水彩画との出会い

会員
函館地区連絡所
寺 岡 弘 子

 夜景とイカの街、ガンガン寺と八幡坂の街などは、多くの画家がその魅力に挑戦してきました。どちらかというと、洋画が主流の世界でした。私も、その一人でした。もっと自由に自分の気持ちや考えを表現できないものかと「もんもん」とした時を過ごしていました。
 そんな時、姉の誘いで、第13回展に初出品したのが水彩画との出会いでした。しかも、思ってもいない道彩展賞受賞の栄誉をいただきました。その後は、「現代水彩の多様な表現と創造」の主旨にそい、自由に思い切りよく描くように心がけました。しかし、「自由」という水彩画の良さをはき違えてしまい、自分が求めた原点は、いったい何だったんだろうという疑問に陥ってしまいました。
 道彩写生会に参加しました。場所は、北大の構内。函館からの列車は、楽しさと期待感で一杯でした。晴天にも恵まれ、木々の素晴らしさに魅せられました。今まで思い悩んでいたものを吐き出すように、思い切り自由に木々を描きました。自分的には、大満足。ところが、八木保次先生が、私の自信作を何と水で「あーーっ」という間に消してしまわれたのです。でも、時間がたち、乾いた画材には、それこそ「アー一一」という間に素晴らしい絵が出現しました。まさに、「目から鱗」でした。独りよがりでなく、創造性豊かな水彩画を目指すきっかけになりました。また、八木伸子先生の辛口のご批評。穏やかな言葉で会員のレベルアップを願う先生の姿勢は、私に水彩画の奥の深さを教えてくださいました。残念ながら両先生は他界されましたが、お教えに感謝申し上げたいと存じます。
 35周年を迎えるに当たり、運営の方々のご苦労に敬意とたくさん、たくさんの感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、水彩の夢を求めて、魅力に満ちた会に発展することを祈念いたします。



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