RUBBER SOUL
ラバー・ソウル
CD:1987年4月30日 CP32-5326

LP(モノ・ステレオ)
1965年12月3日(イギリス)

1982年1月21日(モノ・日本) EAS-70135
1966年3月15日(ステレオ・日本) EAS-80555

収録曲(曲名をクリックすると詳細が表示されます)

Drive My Car   (Lennon-McCartney)
ドライヴ・マイ・カー (2'27")

レコーディング場所
アビイロード・スタジオ

プロデューサー
ジョージ・マーティン

エンジニア
ノーマン・スミス

レコーディング日時

1965年10月12日〜11月11日
詳細は「レコーディング日記」を
参照してください。

参加ミュージシャン
ジョージ・マーティン
(The Wordにハーモニウム)
(In My Lifeにピアノ)

マル・エバンス
(You Won't See Meに
ハーモニウム

アウト・テイク
「12-Bar Original」
「Day Tripper」
モノ・リミックス1と3

「恋を抱きしめよう」モノ・リミックス1と3
「Michelle」モノ・リミックス1
「The Word」ステレオ・リミックス1
Norwegian Wood (This Bird Has Flown)  (Lennon-McCartney)
ノルウェーの森  (2'03")
You Won't See Me (Lennon-McCartney)
ユー・ウォント・シー・ミー  (3'19")
Nowhere Man (Lennon-McCartney)
ひとりぼっちのあいつ  (2'42")
Think For Yourself  (Harrison)
嘘つき女  (2'18")
The Word  (Lennon-McCartney)
愛のことば  (2'42")
Michelle    (Lennon-McCartney)
ミッシェル  (2'40")
What Goes On  (Lennon-McCartney)
消えた恋  (2'47")
Girl (Lennon-McCartney)
ガール (2'30")
10 I'm Looking Through You  (Lennon-McCartney)
君はいずこへ  (2'25")
11 In My Life (Lennon-McCartney)
イン・マイ・ライフ  (2'25")
12 Wait (Lennon-McCartney)
ウェイト  (2'13")
13 If I Needed Someone (Harrison)
恋をするなら  (2'21")
14 Run For Your Life  (Lennon-McCartney)
浮気娘  (2'18")

アルバム製作に至るまで
 前年同様、この年も「年にアルバム2枚、シングル4枚」の計画のもと、アルバムが製作されることになった。 しかし、クリスマス・セールに間に合わせるつもりでも手元にある新曲は数曲で、ミキシングを終えてカッティングするのにあと1ヶ月と少ししかない、過酷な状況でのアルバム製作となった。 しかし、ツアーの日程を入れないでレコーディングに集中したことにより、傑作を生み出すことになる。 どれだけ慌しかったかは当HPの「レコーディング日記」を参照してほしい。
 ジョージ・マーティンが語るに
「成長段階にある新しいビートルズの姿を世間に示す最初のアルバムだった」という言葉のとおり、前作(同年)と比べてもハッキリとした変化を感じ取ることができる。 一般的に、このアルバムからマジカルまでを『中期』と呼ばれることからも、このアルバムから”変化”が現れたと言ってもいいだろう。 また、「アルバムそれ自体が芸術」という考えを持って製作されたのもこのアルバムからだ。 ジョンも傑作「アビー・ロード」とこのアルバムを比べて、「アビー・ロードはラバー・ソウルのように魂が入っていない」と発言したように、逼迫した状況で生み出された収録曲とアルバム自体に自信を持っていたようだ。
 ただ、ビートルズ中期というと、”サイケデリック”というイメージが強いところですが、アイドル・グループからレコーディング・アーティストに変化する、その境目という位置づけもできるだろう。 そのため、実験的な音作りもこのアルバムから行われており、それは次回作『リヴォルバー』へとつながり、SGTで昇華した。 それ以降は、徐々に原点に戻っていくわけだが・・・。 ジョンが言う、「僕たちはレコーディング・スタジオを自在に使いこなせるようになっていたんだ」というように、誰も演奏を聴いていない(必死に叫んでいる!)ツアーに出ていくよりは、スタジオに篭って、作りたい音楽に没頭したくなっていったのも無理は無い。 しかし、世界中をツアーで回ることがビートルズの第一の仕事だと考えていたエプスタインとは意見が合わなくなってしまう。仲が悪くなったわけではないが、このことが彼の死の遠因となったことは皮肉な話だ。

 アルバム製作に入る前にも大きな変化があった。 ジョージ・マーティン、ロン・リチャーズ、ジョン・バージェスの3人が、1965年8月にEMIを退社して独立プロダクション「AIR」(アソシエイテッド・インディペンデント・レコーディングス・リミテッド)を設立した。 EMIはビートルズのプロデューサーを別の者に変更することもできたわけだが、G・マーティンとビートルズが築き上げた功績を考慮して、G・マーティンをそのままビートルズのプロデユーサーとした。 EMIのA&R部門が人員不足となり、ビートルズのエンジニアを務めてきたノーマン・スミスが昇格した。 そして『ラバー・ソウル』がビートルズとの最後の仕事となった。 N・スミスは1967年に「ピンク・フロイド」(ブッチャーの入場テーマで有名な”吹けよ風、呼べよ嵐”は私も大好き)を見出し、プロデューサーとしても成功した。 さらには”ハリケーン・スミス”という別名でシングルを発表して、なんと全米1位を記録したとな!
 

アルバム・レコーディング
 時間ないのに曲がない! で、エルヴィスの”Baby Let's Play House”という曲から2行を引用して『Run For Your Life』を作った。 そのためかジョン曰く「大嫌い」なこの曲からレコーディングは始まった!(1965年10月12日) そして極めつけはインドの楽器「シタール」を使用したことだ!! このように実験的な音作りが行われるようになったのだ。 そして深夜0時を過ぎての初めてのレコーディングが10月15日。 そして間に合わない!ため、計画的に深夜・・・徹夜になるレコーディングとなり、最終日は11月11日には夕方6時から翌朝7時までの13時間にも及んだ。 ほとんど休みなしだったそうだ。 アビー・ロード・スタジオの門限はどこへ? その最終日の段階で、急いで書き上げた新曲「Girl」 「You Won't See Me」を録音し終えても、13曲・・・。 あと1曲足りないということで、前作でお蔵入りになっていた「Wait」をちょっとリメイクして仕上げた。
 この忙しい最中、ファンクラブのためのクリスマス・レコードも製作している。(レコーディング日記参照・・・) また、
「12-Bar Original」というインストナンバーも録音されたが、メンバー用のコレクションとして編集された。 近年『アンソロジー2』で公式に聴けるようになる。
 そして、全曲オリジナルで占められたアルバムとなった!

 一説によると、
「Maisy Jones」 「Baby Jane, I'm Sorry」(ポールがジェーン・アッシャーに向けて・・・) 「Rubber Soul」の3曲も録音されたというのがあるらしいけれど、公式録音データには、どこにも記載はなかった。

 楽器では、ジョンがリッケンバッカー325から、
エピフォン・カジノをメインに使用するようになった、3曲だけど(日本武道館でも使用していた)。一番使ったのは前作同様ギブソンJ-160E。 ポールはジョンとは逆に、リッケンバッカー4001を使用し始めた(ヘフナーより多い)。 また、「Michelle」で、アコギ(エピフォン・テキサン)も弾いている。 ジョージはグレッチではなく、ストラトキャスターとエピフォン・カジノを使用。 またシタールも弾いている! そうそう、新しい12弦、リッケンバッカー360−12「If I Needed Someone」で使用している(日本武道館でも使用)。 この2本目は後に盗まれたそうだ。 ジョージは「リッケンバッカー360-12WB」の方を気に入っていて、「盗まれたのが2本目のほうでよかった」と語っている。 また、1本目も2本目もそれぞれ2本持っていたらしいが、ツアー中の移動時に車の荷台から落ちて、後続車に引かれてバラバラになっていく様をジョージは悲鳴とともに見届けたそうだ。


曲構成など

  自作曲ではジョンが6曲、ポールは4曲、共作が2曲、ジョージが2曲。 特にジョンの代表曲と言われる
「Norwegian Wood」 「Nowhere Man」 「Girl」 「In My Life」の4曲は絶品だ。 ジョン絶頂期! ポールも負けじと「Michelle」という名曲を作った。 有名で人気のある曲だがシングルカットしなかったのは「Yesterday」の後だっただけに「バラードのポール」という印象を持たれたくなかったからだそうだ。 しかし、後にバラードの傑作を数多く発表し、大ヒットさせたことにより、よりいっそう「バラードのポール」という印象は強くなる。 しかし、ポールのLIVEを見ると、R&R系が多いのだ。
 このアルバムは、
邦題がとても多くつけられている。  14曲中8曲もある。 しかし、次の「リヴォルバー」からはほとんどない。


アルバム・ジャケットとタイトル
 またまた前作と同じく
撮影者はロバート・フリーマンさん。 1965年秋にジョンの自宅(ウェイブリッジ)で撮影されたものだそうだ。 写真のゆがみは「ビートルズの生活形態が変化しつつあることの証」なんだそうだ。 R・フリーマンがアルバムと同じ大きさの白いボール紙に写真のスライドを写していたところ、ボール紙が後ろに傾き、4人の顔がグニャ〜ンと長く写った。 それを4人が気に入ったということだ。

 アルバムタイトルは、単純に「ゴム底の靴」ではなくて、黒人ミュージシャンがミック・ジャガーを称するときに「Plastic Soul(まがい物のソウル)」←失礼な!・・・と言っていると、1965年6月14日の
「I'm Down」録音の合間に、ポールが他の3人に説明しているらしく、そこから来ているのでは?という説がある。 ジョンが「アルバム・タイトルはポールが考え付いた」と言っているので信憑性はあるにはあるが・・・。 が、さらにジョンが「ソウルのイギリス版(?)という意味だろう。単なるダジャレさ」と言っている。 真相は・・・? おそらく当の本人達が一番憶えていないだろう。

 初版のジャケットでは、ジョンの右肩にホコリが付いていた。 そして緊急処置で、その上にシールを貼って発売していた。 どこかのビートルズ展で見たことがあるが、どれもあからさまで貴重だ!! ある意味、ブッチャー・カバーより? と思ったら、今のCDにもホコリが見えるような・・・。

アルバム発売
 1966年12月3日に発売され初登場1位(予約だけで50万枚!)。 NMEでは12週連続1位、メロディ・メイカーでは連続13週1位を記録。  その後半年間も10位以内に在位した。 シングル
「恋を抱きしめよう」「Day Tripper」は両A面で、NMEで4週、メロディ・メイカーでは4週連続1位。 アメリカでは別扱いで「恋を抱きしめよう」が3つのチャートで1位。 「Day Tripper」はビルボードで最高5位。 「Nowhere Man」がアメリカ(1位)と日本でシングルカットされた。

 日本ではイギリスと同じ体裁で発売されたが、アメリカではまだまだがんばりました、キャピトル・レコードさん!!
 同名の
『RUBBER SOUL』(ジャケットは同じ)が12月6日に発売されるも、「Drive My Car」 「What Goes On」 「Nowhere Man」 「If I Needed Someone」の4曲がカットされて、「I've Just Seen A Face」 「It's Only Love」が代わりに収録された、そうだ・・・計12曲。 そして、カットされた4曲は1966年6月20日発売の『YESTERDAY AND TODAY』に収録された(他入れて11曲構成)。  「Nowhere Man」 「What Goes On」はシングルとしても発売されたそうな。 いやはや。 いまでは貴重なコレクターズ・アイテムなり!!
 リチャード先生から、そのアメリカ盤2枚の収録曲&曲順を教えていただきました。

@『RUBBER SOUL』

Aside

Bside
@ I've Just Seen A Face
A
Norwegian Wood
B
You Won't See Me
C
Think For Yourself
D
The Word
E
Michelle
@ It's Only Love
A
Girl
B
I'm Looking Through You
C
In My Life
D
Wait
E
Run For Your Life

「I've Just Seen A Face」 「It's Only Love」他はイギリス同名アルバムから10曲。



A
『YESTERDAY AND TODAY』

Aside

Bside
@ Drive My Car
A I'm Only Sleeping
B
Nowhere Man
C
Doctor Robert
D
Yesterday
E
Act Naturally
@ And Your Bird Can Sing
A
If I Needed Someone
B We Can Work It Out
C
What Goes On
D Day Tripper

・・・「Yesterday」 「Act Naturally」は前作『HELP!』から、あとは『リヴォルバー』とシングル2曲。


ミックス違い

 このアルバムも『HELP!』と同様に、CD化の際にジョージ・マーティンによりリミックスされた。 アナログのステレオ盤では、楽器構成が左右に分けられていたので、片方だけ聴いているとオリジナル・カラオケとなったものだが、CDではほとんどが中央よりになった。 モノラルとステレオのミックス違いについては、ほとんどが咳払いやカウントが「ある・ない」、エンディングが「長い・短い」などなど。 アメリカ盤ステレオテイクでは、
「I'm Looking Through You」のイントロをジョンが2回失敗したものがそのまま収録されている。 (細かいのは省略してしまいました〜あらら〜)


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メッセージ


ーーーー余談ーーーー
管理人の想い出
 なんとなく透明度が高い?という印象というか、アコースティックというイメージが強い。 聴きこんだアルバムでは無いのだけれど、バンドで取り上げようとして、よぉ〜く聴いてみると、メチャメチャ難しい! 演奏もそうだけれど、コーラス・ワークが。 私がもうちょっと年を取ると、一番好きになる可能性がビッグなアルバム(落ち着いた雰囲気ってこと)。 いまはまだチャキチャキと荒々しく、ゲット・バック・セッションやホワイト・アルバムあたりが合っているかな。 思い出といえば、高校時代(何十年前だ?)、私よりちょっと遅れてビートルズが好きになった、木戸くんが「ラバー・ソウルが一番好き」って言っていたっけなぁ。 失礼ながら「なんで?」って思った。 若かったから〜。

【Dr.Jinの思い入れ】
その日の気分次第では、私にとって「1番好きだ!」と言い切ってしまうアルバムかもしれません。いままでで3曲選ぶのが一番ツラかった。


【リチャード先生の思い出】
このアルバムはオリジナル・アルバムの中で3番目に買ったものですが,最初はジャケットの暗い雰囲気があまり好きではなかったように記憶しています。でも中身を聞いているうちにとっても好きになりました。ちなみにビーチボーイズのブライアン・ウィルソンはこのアルバムにとても影響を受けたそうですが,彼が聞いたのは実はこのアルバムではありません。1曲目が"I've Just Seen A Face"で始まるアメリカ編集の方だったのです…

【Uchiyの思い出】
(未投稿)