「HDDが壊れました」の巻
自らの失敗談は他人に共有してもらおうと思っており、以前から積極的に人前で話しています。全く恥ずかしくありません。ズボンのお尻の部分が破れた話も結構真剣にします。
2004年2月に、17300円を出してB社のHD-160U2(160ギガ)を買いました。便利で重宝し「HDDなんて壊れないねー」と思って使っていました。ところが・・・。むなしく、2005年8月18日に壊れました。1年半の短い命でした。その日は突然やってきました。私がパソコンに初めて触ったのが1994年。PC98のVMとかVXにくっついていた30MBのHDDの頃から使っていますが、壊れた経験は初めてでした。

※HDDはもともと消耗品なので、本ページで取り上げるHDDの商品自体の品質が悪いわけではありません。その点、お断り申し上げます。
   
        HDD故障に至るまでのプロセス
(柳田邦男風に)

(1)7月に日本経済新聞がアップルのiPOD向けのミュージックストアをOPENしたニュースを見ました。そういえば、家内は3世代目のIPODをヨドバシカメラのポイントで入手していて、ほとんど使っていなかったので、もらいました。ITUNESは少し重いですが、意外と使いやすいことを発見。IPODが便利だということに気づきました。

(2)7月下旬に車で北海道まで走るとき用に、できるだけCDをIPODの中に入れてしまおうと考えました。走行中のCD換装は面倒なので。

(3)ちょうどそのころ、山田真哉著の「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」を読み、67pの「在庫スペース」は会計学的にロスだ、という場所に感銘を受けました。なるほど・・・。どうせならうちにあるCDをIPODに全部入れて捨ててしまおうと考えました。

 上記(1)〜(3)のプロセスがあり、
HDDへの連続アクセス(CDからIPOD用のファイルに変換し)と夏の暑い時期でHDDがかなり熱くなっていたのが原因ではないかと考えています。ただ、もともとこの製品は他のよりも熱いので気にはなっていました。

【予兆】
 今思い返せば、7月末にITUNESに入れたはずのモーツアルトの弦楽五重奏K516が全く録音されていなかった。家内のQUEENも1曲抜けていた。もうひとつ、デジカメで撮影したフォルダを1つ削除しようと思ったら、できなかった点が思い出されます。電源とかおかしいのかな〜?とだけ思っただけで、その場は忘れました。写真のサムネイルも異様に遅かった。

【壊れた瞬間】
 8月中旬旅行に出かけ、帰宅
後に500MBくらいの画像データを落としていたら、フォルダのでき方がおかしいのに気づきました。除しようにもできないので、不思議に思う。あせって、デフラグ、チェックディスクをいっぺんにかけてしまいました。おそらくこの瞬間にいかれたのではないかと思っています。緊急事態として、LAN経由で家内のHDDに落とそうとしましたが、拙宅は10ベース環境ですごい時間がかかりそうなので、いつものくせで2度再起動をかける。1度目の再起動ではファイルにはアクセスができた。2度目の再起動ではHDD自体は認識できるが、フォーマットしますか?と聞かれ、目の前が真っ暗に。

 160ギガのうち使用中の40ギガの内訳は、デジカメ画像10ギガ、ITUNESのファイル10ギガ、自分の研究15ギガ、自分の仕事5ギガ。画像だけは、バックアップがとられており、セーフ。写真で死んだの夏休みに出かけた、柴又帝釈天船の科学館のものだけでした。自分の仕事については古いのを使い回すのも、お客さんに失礼なので、このあたりで新しいモノにするのも良いかと思いあきらめがつきました。まめにとっていた新聞記事の切り抜きPDFも「情報は新しくなる」と思い、こちらもあきらめがつきました。きっぱりあきらめるまで2週間かかりました。この間、食欲もなく、ずっと考え事ばかりしていましたが、結局酒量は増え、体重は減りませんでした(笑)。

壊れたウエスタンデジタルのWD1600。
もう少し信頼性があってもよいような気もします。
まあ、私がバックアップをとっていないのが悪いのですが。

【業者】
 はじめに、都内某所にある簡易サルベージ会社のところに行きました。そこでは一般のソフトの「ファイナルデータ」を使って、応答があるかどうかを見てもらいました。残念ながらHDD側から応答がないので、物理障害の可能性がある、と言われ、1万円ちょっと支払って帰りました。

 帰宅後サルベージ業者に3件に電話。大手A社は55万。大手B社は一律の料金。中小のC社は10万程度でできること。

 A社は非常に対応がよい。が、データの吸い出しが2ギガまでだったら10〜20万でも可能かもしれませんので、と言われました。ただ、私の必要としているデータは20ギガくらいあるので、一旦HDDを送りましたが、丁重にお断りして戻してもらいました。どうでもよいITUNEのところだけ復活できて、20万円とられたら困るからです。どうせ2ギガだったら20万、全部欲しけりゃ50万という話になるのは目に見えている。

 B社はメールだけで、こちらも「あなたのHDDは壊れやすいので、一刻でも早く弊社に・・みたいな回答。」

 で、次にC社が積極的に営業をかけてきたのでそちらにお願いすることに。最初は「できる」と言っていたがさすがに中身は開けたくないようで、「ヘッドを取り替えても動かない可能性もあります」、とのこと。また「大手さんはお金をとりたいので、データを吸い取ってから壊すこともあるんですよ〜」。とおどかされる。最後には、C社の方は「A社さんはもう吸い取っているかもしれないので、そちらにやってもらったらどうでしょうか」などと言うので、もう嫌になって戻してもらう。

【みんな泣いていた】
 ちなみに私のウエスタンデジタルのHDDの壊れ方は、BIOSレベルでは認識しているものの、一番トップのファイルが破損したか、ヘッドが壊れているかで、HDDが回転しても読み出せないという物理障害の段階にある、と推測されます。私の上司は、「環境変えたら動くかもよ、持ってきて試したら?」という。困っているので涙が出るほどうれしい。別の上司は、HDDをつけて動かしてくれた。話をきいてくれるだけでも、とにかくうれしい。以前仕事をしていた事務所の社長にも尋ねたら、「高いからきちんと見積もったほうがいいよ」などとアドバイスをくれる。相談したお3方は、HDDで泣いたことがある人でした。

 サルベージには色々な業者がいるので(電話をかけてみたら信頼できなさそうところもあった)、業者には依頼する前に考えた方がよいと思います。30万円あったら、新しいマシンが買えますし、ビジネスクラスでヨーロッパにでも出かけられます。軽度の障害であれば、ファイナルデータなどのソフトで拾えますが、私のように物理的にいかれた場合は、業者でもできない可能性が高いです。

【副産物】
ファイナルデータというソフトで、ゴミ箱に入れて空にした程度では復活できます。ですから、逆に「データは残っている」のでHDDをそのまま捨てることはできないことを改めて認識。水に入れたり、磁石にくっつけたりして破壊したほうがいいかもしれません。

・業者はデータを必ず見るので、会社などのデータは要注意だと思います。

【最後に】
 20万円、30万円のお金をだして戻るのであればのであれば金額的には安いです。しかし、これって「○×宗教に入って何百万円の薬買うと、病気治るかもよー」というやつ同じ。困っている人ならば何百万でも出すのと同じように感じられて、ふと我に返りました。こういう値段があってないような商売は、イヤですね。逆に考えれば、困っている人を助ければビジネスになるのでは、とも。やや日経新聞的ですが。
 今回、このHDDクラッシュでの出費。都内某所に行く交通費2500円(含タクシー代)。ファイナルデータv3.0 約15000円。A社に送る荷物往復で、3300円。C社に送る荷物往復で1280円。2万円を少し超えただけでした。初期診断にお金を取るところもあるので、そういう意味ではA社もC社も良心的だと思います。個人的には、価格がまちまちなので、消費者センターなどにも出てきて欲しいと考えています。現段階では対応方法なども企業向け。保険会社も「HDDサルベージ保険」などをつくれば売れると思います。

 【教訓】:とにかくHDDは消耗品。壊れて当たり前。160ギガのうち40ギガ使っただけでいかれたので、HDDの全容量を使い切る前に故障することがありそうです。
 @バックアップはまめに取る。できればHDDもう一台買ってミラーリングする。
 Aアクセスが変な時は、絶対にチェックディスクやデフラグをかけない。
 Bおかしいと思ったら、再起動をかけずに、すぐに何かのドライブに移す。再起動をかければかけるほど壊れていきます。
  
さあ、バックアップを取りましょう!           
 
※【音楽ファイルについての追記】ITUNESやMP3で仕事中に聞いたりする人も、アクセスランプが つきっぱなしになるので、注意したほうがよいです。
 IPODもいつ壊れるかわからないので、IPODから音楽データを吸い出そうとする。が、何と中身は見えないし、説明書を見ると仕様なので吸い出しはできないとのこと。。ネットで調べるとUNIXだと見える、みたいなことが書いてるが、私にはできない。悩んだ末、ベクターで「POD野郎」というソフトを見つけました。これで吸い出しました。ただ、ITUNEとの関連づけを一つ一つ復元させる必要性があるようです。3000曲あるので、1つ1つはきつい!
 
宅での対策後・I/Oデータの250GBのHDDを2台でミラーリング(左の2台)。

右上にバッファローの40GBでバックアップは2重にした。ファンを回し、放射温度計でたまに温度を計測。今のところ、レーザーポインタが当たっているHDD筐体上部は30℃。連続アクセスすると37℃まで上がる。雷が怖いので、ミラーされるほうは、常時電源とUSBから抜いて裸にしておく。近々もう一台HDDを増設し、3重にしようと考えている。

→3重以上にしました。現在(2009年1月)では250GBのHDD3台と、バッファローのテラステーション(1テラ)および2.5インチの120GBHDD、8GBのコンパクトフラッシュの5重バックアップにしています。
ちょっと信頼できる?I/Oデータの250GBHDDは、ケースをはずして、裸で使用しています。基板を触ると、ぴりぴりします(感電している?)ので、赤ん坊とかいる人は注意したほうがよいかもしれません。

▲バッファロー テラステーション1GB
他でも紹介しましたが、2008年春より「鬼門」のバッファロー製品を購入しています。2月にこのテラステーションを購入したら、1ヶ月くらいで原因不明のクラッシュ。交換してもらい、2ヶ月後の5月にもまたクラッシュ。2度目は、内部のソフト更新を行っているときに、おかしくなりました。現在は3代目を使用しています。たぶん突貫でソフトや製品をつくっているため、バグだらけなのでしょう。ちょっと心配しながら使っています。でもその懐疑心が大切なのかもしれません。HDDだけは信頼できる製品はないのです!

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2005年9月6日 千葉晃 記す
2009年1月6日 訂補