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悩み・課題
うつ病・気分障害
うつ病の症状
誰でも、悩み、問題をかかえる。少し大きな悩みを持つと、「うつ病」(気分障害ともいう)になり、自殺する可能性があるので、家族の人は、よく気をつけていて下さい。ふさぎがちになり、外出しなくなってきた時には、うつ病になっている可能性があるので、医者にみてもらうタイミングを逃さないようにする必要がある。
「うつ病」であるかどうかは、病気であるがゆえに、精神科や心療内科などの医者の診断が必要である。また、うつ病に似た症状があっても、他の病気が潜んでいる場合もある。だから、医者の診断が必要である。
他の病気がひそんでおらず、「うつ病」(「仮面うつ病」「抑うつ神経症」なども)とはっきり診断されたら、まず薬物療法を受けるのが最善であろう。薬物療法に加えて、心理療法が効果がある。薬物療法で治らなかったうつ病でも、心理療法でよく治る。その他、早期治癒、再発防止、さらに、一回も発病させないための予防に、仏教心理療法も効果がある。心理療法の役割を果たす。「うつ病」の予防、早期治癒、再発防止に仏教心理療法は効果があるので、参考にしていただきたい。
うつ病の症状
「うつ病」の主な症状は「抑うつ(よくうつ)」である。ただ、「仮面うつ病」といって、抑うつの症状を訴えないで、身体症状が前面にでていて、他の病気とまぎらわしいものがある。通常のうつ病の症状は、精神症状と身体症状が伴う。
精神症状
うつ病には精神症状と身体症状を伴うことが多い。精神症状の中でも、特に、「抑うつ」という感情障害が基本症状である。「抑うつ」症状は、強度の気持ちの沈み、ゆううつ感がである。
「感情は悲哀的になりやすく、ささいなことも悲観的になる。嬉しいことにも反応しない。表情はさも悲しげで、ため息をついたり、涙を浮かべたりすることが多い。疲労感が強く、無気力で、おっくうである。歩行も前かがみに力なく歩く、胸が重苦しく、せつない気分である。」
思考の障害もある。「頭がさえない、頭がボーッとする、考えがまとまらない、などと表現するように、観念が頭に浮かばず、自信がなく決断力が非常に鈍る。」
「記憶、判断、計算などの活動も低下する。周囲の者はみな自分よりすぐれていると考え、強い劣等感を抱くようになる。自分の将来、体力、能力など、すべてに自信はなく、悲観的に考える。」
さらに発展すると次のような妄想が生じる。
- 心気妄想(自分が不治の病気になっていると誤解し、信じる。)
- 貧困妄想(そんな事実はないのに、貧乏になったと信じる。)
- 関係妄想(他人にうわさされている、ジロジロ見られているという誤った信念)
- 被害妄想(人にいじめられる、殺されるという誤った信念)
身体症状
身体症状としては、自律神経系の障害により、様々な症状があらわれる。最も多いのは睡眠障害で、寝付きが悪い、朝早くめがさめる、眠りが浅い、など。
次いで、食欲低下、性欲の低下という生命活動に関する欲望が低下する。身体がだるい、下痢、便秘、胃腸系の障害もある。腹痛、頭痛、筋肉痛、四肢痛などの痛みもあり、うつ病と知らないで、その方面の医者にかかることも多い。
その他、肩こり、しびれ、めまい、動悸、発汗、口のかわき、胸やけ、息苦しさ、胸の圧迫感、熱感、目のつかれ、食べ物の味がしない、頻尿など多彩な症状がある。
そして、これらの症状は、一日のうちで変動があり、特に朝から午前中に調子の悪い人が多い。
「うつ病の身体症状についてよく知らない身体科の医師には、うつ病患者の心気妄想による身体症状の訴えに翻弄される人がいて、そのために患者が一層不安を増強させていることがある。」
従って、うつ病に詳しい医者にみてもらうことが大切である。
態度・行動
このような症状のために、一般には、外出したくない、人に会いたくない、楽しめていたことが楽しめず好きな事をしない、ボーッと閉じこもって何もしない、出社しない、登校しない、非行に走る、人づきあいが悪くなるなどの行動の変化が見られる。まじめでがんばりやの生徒の成績が急に下がる、まじめでよく働いていた人の仕事の能率がおちてくる。
行動の最大の異常は、自殺行動である。この病気がひどくなると極度のゆううつ感、絶望感により自殺する人がある。これが、この病気のこわいところである。
以上のような症状がある人は、重くならないうちに気がついて、医者にかからなければならない。
(参考書)
- A「うつ病の科学と健康」朝倉書店
- B「うつ病と神経症」主婦の友社
- C「脳と薬物」東京化学同人
- D「うつ病の時代]講談社現代新書
- E「内科医のためのうつ病診療」野村総一郎、医学書院
- F「内科医のための精神症状の見方と対応」宮岡等、医学書院
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