心を豊かにする水彩画への情熱

美術ジャーナリスト
五十嵐   恒

 水彩画の魅力を発信し続け35年―。道彩展に結集し、水彩画のレベル向上を底辺の拡大に情熱を注ぐ皆様方に心から敬意を表します。 35回記念展の開催、本当におめでとうございます。
 歴史を刻む記念展にどなたが、どのような力作、大作を発表され、どのような作品が審査の関門を突破するのだろうか。今から大変楽しみであり、期待をしています。
 道彩展の第1回展は1982(昭和57)年ですが、実は私が当時の北海タイムス社会部から文化部に異動になり、アートの分野を担当することになったのは、初の道彩展が開かれた年と全く同じ年なのです。大げさに言えば、私の美術とのかかわりは、道彩展の歩みと同じということになるのです。偶然とは言え不思議であり、誇りにさえ思っているのです。社会部畑が長く美術の分野には殆ど関心がなく、美術館やギャラリーに行ったこともなかったのに…。
 私の古いスクラップブックをさかのぼって開いてみました。ありました!1983年9月に札幌市民ギャラリーで開かれた第3回展を取材した記事が。それには「水彩画の愛好者が年々増え、前年より約50点も多く搬入された。展示されているのは70人の作品158点。抽象画的な絵の具の使い方や、一見、水彩画とは思われないような思い切った筆の使い方…など多彩な作品が人目を引く。道水彩画会では、年々レベルが向上してきた、と言っている」と写真入りで書いています。われながら懐かしく、同時に「もっと書きようがあったはず…」と反省しています。
 昨年の第34回展は、164点が展示され、入場した1,300人を超える美術ファンの心を捉えました。多彩な作品は、見る人の心を豊かにし情緒をはぐくみます。私自身、多くのエネルギーをいただいており、描く皆様方の情熱を受け止めています。
 オーバーにならずに、いかにして個性を発揮するかがポイントかと思います。道彩展の一層の発展を祈念します。



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