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社会的影響における順序効果







informationお知らせ 本報告書は、奨励研究(C)(2)として2001-2002年度において文部科学省から科学研究費として補助された研究(「社会的影響における順序効果の研究」)に関する報告書です。社会心理学には、社会的影響と言っても多くの領域がありますが、本研究においては、順序効果が関連する説得、依頼・要請を対象にしています。本研究が取り上げた問題は、説得や依頼をするときに、受け手にとって好ましい(ポジティブな)情報と好ましくない(ネガティブな)情報とが存在し、両者を伝えなければならない場合、どちらの情報を先に提示することが受け手の応諾を引き出しやすいかということです。近年のインフォームド・コンセントという概念に基づけば、受け手にとって好ましい情報だけでなく、リスクをはじめとする好ましくない情報を提供することも送り手には義務づけられていると言え、本研究との関連性が考えられます。

 説得については、既に、1957年にC. I. Hovlandが他の9人の研究者と一緒に一連の研究を行い、1冊の本にまとめています。私の研究においては、説得場面についても扱っていますが、少々興味深い結果が得られたのは、依頼・説得の場面です。受け手にとって応諾することのコストの小さい場合は、それが大きい場合よりも順序効果の影響を受けるようです。そして、受け手にとってネガティブな情報から提示した方が、ポジティブな提示をする場合よりも受け手の応諾を得る可能性が大きいということです。応諾コストが大きい場合は、その依頼内容について受け手の方がよく吟味するために、情報の提示順序による効果は受けにくいのかもしれません。

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今井芳昭

2003
文部科学省科学研究費補助金報告書(奨励研究(C)(2))  


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