夢枕 獏 代表作(私撰)
13. キマイラ梵天編
円空山で二十年ぶりの再会を果たした吐月を、久鬼玄造は翌日自分の屋敷に招いた。 吐月、九十九、そして菊地を前にして、玄造は数十年前に大谷探検隊がひそかに日本に持ち帰ったキマイラの腕を見せた後、それを手にするにいたった経緯を語り始めた。 それは、梶井知次郎や馬垣勘九郎との出会いに始まる玄造の青春の回想であり、キマイラの謎を解く鍵を秘めた長い物語であった。