弗素塗布が疑われるアレルギー様症状


 2003年6月にO市において、弗素塗布によるアレルギーが疑われる事例がありましたので、報告をします。 弗素塗布剤の注意事項にはアレルギーの出現があります。既往歴など気をつけることが重要と思われますが、集団を対象とした弗素塗布は安易になりがちですし、責任の所在があいまいなことも多いようです。こういった点からも集団に対する弗素塗布には反対します。

報告

年月日:2003626

時間:1320頃 フッ素塗布(フロアーゲル)を受ける

       帰宅後 午睡

     1600頃 母親が異常に気づく

     1800   かかりつけ医師より処方されている

            ニポラジン飲用させる。

   ○その後症状は自然治癒

@年齢:1.8歳 女子 

Aフッ化物塗布 既往:本年68日にジェルディン(第一フッ化スズ塗布) 

の塗布を受ける。その時は無症状

Bアレルギー既往:・アトピー性皮膚炎 全身に現れる。腹部、背中が多い。

夏:背中がジュクジュクする  冬:カサカサ

・気管支喘息あり ・鼻炎 なし

〔アレルゲンの既往、及びそれによって引き起こされる症状〕

アレルゲン

症状

アレルギー用粉ミルク

下痢、嘔気、呼吸困難、全身に湿疹(摂取後 2-3分)

牛乳

呼吸困難  (摂取後 2-3分)

ココナッツ

かゆみ、全身湿疹 (摂取後12時間後)

いわし(ジャコ)

かゆみ、全身湿疹 (摂取後12時間後)

ダニ

かゆみ:新しい布団では痒くなる。普通の防虫剤は使用しない。

 4)家族歴:母親がアレルギー体質、兄:アレルギー既往なし

5)経過

    フッ素塗布後2時間半、母親が女児の咳き込みに気づく。呼吸困難、顔面、発赤腫脹、更に約10分後、全身に湿疹(ブツブツ)が出現。

    主治医より処方されているニポラジンを内服させる。しばらくして症状は自然治癒。

6)発症前の状態

当日、朝食、麦茶(共に母親が作る。)以外は摂取していない。塗布されたフッ化化合物は、吐き出さず全量を飲み込む。

@    本人はアトピー体質で、多くのアレルゲンに対しアレルギー反応を示すこと。

A    フッ素化合物以外、原因となりそうなものを一切摂取していないこと。

B    症状及び、経過が、薬物、食物アレルギー等で見られる症状(呼吸器系、皮膚)と酷似している事。

C    以前にフッ化化合物に暴露されていること。(感作の疑い)

以上より、フッ素又はフッ化化合物によるアレルギーを疑った。

1.「フッ素アレルギー」に関しては、本邦には報告がほとんどなく、アメリカアレルギー学会、WHOなどは否定的な見解を示している。しかし、海外ではWaldobott他、フッ素アレルギー等に関する文献を得ることができる。(1,2

又、免疫学の最近の進歩は著しいが、食物アレルギー等に関しても、「アレルギー機序の関与が証明されないか又は不明な場合が少なくない。」(臨床アレルギー学 南江堂 p.395)、「又一般的にはどのような抗原であっても適当なアジュバンド(補助物質)の使用と投与量、投与方法を設定すれば人にIgE抗体の産生を誘導することが可能であると考えられる。」(臨床アレルギー学p.105)にあるように、不明な点が多い。

 2. 今回の事例においても、可能であれば追跡調査など原因の究明が待たれるところであるし、日本及び各国でフッ素応用を試みている有識者たちが、アレルギー、過敏症の可能性を常に意識し、フォローする事が重要であると考える。 

3. 今回の症例に見るように、例え、それがアレルギー反応でないとしても、その原因は何であるかの究明をする必要性があり、又、原因がフッ素化合物と思われる望ましくないアレルギー様症状(過敏反応)が起きた事実を考えれば、無作為的集団応用には、フッ素化合物は相応しくない物質であると思われる。

 

〔参考文献〕

1Zanfanga PE. (1976). Allergy to fluoride. Fluoride 9(1): 36-41.

2)・Spittle B. (1993). Allergy and hypersensitivity to fluoride. Fluoride 26(4):267-73.

Taves, D.R.: Evidence that there are Two Forms of Fluoride in Human 

Serum. Nature, 217:1050-51, 1968.

  2003111

 報告:永坂佳規


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