本道水彩画発展の原動力に

美術ジャーナリスト
五十嵐   恒

 アートは、それを見る人の心を豊かにする。当然制作に携わる方々は、より一層生き生きとして自己主張をする―。
 道彩展(北海道水彩画会)は、多くの美術ファンの心にうるおいを与えながら25回記念展を迎えた。その努力と情熱に心から敬意を表する。
 すでに退会した林田理栄子さんが事務局を担当されていた頃、札幌市民ギャラリーで開かれた道彩展の懇親会に出席させてもらったことがある。多分20年くらい前のことだと思う。以来、随分年月がたったことに気付く。
 いつの間にか、といっては失礼だが道彩展は着実に歴史を積み上げて来た。それは、アートにかける熱い思い以外何ものでもない。
 私は仕事の関係もあって毎日のように画廊を回り作家の皆さんにお会いする。それは“仕事”以外に「今度は、どのような作品を見せてくれるだろうか」という期待と楽しみがあるからだ。そして生き生きした作家の方の表情と感性豊かな作品に出会うとうれしくなりペンもはずむ。道彩展に結集する皆さんの作品を拝見するのも当然ながら熱い期待がある。
 発会当初は公募展でなかった道彩展も、今や会員・会友60人の団体に成長した。本道の他の美術団体では、何故か水彩部門の出品点数が少ない中にあってレベルの向上と底辺の拡大に果たす道彩展の役割が大きい。
 それだけに期待が膨らむ。作品を拝見すると繊細な具象から個性昧あふれる心象構成までバラエティーに富んでいる。多彩な作品が見る人の心をとらえ楽しませる。そうした豊かな感性と技量が道彩展の魅力となる。本道水彩画会発展の底力となることを心から期待したい。



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