スタッフ集合(2001.5

スタッフとキャスト

スタッフ 日本からやってきたスタッフ、コルディリエラの先住山岳民族の人々、マニラからやってきた技術スタッフ、そしてバギオと日本のボランティアを加えて総勢50名以上の多様な人々の構成で映画作りが進めらました。

今泉 光司(脚本・製作・監督) 1959年東京出身。日本大学芸術学部映画学科卒業。PR広告、映画、ビデオの脚本・演出家を経て映画監督小栗康平の助監督を務める。92年に初めてフィリピンのバギオを訪れ、それ以来、キドラット・タヒミック等のフィリピンの映画人との交流を続けてきた。96年より生活の拠点をバギオに移し本格的に「アボン/小さい家」企画に取り組んだ。      
Cristy Segnaken (脚本・プロダクションチーフ) ベンゲット州のバクン生まれ。今年、神学の修士号取得。現在セント・ルイス大学バギオ校神学・哲学講師。シナリオ作成の段階からこの映画の企画に参加し、先住山岳民族の立場から製作に協力してきた。「アボン/小さい家」製作・上映委員会の委員長も兼ね、ロケ地の手配をはじめ、地元の人々や映画製作をつなぐ橋渡し役として、大きな力を発揮した。
Boy Yniguez(撮影)バギオ在住。キドラット・タヒミックと古くから親交があり、氏の「トゥルンバ祭り」で長篇デビュー。現在フィリピンを代表するカメラマンの1人。夏休み中の息子もボランティアスタッフとして参加。
若林 昌広(製作プロダクションスタッフ) 今泉監督とはシナリオ講座で知りあった。当時は浅草で牛乳配達をしていた。青年海外協力隊員、ユネスコナイロビ事務所勤務などを経た後、現在タンザニアでマカデミアナッツ農園を経営。その経営感覚と、元数学教師という数字に強いところを見込まれて、借金三昧の映画製作の経理・雑用を担当するためにアフリカから駆け付けた。
須田 ミチル(製作プロダクションスタッフ) 山形ドキュメンタリー映画祭のスタッフ。97年に映画祭オフィスのパソコンで今泉監督が持ち込んだ妙な映画の支離滅裂のな企画書第一稿を打たされたというきっかけから、今回の映画のスタッフとして参加。その英語力を生かして、65名に及んだ出演者との連絡・交渉を一気に引き受け、撮影中は常時電話と共に過ごす。

キャスト  低予算のインデペント映画にも関わらず、企画の主旨に賛同したフィリピンの映画界の実力派の役者が多数参加。そんなプロフェッショナルな映画人と共に、地元バギオの日系人、子どもたち、山岳民の人達も活躍、ユニークなキャストが総勢65人が登場しています。 (以下はほんの一部です)

Joel Torre(ラモット)  フィリピンの映画界を代表する中堅俳優として、これまでに70以上の映画に出演した他、テレビや舞台でも大活躍しており、数々の賞を受賞している。代表出演作は福岡アジア映画祭で上映された「MIRAGROS」最近岩波ホールで上映された「JOSE RIZAL]、1999年にベルリン映画祭に出品された「HUBAD SA ILALIM NG BUWAN」など。地元の人々の中に入って共に映画のシナリオを作った今泉監督の姿勢に感銘して映画出演を決意。アジアフォーカス・福岡映画祭で来日した時は、今泉監督と朝までビールを飲みながら語り合ったことも…。
Lui Q. Manansala(タミン)  1970年代高校生の頃、当時フィリピンの女性解放運動の先頭に立っていたことで知られるマキバカ(Free Movement for New Women)に参加、以後、反マルコスの地下活動に身を投じていたといった波瀾に満ちた半生を経て、女優に転身。その存在感あふれる演技が注目を浴びている。映画の出演を決めたのは、シナリオの山岳民族に対する考え方に共鳴したから。
Nando San Pedero(スカヤン)  1949年生まれ、フィリピン・ライオンズクラブに27年勤務した後、自分の演技の才能を生かすために、役者になる。映画、舞台、テレビの脇役として様々な役柄をこなしている。今回はオーディションで選ばれたのは、映画のモデルだったおじいさんにそっくりだったからだとか。マニラの下町在住。カラオケの名人。
Banaue Miclat(イザベル) 子どもの時、日本でもよく知られているPETA (フィリピン演劇教育協会)のワークショップに参加したのが演劇との出会い。フィリピン大学演劇学部在学中は、大学の劇団で活躍。卒業後フリーランスの女優としてスタートをきった。いろいろな経験がしたくてこの映画に出演を希望。山岳地帯でのオールロケは初めての体験だという。
左からヘーゼル(ケユ)、ニーナ (ビリット)、ハンジ(ノップノップ)   みんなバギオの小学校に通う子どもたち。オーディションでイメージ通りの子どもをみつけられなかった今泉監督自身が、バギオ近郊の町々まで歩き回って、探し当てた子役たちである。初めての映画撮影に、最初はとまどっていたものの、日が経つにつれて監督の期待通りに役柄をこなすようになっていった。ヘーゼルとニーナは映画の役と同じ日系4世。ヘーゼルの両親は名古屋で働いている。「映画出演はとても楽しい。いろんなところへ行けるから」というのが、撮影中に聞いた3人の感想。

脇役で登場するアーティストたち 映画に友情出演した以下の人たちは、日本にしばしば来日し、比日文化交流に大きく寄与してきたユニークなアーティストの人々です。スタッフとして、あるいは出演者として映画をサポートしています。
キドラット・タヒミック(ヨグヨグ/村の自然医) バギオ出身のインデペント映画作家。自らの人生とその周辺で起った出来事の断片を16mmやビデオカメラで切り取りコラージュしたような独特のドキュメンタリー作品を発表し、国際的に注目を浴びて来た。1982年に東京で開催された南アジア映画祭で「悪夢の香り」が上映されて以来、東京国際映画祭、山形ドキュメンタリー映画祭などで作品が取り上げられ、日本にもファンが多い。
ジョーイ・アヤラ(サミッド/音楽)フィリピンのオルタナティブミュージシャンの代表的な存在。環境問題などを取り上げたメッセージ性の強い詩と、エレキ・ギターから民族楽器、空き缶にいたるまでユニークな楽器編成で繰り広げられるその音楽は、都会的センスと土着的な匂いが交錯し、フィリピンの現在を浮き彫りにしている。日本人ミュージシャンと共演や来日公演の経験も豊富。
アーネル・バナサン (アルノ/音楽)   コルディレラの中のカリンガ州出身。大学時代に山岳民族出身の学生による民族音楽グループを結成。以来伝統音楽の要素や楽器を取り入れた音楽の演奏活動や、民族楽器作りのワークショップなどを行っている。日本人の奥様と3人の可愛い子どもたちがいて、日本でもアルバム「GOOMVU」が発売中。
お問い合わせ:「アボン/小さい家」