もう一つの仏教学・禅学
新大乗ー本来の仏教を考える会
禅と哲学-エックハルト
禅、仏教との類似性(3)
「 」はエックハルト言葉のそのままの引用である。他の文章で一段さげて太字にしているのは、エックハルトの言葉を要約(または大胆な意訳)して示している。
神の国
キリスト教では神の国というが、死後のことではない。神の国、天国とは何か、エックハルトはこういう。
- 「まことに、神の国は、我ら自身の中にある」(1)
- 「神は実に私自身よりももっと私に近いというべきである」(2)
- 「心正しい人、いい換えれば神が世界そのものとなった人に対しては、神はもっとも世俗的な世間的な仕事の中においても、もっとも神々しい聖なる仕事の中におけると全く同様に光り輝き給い、あからさまなる御姿をあらわし給う。−−−万物において神が現前し給うところの人、すなわち己れの理性を最高の意味において支配し駆使する人のみ真実の平和の何たるかを知り、ほんとうの天国を所有するのである。」(3)
神の国は、すでに、自分の中にあるのであって、死後とか、世界の終末の時などにあるのではない。今、ここ、自分の家庭、職場、どこでも自分のいる場所が神の国である。
悟りを得ると仏となり、すべてが仏の活動となり、この世が極楽となるという禅と同じようなものである。今、現実に神の御姿と天国(両者は同じ)を見るのである。
- 「相等しく信ずる者は相等しきものを受け、相等しきものを所有する」(4)
- 神である人間、その神の中においては、一切平等で、差別がない(5)。
神の国では、平等である。すべての人の中に神の国、平等なる善性を見るのである。根源を無視した差別など認めない。神の国とは、自己の中において見る「離在」である。さらに離在の項を参照して下さい。
(注)
- (1)エックハルト『神の慰めの書』講談社、相原信作訳、293頁。
- (2)同上、294頁。
- (3)同上、34頁。
- (4)同上、76頁。
- (5)同上、146,186頁。
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