp132--134掲載)

山火事をホースの水で消火せよ!ホースには、 slow、large、longの3つのモードがあるので、うまく使い分けるのがポイント。


さあ、ロードだ。


タイトル画面。FOREST FIREになってますが・・・ MOUNTAIN FIREってなんとなく違和感があったもんで。


広がる炎を食い止めろ!


中にはこんな面も。


は必ず燃やさなくてはならない。

エミュレータ用ファイルは こちらです。