植物ひみつ探検隊
国営昭和記念公園みどりの文化ゾーン オープニング企画展
Green Times - 都市の緑で遊ぼう! 出展作品
設計/施工:2005年
場所:国営昭和記念公園
担当:柳原博史、大西瞳、増澤昌、越部舞、斉藤隆夫
施工:三輪ノブヨシ、東和ランドテック
クライアント:ナンジョウアンドアソシエイツ
□ 昭和記念公園イベント
「こんなのが公園にあったら楽しいかも」というテーマで、公園での遊び方や遊具などの可能性を広げるための提案をすることがここでの課題である。
まずは、公園になくてはならない「緑・植物」。これが公園に、さらにどんな可能性を広げられるのであろうか。ここに着眼した我々は、公園の中で植物と過ごす、過ごし方を様々な角度から、特に子どもの視点から検証した。
大人にとって、特に都市での居住者にとっての公園の緑は、身近に少ない緑を補完してくれるという、有り難い役割を担っている。緑がある程度のボリューム感をもって存在するだけで、その意義は大きい。では、子どもにとっては?子どもにとっての公園は、緑の希少さ、自然の縮図的な意義とは無関係である。また公園の規模の大小にも関わらず、自律的に配置された普通の遊具や、ごく一般的な木々や花も全てを連続的に捉えて、公園という小宇宙を無限の好奇心と創造力の中で充実させることが出来るはずである。そう、子どもの視界の中では、都市の中の希少な緑や、特別な植物などは存在せず、眼前に現れた大木の不思議な葉っぱや実、花壇の花などとの対等な関係の中で、いわば、それを偶発的に発見し、食し、密を吸う、鳥や昆虫と同じく、その存在をストレートに受け入れるはずである。
この子どもの視界、もしくは昆虫の視野から、さらに植物と緑の存在の確かさを求めて、我々は、植物を小さな宇宙の中で、より大きな存在として捉え得る装置を考案した。それは、モグラか蟻のように、まずは土の中に入り、土の中から首を出し、植物と対面する仮想遊具である。土の中の世界は、暗闇の迷路になって、所々に空いた穴から首を出す。そこには、植物を虫の視点で、普段とは違う角度から、また至近距離で対面する。視界の大半を葉っぱで覆われることがあったり、緑の匂いに圧倒されたり、小さいと思っていた葉の葉脈やうぶ毛、同じと思っていた緑の豊かなバリエーションを発見する。この小さな(直径6m程)の世界の中でも、地中から首を出して、緑の茂み越しに周囲を垣間見れば、大人にとっても奥行きのある空間となり、子どもにとっては、眼前の、変わって見える植物の存在感に、新しい想像空間を重ねて見ることが出来るはずである。
小さいと思っていた公園の緑の中に対して、それが、生態系というほどの緻密さを持っているいないに関わらずとも、大きく奥行きのある世界として認識することによって、新しい関係性を築くことが出来れば、その延長に、もっと大きな自然も、見えてくるかもしれない。
付け加えると、室内環境という今回のこの会場内で、この装置の中では、観葉植物と言われる南方系の植物、とりわけ形や色に特別特徴的な植物を多く置いている。これは、公園という日常生活の延長上にありながらちょっとした逃避環境となっているポジションを際だたせる意図と、公園が世界的に普遍的なシステムであるということを表わすためのものである。
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