夢枕 獏 代表作(私撰)
9. キマイラ狂仏編
大鳳吼はわが息子だ−円空山の雲斎のもとを訪れた巫炎は、この衝撃的な事実を口にした後、さらに問い迫る雲斎に、久鬼麗一もまた自分の子であること、久鬼玄造は自分達の血を盗みに大陸に渡ってきた敵であることを告げたが、自らの血の由来や、台湾で玄造との間に何があったかは、ついに語ろうとはしなかった。
その頃、巫炎が求める大鳳と久鬼はかつてないほど、キマイラ化が進行していた。
久鬼はキマイラの謎解明の鍵を握る狂仏と相対して獣と化し、大鳳は死に場所を求めて明神が岳に篭って獣と化した。
覚醒したとき、大鳳は久鬼玄造のもとを訪れようと決意した。
すべてを失って獣と化しつつあるとき、せめて自分が何者であるのかを確かめたいと思ったのだ。
そして玄造はそれを知っていると−。