BIRD
CD/COCP-50689
VINYL/COJA-50690〜50691  2000.4.24

1.惑星にエスカレーター
 ショッパナからもはやコメントするのがヤボなほどの歌詞世界が展開されています(笑)。最近は宇宙や星といった、スケールの大きい(?)テーマを唄ってますね。低音でタメのきいたリフが一曲目にふさわしいですね。

2.シャロン
 K村隆一が歌っても不自然ではないような爽やかなナンバー。「パルコ」とか「茶髪」とか、ミッシェルでは考えられない(こともない?)単語が出てきます。このアルバムで一番好きなフレーズがこの曲の中のココです「地下鉄が唄うメロディー/誰も知らないメロディー」・・・でも「カーブを曲がりたくなかった/ハンドルから手を放した」もイイですね(死ぬ気か〜?)。でもダダリオ・カマロって何でしょうね。ダダリオというと弦のJ. D'Addario、カマロというと車しか思いつかないですが。ま、意味を追求するのはヤボってことで。

3.ミッドナイト・コンドル
 メロディの良さも出色ながら、なんだか歌詞が可愛い曲です。鳥類もチバさんの歌詞世界には不可欠な動物です(ていううかアルバムタイトルがすでに・・・)。大サビが特に好きですね。「ステンレスだらけ/俺はあまりうれしくないね」っていうのが好きです。こう、チバさんの特徴ある声質が十分に生かされている曲という気がします。「夜の雲が空母に見える」とかちょっと悲しげな歌詞です。

4.JERRY LOVE
 これもミッシェルではあまりなかった物憂げな曲調。照井さんの元いた某バンドの「小さな恋のメロディー」みたいな感じ?テロ関連のことは下の方で書いてますが「木っ端微塵の街」というのは歌詞として大丈夫だったのでしょうか。歌詞上の「ジェリー・ラブはあの夏の夜に生きている」というのは曲中では英語で唄われています。そういう手法は「赤毛のケリー」でもやってましたね。
 
5. I ● PUNK(※●はハートマーク)
 アメリカ批判とも取れる歌詞。下でも書いてますがテロの影響で歌詞が差し替えになったことへの反発でしょうか。こういう曲はアベさんのギターのほうが雰囲気出そうだけどなあ。実は昔、この曲の出だしにソックリの詩を書いたことがあって、それを思い出して恥ずかしくなりました(笑)
 
6.カリプソ・ベイビー
 チバさんの書く詩にはやはり性的な匂いが無いですね。卵生んじゃうんですね(笑)しかし、男と女の違いが良くわかってらっしゃる!誰かに言われたんでしょうか??

7.モーター・プール
 ROSSO版「君に会いにゆこう」って感じでしょうか。SSTVのランキングではこの曲も大人気でした。「さっき決めたんだ」の繰り返しがカッコイイです。やっぱり一瞬で沸点に達することが出来る爆発力が、チバさんのボーカルの持ち味ですね。

8.グラスホッパーはノーヘル
 ノリ一発の軽快な小曲。しかし社会的メッセージも込められています。

9.星のメロディー
 これは曲も歌詞もかなり秀逸。前半のつぶやくような歌声と、後半の1オクターブ上がった絶叫が好対照をなしていると思います。メジャーコードに乗せて「鹿の群れが撃ち殺されても/二人は逃げるつもりはなかった」こんな切ない歌詞が書けてしまうチバさんは、本当に繊細な人なのだろうなあ。まぶたの裏に情景が浮かぶようです。最近は宇宙がテーマの曲が多いような気がします。
 
10.モンキー・ラブ・シック
 「星のメロディー」で爽やかに終わらないのがROSSO流、ということで。ひたすら同じフレーズの繰り返しで、トランス状態(音楽のジャンルのトランスではない)に。ライブでやってたら、どこを弾いてるかわからなくなりそうですね。即興もありそう。心持ち長いな〜。歌詞について記述するのはやめることにします(笑)
 



 メンバーがチバユウスケ、照井利幸(言うまでもなく元Blankey Jet City)、MASATO(言っておいたほうがいいかもしれないASSFORTのメンバー、"元ASSFORT"と書いてしまい大変失礼しました)という話題性に加えて、出てきたモノが意外にもPOPで聴きやすい音楽性を持っているなど、見逃せない一枚。チバさんは、ギターを弾きながら歌うのが苦手だと言っていましたが(そのために昔ミッシェルの活動を休止し、ギターを募集した)、ライブを見る限りけっこう頑張っているようです(微笑)
 結成後からアルバム完成までが早かったこともあって、いい意味での荒削りさ、初期衝動、緊張感が出ていると思います。一曲目の「キョンニチワアア!!」にはビックリしてしまいましたが(笑)全体的に「歌モノ」の面を押し出しています。
 歌詞の面では、ミッシェルではなかった少し政治的なメッセージを帯びたものが散見されます。これは、'01の9月に起きたアメリカ同時多発テロのために、「ビルはまったいら」という歌詞が検閲でNGになった(ファンクラブ会報より)ことも関係しているのかもしれません。アルバム全体が、何か静かな怒りに満ちているような、そんな印象を受けました。適切なたとえではないかもしれませんが、「非暴力、不服従」のガンジーみたいな。
 このバンドが商業的にもある程度の成功を収めたので、ミッシェルの活動再開は遠のいたか・・・?
 私が感心したのは、ある雑誌でのチバさんのコメント。ROSSOのライブの後ある雑誌記者に、ROSSOはまだ始まったばかりですからね、と言われて「始まったばかりとかそんなことは関係ない、10年以上音楽をやっているわけだし、いいもんは最初からいいんだから」のようなことを答えていたことです。いつも少ない口数で、真理をついた発言をしますねえ。
 ちなみにROSSOとはイタリア語で「赤」の意。何かの命名には異常なほどのセンスを発揮するチバさんならでは。




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