もう一つの仏教学・禅学
新大乗ー現代の仏教を考える会
仏教学・禅学の批判
在家と出家=十二巻「正法眼蔵」
出家の方が、修行が容易で、得道しやすい。
(A)在家と出家
「正法眼蔵」
- 「龍樹菩薩言、
問曰、若居家戒、得生天上、得菩薩道、亦得涅槃。復何用出家戒
(問うて曰く、居家戒の若きは、天上に生ずることを得、菩薩の道を得、亦た涅槃を得。復た何ぞ出家戒を用ゐんや)。
答曰、雖倶得度、然有難易。居家生業、種種事務。若欲專心道法家業則癈、若專修家業道事則癈。不取不捨、能應行法、是名爲難。若出家、離俗絶諸忿亂、一向專心行道爲易
(答へて曰く、倶に得度すと雖も、然も難易有り。居家は生業、種種の事務あり。若し道法に專心せんと欲へば、家業則ち癈す、若し家業を專修すれば道事則ち癈す。取せず捨せずして能く應に法を行ずべし、是れを名づけて難と爲す。若し出家なれば、俗を離れて諸の忿亂を絶し、一向專心に行道するを易と爲す)。
復次居家、@(かい)鬧多事多務。結使之根、衆罪之府、是爲甚難。若出家者、譬若有人出在空野無人之處、而一其心、無心無慮。内想既除、外事亦去。如偈説
(復た次に居家は、@(かい)鬧にして多事多務なり。結使の根、衆罪の府なり、是れを甚難と爲す。出家の若きは、譬へば、人有りて、出でて空野無人の處に在りて、其の心を一にして、心無く慮無きが若し。内想既に除こほり、外事亦た去りぬ。偈に説くが如し)。
閑坐林樹間、寂然滅衆惡
(林樹の間に閑坐すれば、寂然として衆惡を滅す)、
恬澹得一心、斯樂非天樂
(恬澹として一心を得たり、斯の樂は天の樂に非ず)。
人求富貴利、名衣好牀褥
(人は富貴の利、名衣、好牀褥を求む)、
斯樂非安穩、求利無厭足
(斯の樂は安穩に非ず、利を求むれば厭足無し)。
衲衣行乞食、動止心常一
(衲衣にして乞食を行ずれば、動止、心、常に一なり)、
自以智慧眼、觀知諸法實
(自ら智慧の眼を以て、諸法の實を觀知す)。
種種法門中、皆以等觀入
(種種の法門の中に、皆な以て等しく觀入す)、
解慧心寂然、三界無能及
(解慧の心寂然として、三界に能く及ぶもの無し)。
以是故知、出家修戒行道、爲甚易
(是れを以ての故に知りぬ、出家して戒を修し行道するを、甚易なりと爲す)。
復次出家修戒、得無量善律儀、一切具足滿。以是故、白衣等應當出家受具足戒
(復た次に出家して戒を修すれば、無量の善律儀を得、一切具足して滿ず。是れを以ての故に、白衣等應當に出家して具足戒を受くべし)。
復次佛法中、出家法第一難修
(復た次に佛法の中には、出家の法第一に修し難し)。
如閻浮*(か)提梵志問舍利弗、於佛法中、何者最難(閻浮*(か)提梵志の舍利弗に問ひしが如き、佛法の中に、何者か最も難き)。
舍利弗答曰、出家爲難(出家を難しと爲す)。
又問、出家有何等難(出家には何等の難きことか有る)。
答曰、出家内樂爲難(出家は内樂を難しと爲す)。
既得内樂、復次何者爲難(既に内樂を得ぬれば、復た次に何者をか難しと爲す)。
修諸善法難(諸の善法を修すること難し)。
以是故應出家(是れを以ての故に、應に出家すべし)。
復次若人出家時、魔王驚愁言、此人諸結使欲薄、必得涅槃、墮僧寶數中(復た次に若し人出家せん時、魔王驚愁して言く、此の人は諸の結使薄らぎなんず、必ず涅槃を得て、僧寶の數中に墮すべし)。
復次佛法中出家人、雖破戒墮罪、罪畢得解脱、如優鉢羅華比丘尼本生經中説(復た次に佛法の中の出家人は、破戒して墮罪すと雖も、罪畢りぬれば解脱を得ること、優鉢羅華比丘尼本生經の中に説くが如し)。
佛在世時、此比丘尼、得六神通阿羅漢。入貴人舍、常讃出家法、語諸貴人婦女言、姉妹、可出家(佛在世の時、此の比丘尼、六神通阿羅漢を得たり。貴人の舍に入りて、常に出家の法を讃めて、諸の貴人婦女に語りて言く、姉妹、出家すべし)。
諸貴婦女言、我等少壯、容色盛美、持戒爲難、或當破戒(諸の貴婦女言く、我等少壯して、容色盛美なり、持戒を難しと爲す、或いは當に破戒すべし)。
比丘尼言、破戒便破、但出家(戒を破らば便ち破すべし、但だ出家すべし)。
問言、破戒當墮地獄、云何可破(戒を破らば當に地獄に墮すべし、云何が破すべき)。
答言、墮地獄便墮(地獄に墮さば便ち墮すべし)。
諸貴婦女笑之言、地獄受罪、云何可墮(諸貴婦女、之を笑つて言く、地獄にては罪を受く、云何が墮すべき)。
比丘尼言、我自憶念本宿命時、作戲女、著種種衣服而説舊語。或時著比丘尼衣、以爲戲笑。以是因縁故、迦葉佛時、作比丘尼。自恃貴姓端正、心生&慢、而破禁戒。破禁戒罪故、墮地獄受種種罪。受畢竟値釋迦牟尼佛出家、得六神通阿羅漢道
(比丘尼言く、我れ自ら本宿命の時を憶念するに、戲女と作り、種種の衣服を著して舊語を説きき。或る時比丘尼衣を著して、以て戲笑を爲しき。是の因縁を以ての故に、迦葉佛の時、比丘尼と作りぬ。自ら貴姓端正なるを恃んで、心に&慢を生じ、而も禁戒を破りつ。禁戒を破りし罪の故に、地獄に墮して種種の罪を受けき。受け畢竟りて釋迦牟尼佛に値ひたてまつりて出家し、六神通阿羅漢道を得たり)。
以是故知、出家受戒、雖復破戒、以戒因縁故、得阿羅漢道。若但作惡無戒因縁、不得道也。我乃昔時、世世墮地獄、從地獄出爲惡人。惡人死還入地獄、都無所得。今以此證知、出家受戒、雖復破戒、以是因縁、可得道果
(是れを以ての故に知りぬ、出家受戒せば、復た破戒すと雖も、戒の因縁を以ての故に、阿羅漢道を得。若し但だ惡を作して戒の因縁無からんには、道を得ざるなり。我れ乃ち昔時、世世に地獄に墮し、地獄より出でては惡人爲り。惡人死して還た地獄に入りて、都て所得無かりき。今此れを以て證知す、出家受戒せば、復た破戒すと雖も、是の因縁を以て、道果を得べしといふことを)。
復次如佛在祇桓、有一醉婆羅門。來到佛所、求作比丘。佛敕阿難、與剃頭著法衣。醉酒既醒、驚怪己身忽爲比丘、即便走去
(復た次に佛、祇桓に在ししが如き、一りの醉婆羅門有りき。佛の所に來到りて比丘と作らんことを求む。佛、阿難に敕して、剃頭を與へ法衣を著せしむ。醉酒既に醒めて、己が身の忽ちに比丘と爲れるを驚怪し、即便ち走り去りぬ)。
諸比丘問佛、何以聽此婆羅門作比丘
(諸比丘、佛に問ひたてまつらく、何を以てか此の婆羅門を聽して比丘と作したまひしや)。
佛言、此婆羅門、無量劫中、初無出家心、今因醉後、暫發微心。以此因縁故、後當出家得道
(佛言はく、此の婆羅門は、無量劫の中にも、初めより出家の心無し、今醉に因るが故に、暫く微心を發せり。此の因縁を以ての故に、後に當に出家得道すべし)。
如是種種因縁、出家之功徳無量。以是白衣雖有五戒、不如出家
(是の如くの種種の因縁ありて、出家の功徳無量なり。是れを以て白衣に五戒有りと雖も、出家には如かず)。
世尊すでに醉婆羅門に出家受戒を聽許し、得道最初の下種とせしめまします。あきらかにしりぬ、むかしよりいまだ出家の功徳なからん衆生、ながく佛果菩提うべからず。この婆羅門、わづかに醉酒のゆゑに、しばらく微心をおこして剃頭受戒し、比丘となれり。酒醉さめざるあひだ、いくばくにあらざれども、この功徳を保護して、得道の善根を増長すべきむね、これ世尊誠諦の金言なり、如來出世の本懷なり。一切衆生あきらかに已今當の中に信受奉行したてまつるべし。まことにその發心得道、さだめて刹那よりするものなり。この婆羅門しばらくの出家の功徳、なほかくのごとし。いかにいはんやいま人間一生の壽者命者をめぐらして出家受戒せん功徳、さらに醉婆羅門よりも劣ならめやは。」(1)
(注)
- (1)「出家功徳」、「道元禅師全集」第2巻、春秋社、1993年、265頁。 @=心偏に貴(かい)。*=口偏に去(か)。 &=心偏の橋(きょう)
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