Stephen Baxter の世界

 

 久しぶりにハードSFです。 \(^O^)/
って、騒ぐことじゃないかな。でも、もともとこのページは、そういうのを紹介したかったのだから。

 ひと騒ぎしたら、落ち着いた。
さて、ステフン・バクスターです。イギリスの作家です。H.G.ウェルズの「タイム・マシーン」の続編を書いた人、と言えば分かるかな。話題になった時が、ありましたよね。で、ハードSFです。(笑)

 取り上げる作品は、
『時間的無限大』(Timelike Infinity, 1992)、ハヤカワ文庫SF、600円。小野田和子訳です。

 Baxter の世界への入門には、最適の図書だと思うのです。とにかく、SFマインドをくすぐる道具立てのテンコ盛の作品で、最初の僅か60ページも読み進まないうちに、ワームホール、浦島効果によるタイムトラベル、スクワームだとかクワックスだとか、聞き慣れない、異星の知性体による侵略、クォーク・ナゲット、エキゾチック物質、負のエネルギー、不確定性理論、AS(非老化)テクノロジー、スプラインという生体宇宙船、そして、知性を持った液体生物と、それぞれをテーマに、長編が一つずつ書けそうな、アイディアが目白押し、この調子で、一気に結末まで読ませてしまうのだから、SF好きにはたまらない一品なのです。

 さて、この作品は、バクスターの未来史四部作の中の、一篇で、完結篇である「虚空のリング」へと続く、序章的作品と言う位置づけなのだが、その「虚空のリング」が本屋さんで品切れで、まだ読んでいないので、何とも言えないけれど、この作品、十分に単独で堪能できますよ。長さも適当だし、訳もいいし、もう、読み始めたら一気という感じで、(もっとも、通勤の車内でしか読まなかったのだけど)実に快適に読めてしまいます。

 もともと、いつのSFマガジンだったか忘れたけれど、異星上で訳の分からない生物と遭遇して、その体内に取り込まれてしまうのだけれど、それが快適で、実は、その生物の子宮に当たるような部分にしっかり適応してしまう、という短編を読んで、作者も、作品名も覚えていないのだけど、妙に印象に残っていたのです。で、例えば、生体宇宙船の中に入っていく場面(P.56)なんか、その描写だけで、おう!!って、感情移入してしまうのですね。おまけに液体知性体でしょう。これも、むかし、たしかNHKラジオ(しかなかった!)の子供SFシリーズかなんかで、気体生物というのが出てきまして、夢中になりましたものね。こういうワクワク感って、SFを読むときに欠かせないものと思うのですが。悪口を言う人は、なんか、科学的なところばかりが上滑りして、ストーリーと調和できていない、とか言うのですが、読んでて面白いのだから、構やしません。一つには、やはり、訳の良さがあると思うのですが、(小野田さんの他のものも読んでみるかな)作品の構造上のテンポと言うものもあると思います。心地よく読めるという、ね。

 不確定性理論だって、ウィグナーの友人(シュレディンガーの猫の変形理論)について、この本ほど分かりやすい説明には、始めてであった。(だって、後ろの解説よりも、本分のほうが分かりやすいもの)
 これで、次回からは、理科系の人間に、「シュレディンガーの猫」とか言われても、「どの猫?えっ、猫って」とか、どもりながら、焦らないですむ。(^_-) ま、だからと言うわけではないのだけれど、この、どこまでが「虚」で、どこからが「実」だか分からない、一つはまると、すべてがそうなのか、と思えてしまうような、でも、面白すぎる理論の世界、これが好きで、SF病み付きになった。でも、くれぐれも、分かったような気になって、知ったかをしないように、これは自戒です。(この間、ソウヤーのフレームシフトを読んだ後、クォークのことが分かったつもりで、理科系の会話に乗り、大恥をかいたこと、まだ忘れない!)

 とりあえずここまでで、工事中です。(虚空のリングをまだ手に入れてさえいないので)