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第9章 対人的影響と認知  

『社会的認知研究のパースペクティブ: 心と社会のインターフェイス』





informationお知らせ 本書の一つの目標は、社会的認知からのアプローチが、最近の社会心理学のさまざまな研究領域にどのように組み込まれ、それぞれの領域でどのような成果を上げているのかを示すことである(「はじめに」より)。

 社会的認知(social cognition)とは、人に関わる対象の認知のことで,社会的知識の内容と構造,その認知過程(情報の獲得,表象,検索)を対象とした研究領域の総称。1970年代以降の認知心理学の発展を受けて主として社会心理学で成立した領域で,情報処理的(認知的)アプローチを用いて研究を進めている。従来からの 対人認知,帰属, 態度等の研究テーマに加えて,集団や組織・制度といったより広範な社会的対象の認知,社会的推論と判断,社会的相互作用と認知,感情・動機づけと認知,自己等の幅広い研究テーマを含んでいる(「心理学辞典」 有斐閣より)。

 この中で、私は第9章の「対人的影響と認知」を担当しました。第9章の紹介文を以下に載せておくことにします。

 本章においては、対人的影響(interpersonal influence)に焦点をあてることにする。対人的影響とは、ある個人が他の個人の態度、行動、感情を変えようと働きかけることである。対人的影響に関係する言葉としては、依頼、要請、説得、指示、命令などがある。対人的影響において、われわれはどのようなことを認知、思考し、それを行動に移しているのだろうか。
本章においては、他者から何らかの働きかけを受けたときに、われわれが行っている認知処理に目を向けることにする。具体的には、まず、対人的影響とは何か、それをどのように分類することができるのか、われわれは与え手から受けた情報に関連してどのような要因に注目して自分の態度や行動を決定しているのか、どのような個人を影響力(勢力)のある人物としてわれわれは認知しているのかという問題についてみていくことにする。(p. 135)

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岡 隆(編著)

2004 培風館
pp. 135-148.


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