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Vol.1 手術を考える前に!  -変形性関節症、リウマチ性疾患-

 変形性関節症、リウマチ性疾患の保存療法


一般に変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)などのリウマチ性疾患と大きく区分されて、治療も一般的に大きく異なり、変形性関節症を専門とする医師でも、リウマチ性疾患の治療を敬遠するという傾向にあります。

確かに、リウマチ性疾患は、OA(変形性関節症)と比べて、病態が複雑であり、重篤な例も少なくなく、治療方法が異なることは事実です。
しかし、一方でOAであれば軽症であるということもなく、OAであっても重篤な例も少なくありません。そんな状況の中、OAとRAの垣根をこえた、治療をここでは考えていきたいと思います。

股関節保存療法で実績を持つ、ある整形外科医はこう述べています。

「痛みは他人が評価することが難しい生理現象であることが、変形性股関節症の痛みに苦しむ人が本当の辛さを誰にもわかってもらえないと諦め、打ち明けること無く自分だけで心の痛みの二次障害ともいうべき鬱の症状に苦しむ理由であります。
困ったことに鬱の症状が進行しますと僅かにからだを傷めても痛みを強く感じるようになり、心の奥で痛みを恐怖するようになり、ますます痛みの二次障害を増幅させることになります。このような心理的葛藤が持続して生じる痛みの障害は心の悼み(いたみ)を来すことになります。痛みの性質が多彩で心の悼みにまで関わるため、股関節症の治療法の良否を痛みの多寡や性質から判断することが難しい理由となっておりました。痛みを克服する治療法がありますと、股関節症の障害の大部分は解決したことになります。」

この主張は、変形性股関節症の患者さんに向けたメッセージでありますが、リウマチ性疾患の治療にも大いに活用できると考え方でないでしょうか。

現在、変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎(AS)などのリウマチ性疾患の治療方法は大きく分けて下記の三つに分けられます。

@薬物療法 Aリハビリテーション B手術療法

現在の変形性関節症やリウマチ性疾患の治療では、Aリハビリテーションを飛び越えて、安易にBの手術療法が勧められケースが少なくありません。
リハビリテーションについては、医師の指導に基づく病院内の療法以外にも、日常生活する中で、リハビリをうまくとり入れておく方法がありますので、積極的に取り入れて見る方法があります。
                                                           
 日常生活動作(ADL)を見直す 

リハビリテーションというと、病院のリハビリテーション室などで、PT(理学療法士)などの指導の下に行われる療法を思い出される方が多いとおもいます。あるいは、クリニックなどでは、牽引やレーザーをあてるというようなことがリハビリとしてとらえられている場合もあります。
ここでは、もう少しリハビリテーションを広義に解釈して考えてみたいとおもいます。
家庭で考えられるリハビリというと、まず体操や水泳、トレーニングということが、頭に浮かびますが、まず、第一のリハビリは、通常の日々生活の中にあると考えらえるのです。
日常生活動作(寝る、起きる、座る、立つ、歩く)。ことなども大変重要なリハビリのひとつと考えられるのでないでしょうか。たとえあまり外出しないとしても、この基本動作はどうしても必要なことです。
この動作を見直すことによって、特別なリハビリをしなくても、疼痛を和らげ生活質を改善できる可能性があります。ご自分で出来ることは、できるだけ自分でやることも大切な心がけであり、生活の中における、ちょっとした補助具、装具、健康器具が、患者の安全やQOLを向上させ、更にリハビリテーションの一助になります。
その一つとして、現在、靴などの装具療法が注目されています。
装具というと大掛かりな印象を感ずる方がいらっしゃるとおもいますが、足底板(靴のインソール)、または、靴型装具をつくることにより、歩行が楽になり大きくQOLの向上を期待できる場合があります。こういった装具を使う事によあり、同時に使わない筋肉をトレーニングすることも一つのリハビリテーションに一つと考えれます。
靴型装具というと無骨なイメージがありますが、現在はファッショナブルなものも出てきて、おしゃれな女性にも対応されてきています。医師が加療に必要と判断すれば、健康保険で整形靴やインソール(靴の中敷)を作ることができます。
補助具、装具、健康器具をうまく使う事により、自分自身の体に無理に負担をかけずに、リハビリテーションを生活の中に取り入れていくこともできるのです。


 医者任せにしない疼痛管理(ペインコントロール)

変形性股関節症にしても、リウマチ性疾患にしても、疼痛はどんな患者でも一定ではありません。季節にも関係しているでしょうし、その日の気温、湿度など、日替わりで調子が違うというのが一般的だとおもいます。
どのような時に調子がよく、どのようなことをしたら調子が悪くなるか?自分なりに把握しておくことも必要でしょう。慢性疾患であっても緩解(調子の良い状態)ができるだけ長く維持できるように、自分なりにコントロールが出来るように努力する必要があります。
薬の飲み方を含めた治療にも「さじ加減」が必要ですし、リハビリテーションも、病院で一定に行うので効果が期待できません。疼痛管理は医者任せにせず、痛みを自分自身で管理するという発想が必要になってきます。
日常生活の中で、自分自身の体に負担をかけずに、補助具、装具、健康器具をうまく使いながら、自分自身の体に無理に負担をかけずに、リハビリテーションを生活の中にうまく取り入れていくことが得策です。
また、自分が受けて気持ちの良いと思う療法は、鍼灸、マッサージなど、いろいろと試してみることも必要です。ほとんどの場合、痛みの原因が骨自体にあるケースはまれですので、それらをうまく取り入れていくことも一つの方法です。

しかし、一方で自分の病気の状態を自分で十分に把握できているケースは以外に少なく、自分自身の病状病態をもっと正確に判断するためにも、それを映し出す「鏡」のようなものが必要になってきます。もちろん、病院の検査、画像、そして、触診における筋肉の状態なども病状を知る判断材料にもなりまます。
もう一つ、自分病状を知る手がかりとして、簡単な日報をつけるのもよいかもしれません、薬の飲み方、生活状態、今日起こった出来事(何歩歩いたか)など、気候も大きく関係していることもあります。このようなこと簡単にメモしていくことも一つの方法だとおもいます。このようなデーターを蓄積しいって、うまく自分自身で疼痛を管理していけるようにしていくことは大切なことです。
こうした日報が、自分の病状を映し出す「鏡」として、治療の大きな手がかりなることは間違いありません。
疼痛管理がある程度できるようになりますと、「心の悼み(いたみ)」も少しずつ癒されていく事になるとおもいます。

現在は、エビデンス治療が花盛りで、この病気にはこの治療方法という、病名別のおきまりのパターンがあり、それはそれでよい面がありますが、最近の治療は、エビデンス治療が行き過ぎているようにも感じます。一歩間違えれば、医者のそれぞれの裁量を否定しかねないというような状態までになってきている現実、このことは患者のQOL重視の見地からみて、とても残念なことであると感じます。

いずれにしても、変形性関節症であっても、リウマチ性の関節症であっても個々における病態は様々でありますので、あまり医者任せにしないで、ご自分にあったペインコントロール(疼痛管理)を考えていく必要があるだろうとおもわれます。





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