名 称 | JILVA-170(ジルバ・ヒャクナナジュウ) | ||
形 式 | 極軸のみの星野写真撮影用小型赤道儀 | ||
追 尾 | 恒星時(キングスレート)、平均太陽時、平均月時、2/3倍速(星景写真用)、西行24倍速、東行24倍速とリモコンないしオートガイダー使用時は2.0倍速と停止 の8速度切替/北半球・南半球対応/3色LEDによるモードインジケータ表示。10秒間でギヤをなじませるスタンバイボタン付き。 | ||
ギ ヤ | ウォームホイールによる全周微動/直径162mm・歯数288枚/ジュラルミン製 | ||
追尾精度 | ±4〜5″前後(1台ごとに検証した測定写真付き) | ||
極 軸 | 直径40mm、アルミ合金製、直径40mm大型ベアリング1個と小型ベアリング1個の支持、目盛環シール付き(回転不可) | ||
駆 動 | マイコン制御によるステッピングモーター駆動 | ||
搭載可能重量 | 約10kg | ||
極軸望遠鏡 | 視界約7度の素通し穴/外付け極望装着可(別売) | ||
電 源 | DC4V〜DC12入力、USB電源対応、付属の単三乾電池ボックスにてアルカリ乾電池6本9VないしNi-MH充電池やNi-Cd充電池6本にも対応、USBコネクタ(A端子)ケーブル付属。 | ||
連続駆動時間 | 付属電源ボックスのアルカリ単三電池6本で約12時間駆動 | ||
大きさ | 縦300mm×横190mm×高さ110mm(フォーク式上下左右微動台座三脚アダプター含む、ネジ類の突起部を除く) | ||
質 量 | 約3.9kg(上下左右微動台座約1kgを含む) | ||
定価 | 輸出仕様の国内販売特別価格90,800円(税別) |
●JILVA-170のコンセプトは写真スタジオ写真はJILVA-170の設計者が、天文雑誌の編集に携わった30年間に使用した、総重量50kgの極軸のみの写真撮影用赤道儀です。PUTで大気差の速度調整ができるステッピングモーターに換装し、300mm望遠レンズまではガイディングしないで撮影できる精度がありました。その頃の天文雑誌は(今も?)初めて天体望遠鏡を買った中学生程度を読者と想定していました。それで「赤道儀があれば星の写真を撮ってみよう」「鏡筒の上にカメラを載せて望遠鏡をガイド鏡にしてガイディングをしてみよう」「お小遣いをためてモータードライブを買おう」といったストーリーで、撮影法の記事や書籍を作っていました。これは市販の赤道儀を撮影用に転用する便法の一つですが、何故か正統派の手法として進化して現在に至ります。アクセサリーの追加や自作など、構築や改造の楽しみがウケた一面もあると思います。しかし、仕事で撮影するとなると失敗は許されず、同時に何台ものカメラで撮影する必要があります。そこで製作したのが前出の重量級ポータブル赤道儀です。赤緯軸を取り外せるミカゲやSHOWAの高性能赤道儀に手を加えて作りました。自作の25cmシュミットを載せるときには赤緯軸も取り付けました。大御所の著者のF先生が(移動式でなく観測所ですが)複数の高価な大型赤道儀に何台ものカメラを搭載して、もちろんガイディングはせずに、次々にシャッターを開閉してゆく様子に影響されたこともあります。それは正にプロの機材で、結婚式や七五三の撮影をするための、全ての撮影機材環境が整った「写真スタジオ」を連想させました。高精度の赤道儀をどっしりと設置すれば、固定撮影のようにシャッターを切るだけで撮影でき 驍フは当然のことでした。時が経ちフィルムがデジタルカメラになり、星野写真の撮影は簡単になったことも難しくなったこともあります。簡単になったのは露出時間の短縮による極軸設置で、フィルム時代の1/10程度の精度で済むようになりました。難しくなったのは高感度で詳細な撮像素子のため、2倍もの追尾精度が必要で、ブレも写りやすいことです。JILVA-170は「300mm望遠レンズをガイディングなしで撮影する」ことを目標に、前出の重量級ポータブル赤道儀のコンセプトを受け継いだデジタル時代の超高精度ポータブル赤道儀です。左の写真はSWAT用のドイツ式赤緯軸を装着したところです。
●ウォームホイールの直径で追尾精度が決まる写真のポータブル赤道儀は、左からPanHead EQ PH-1、SWAT-200、SWAT-350とJILVA-170です。メカ部の設計はほとんど同様なため、ウォームホイールの直径に比例して追尾精度が向上しています。赤道儀にとって大きなウォームホイールは“正義”です!SWAT-350は実際の星空でピリオディックモーション(Pモーション)を撮影して、±7″以下を合格として出荷しています。JILVA-170のウォームホイールは直径162mmもあるため±4〜5″以下の精度を発表していますが、これはひかえめな数値で実際はもっと高精度の個体ができています。
●自社生産の高精度ウォームホイールギヤメーカーから販売されている100〜120歯程度のウォームホイールとギヤを赤道儀に用いると、超広角レンズの追尾にも不足な精度しか出ません。赤道儀用のギヤは10倍も高精度な「似て非なるもの」です。専門メーカーのビクセンさんやタカハシさん、丁寧な大型望遠鏡メーカーさんでは、魔法のような素晴らしいギヤを組み込んでいます。それらのメーカーさんはPモーションを発表しなくなりました。とても良心的なことです。Pモーションの原因は複数あり相乗/相殺されるので、組み上げてみなければ追尾精度はわからないからです。しかし、追尾精度の不明な撮影用赤道儀では、どんな望遠レンズまで追尾できるか見当がつきません。そこで弊社ではウオームホールを自社生産し、赤道儀に組み上げてから1台ずつPモーションを測定して証拠写真付きで出荷しています。拡大写真の右側が粗切りしたウォームホイールの母型で、左がホブ盤の歯切り後に実機に組み込み複数の手法で研磨したところで歯面が光っています。いわゆるノータッチ追尾に必要なPモーションは、現実的なところで200mm望遠なら±10″、100mm望遠なら±20″以下です。シャープなレンズと詳細な撮像素子では、この2倍程度の精度が必要な場合もあります。JILVA-170のPモーション±4〜5″は200mm〜300mmの望遠レンズを長時間追尾できる圧倒的な高精度です。
●JILVA-170のPモーション弊社の測定データを公開しても手前味噌になりますが、ご購入希望で試供品をお預けしたお客様がPモーションのデータを取ってくださったので左に示します。QHY製のCCDカメラとPHDガイディングを組合せた装置で得られた測定結果です。Pモーションは弊社公称の±4〜5よりもずっと良い±3.2″程度を達成していることが分かります。
●標準装備の上下左右微動台座厚さ5mmのステンレスのフォーク部とアルミ合金で組んだものです。大型の赤道儀に見られる押し引きネジによる簡単な上下微動ですが強度は充分です。カメラ用の三脚や望遠鏡用の三脚に取り付けます。
●極望代わりの素通し穴と傾斜計別売の外付け極望を使わないで素通し穴に北極星導入するだけでも広角レンズの極軸設置精度を満たします。傾斜計はおおまかな設置の際に重宝します。オルゴール赤道儀やPanHead EQと同じ物です。
●姉妹機SWATシリーズのアクセサリーを付けられますJILVA-170のターンテーブルは写真に示した寸法で、ユニテックのSWATシリーズのオプション・アクセサリーのほとんどを装着することができます(PanHead EQも同様です)。JILVA-170専用のアクセサリーは開発中なのでしばらくお待ちください。電動のドイツ式やフォーク式の赤緯軸などを鋭意製作中です。ターンテーブルの中央はカメラ雲台用のネジです。35mm間隔であけられたネジ穴はタカハシやビクセンとコンパチです。M8ネジ穴とM6ネジ穴があります。60mm間隔のM6ネジ穴は自作のアクセサリーなどを取付けるためのものです。
●SWATシリーズには多くのアクセサリーがあります写真はSWAT-350にアリミゾキャッチャー、赤緯ユニット、テーパーキャッチャー、粗動付微動回転ユニット、外付け極望を装着したところです。このようにJILVA-170をお好みの仕様にすることができます。
●SWAT用のシンプルフォークユニットJILVA-170は圧倒的に大型のウォームホイールのため、極軸まわりバランスの崩れに寛大で、ターンテーブル上に雲台を載せるだけでも望遠レンズを使用できますが、 Vンプルフォークユニットも便利です。
●ナンチャッテ正立極軸望遠鏡LED照明付きは価格8,000円。照明なしは5,000円。ケンコー製の7倍18mm単眼鏡に極望パターンを組み込んだ使いやすい外付け極望です。このような簡易で安価な製品を「ナンチャッテ機材」と称して提供してまいりますのでご期待ください。
●望遠鏡三脚用の各種アダプター実費につき2,000円〜6,000円程度。JILVA-170に望遠レンズを搭載する場合は丈夫な三脚が必須です。各社用の三脚アダプターを実費で製作いたします。写真はビクセン互換三脚用とタカハシ9cm三脚用。およびアダプターの材料です。