もう一つの仏教学・禅学
新大乗ー現代の仏教を考える会
仏教学・禅学の批判

(この文献の中から、このテーマについて、まだ、全収録には至っていませんが、別の論考で触れているため、一応、一部を記載したものをアップロードしておきます。)
階位
仏道を会得するのは、一度ですべて完成するのではない。
階位
「正法眼蔵」
- 「人のさとりをうる、水に月のやどるがごとし。月ぬれず、水やぶれず。ひろくおほきなるひかりにてあれど、尺寸の水にやどり、全月も彌天も、くさの露にもやどり、一滴の水にもやどる。さとりの人をやぶらざる事、月の水をうがたざるがごとし。人のさとりを@(けい)礙せざること、滴露の天月を@(けい)礙せざるがごとし。ふかきことはたかき分量なるべし。時節の長短は、大水小水を&(けん)點し、天月の廣狹を辨取すべし。
身心に法いまだ參飽せざるには、法すでにたれりとおぼゆ。法もし身心に充足すれば、ひとかたはたらずとおぼゆるなり。たとへば、船にのりて山なき海中にいでて四方をみるに、ただまろにのみみゆ、さらにことなる相みゆることなし。しかあれど、この大海、まろなるにあらず、方なるにあらず、のこれる海徳つくすべからざるなり。宮殿のごとし、瓔珞のごとし。ただわがまなこのおよぶところ、しばらくまろにみゆるのみなり。かれがごとく、萬法またしかあり。塵中格外、おほく樣子を帶せりといへども、參學眼力のおよぶばかりを見取會取するなり。萬法の家風をきかんには、方圓とみゆるほかに、のこりの海徳山徳おほくきはまりなく、よもの世界あることをしるべし。かたはらのみかくのごとくあるにあらず、直下も一滴もしかあるとしるべし。」(1)
- 「うを水をゆくに、ゆけども水のきはなく、鳥そらをとぶに、とぶといへどもそらのきはなし。しかあれども、うをとり、いまだむかしよりみづそらをはなれず。只用大のときは使大なり。要小のときは使小なり。かくのごとくして、頭頭に邊際をつくさずといふ事なく、處處に踏翻せずといふことなしといへども、鳥もしそらをいづればたちまちに死す、魚もし水をいづればたちまちに死す。以水爲命しりぬべし、以空爲命しりぬべし。以鳥爲命あり、以魚爲命あり。以命爲鳥なるべし、以命爲魚なるべし。このほかさらに進歩あるべし。修證あり、その壽者命者あること、かくのごとし。」(2)
- 「しかあるを、水をきはめ、そらをきはめてのち、水そらをゆかんと擬する鳥魚あらんは、水にもそらにもみちをうべからず、ところをうべからず。このところをうれば、この行李したがひて現成公案す。このみちをうれば、この行李したがひて現成公案なり。このみち、このところ、大にあらず小にあらず、自にあらず他にあらず、さきよりあるにあらず、いま現ずるにあらざるがゆゑにかくのごとくあるなり。
しかあるがごとく、人もし佛道を修證するに、得一法、通一法なり、遇一行、修一行なり。これにところあり、みち通達せるによりて、しらるるきはのしるからざるは、このしることの、佛法の究盡と同生し、同參するゆゑにしかあるなり。得處かならず自己の知見となりて、慮知にしられんずるとならふことなかれ。證究すみやかに現成すといへども、密有かならずしも現成にあらず、見成これ何必なり。」(3)
- 「平常心といふは、此界他界といはず、平常心なり。昔日はこのところよりさり、こんにちはこのところよりきたる。さるときは漫天さり、きたるときは盡地きたる。これ平常心なり。平常心この屋裡に開門す、千門萬戸一時開閉なるゆゑに平常なり。いまこの蓋天蓋地は、おぼえざることばのごとし、噴地の一聲のごとし。語等なり、心等なり、法等なり。壽行生滅の刹那に生滅するあれども、最後身よりさきはかつてしらず。しらざれども、發心すれば、かならず菩提の道にすすむなり。すでにこのところあり、さらにあやしむべきにあらず。すでにあやしむことあり、すなはち平常なり。」(4)
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「おほよそ徳山それよりのちも、させる發明ありともみえず、ただあらあらしき造次のみなり。ひさしく龍潭にとぶらひせば、頭角觸折することもあらまし、頷珠を正傳する時節にもあはまし。わづかに吹滅紙燭をみる、傳燈に不足なり。
しかあれば、參學の雲水、かならず勤學なるべし、容易にせしは不是なり、勤學なりしは佛祖なり。おほよそ心不可得とは、畫餠一枚を買弄して、一口に咬著嚼著するをいふ。」(5)
(注)
- (1)「現成公案」、「道元禅師全集」第1巻、春秋社、1991年、4頁。
- (2)同上、5頁。(1)の続き。
- (3)同上、5頁。(2)の続き。
- (4)「身心学道」、「道元禅師全集」第1巻、春秋社、1991年、49頁。
- (5)「心不可得」、「道元禅師全集」第1巻、春秋社、1991年、86頁。
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「てづくり素材館 Crescent Moon」