2) なぜこんなに虫歯が少なくなってきた今、水道水にフッ素を入れるのか(水谷)
近年日本ではう蝕が急激に減少しています。厚生省は6年に一回「歯科疾患実態調査」を行っていますが、1999年に行われた「調査」では12歳児のう蝕に罹ったことがある歯の一人当たりの数は2.44本です。昭和56年の「調査」では5.43本、昭和62年では4.93本、平成5年で3.64本ですから、その減少がよくわかると思います。 私は ほぼ20年間 保健所における3才児検診・1歳半検診に 各年1回程度 参加しておりますが、3歳では 以前は ほとんどの子に 虫歯が見られたのに、だんだんと減って、最近では1割程度しか虫歯の子がいません。1歳半では50人中多くて2,3名 といった 状況です。また、学校医を15年以上していますが、この間、ほとんどの子に出していた治療勧告がだんだんと減って、現在では2割以下になっていますし、半数以上の子が 永久歯の虫歯には なったことがありません。世界的に 先進国ではこの傾向が顕著で、20〜30年前は 洪水とまで言われた虫歯が 近年急減し 若年者ではほとんどなくなってきています。その原因として 水道水のフッ素化や 歯磨き剤を中心としたフッ素の効果を 第1に挙げるのが 予防歯科の学会では 一般的です。しかし、日本では 近年まで 歯磨き剤のフッ素含有も そんなにシェアが多いもではありませんでした。にもかかわらず、虫歯は随分と減ってきたのです。 ここにこれからも虫歯をさらに少なくする鍵があると思うのですが。なぜ今ごろになって水道水のフッ素化?と疑問に感じるのです。 |
現在の20歳台・30歳台の人は虫歯の洪水の時代であり、本格的な虫歯となった歯はどうしても歯の寿命が短くなります。神経を取った歯の寿命は特に短くなります。また、最近では初期う蝕はそんなに急激に進行せず、進行が止まることも多くあるため、様子をみることが一般的となり出していますが、1980年代後半までは「早期発見 早期治療」といわれ、小さな虫歯もバリバリ削ったものです。当然私もそうしていたので、今思うとぞっとします。患者さんには申し訳ないことをしたものです。(水谷) |