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祝! カスタムバックプレート製品化
KENDON バックプレートセット
Simantogawa Designe

LastModified 02/10/14

 

「この地獄を突き破らなければ、俺には明日はやって来ねえんだ!」
(鈴木 清順 監督 「東京流れ者」より)

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とか叫びながら [SL2U7 600MHz Wars]で四苦八苦していたのはもう1年も前の事です。[ケース廃熱の希望][OLGAコアの逆襲] [ペルチェの復讐] と一喜一憂しながら試行錯誤する事で、グラファイトシート等の新素材に巡りあったり、幾つかの工夫をこらす事で、600MHzへ到達した時の喜びは今でも忘れられません。

そのグラファイトシートも2000年3月よりKENDONさんのHPでの頒布が始まり一般の方にも入手が可能となりました。それに加えてこの度、カスタムバックプレートが[KENDONバックプレートセット  Simantogawa Designe]としてリリースされました。今迄もいくつかのContentsでご紹介していましたが、製品化記念という事で改めてまとめてみたいと思います。

Photo by Mr.KENDON


1 カスタムバックプレートとは?

そもそもは[OLGAコアの逆襲] においてP2-450 を石割し、CPUクーラを 田川アルミのTAKA100に交換してもCPUコア脇温度はほとんど下がらなかった事に端を発しています。P2-450 から P3 に至る OLGAコアは面積が非常に狭く、ヒートシンクときちんと密着させる事が困難です。また、市販のCPUクーラの固定方法は以下に示す様に、CPUコア自体ではなく基板に力を加える構造となっています。強固かつ平行に密着させるのは困難で、油断するとCPU基板が撓るばかりです。はっきりいって駄目駄目です。

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TAKA100
2本のプラレールを介してネジ止め
Blizzard
取り付け金具の支柱にバネ止め
P3125
ケースを介してネジ止め

これに対して以下の様に、CPU基板の真裏にチップ抵抗を避ける穴を開けたスペーサを配置し一枚板のプレートで強固にネジ止めする事で、CPU基板に力をかけずコアにのみ加圧して平行密着を図ったのが四万十川カスタムバックプレートシステム(長い^^;)です。

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CPU背面には、カスタムバックプレートを装着して・・・ バックプレートをネジ止めする事で、コア真裏にのみ力をかける。

2 KENDONさんによる製品化

このカスタムバックプレートグラファイトシート、及びOLGAアダプタの組み合わせ効果は絶大で、常に安定したセッティングをもたらしてくれました。気難しいグラファイトシートの効果を発揮させるには最適な方法であり、手前味噌ながらSlotタイプ用CPUクーラの能力を100%発揮させるベストソリューションであると確信しています。最近はこの3種の組み合わせを、四万十川スペシャルと勝手に呼称しています。(爆)

しかし、問題はその製作の手間です。P2, Katmai, Coppermine 用と3世代分製作し、頼まれて友人用にも何セットか作りましたが、その度に電動ドリルとヤスリとの格闘となります。いい加減しんどくなって、KENDONさんに製作して頂けないかとお願いした所、この度の製品化の運びとなった次第です。

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左が四万十川による手作り版。右が製品版です。

一目見ればその仕上がりの美しさは一目瞭然ですね。何より表面の輝きが違います。

製品版では、カスタムスペーサ(下側)とメインプレート(上側)と呼称されています。

私が製作した物はどちらも3mm厚アルミです。製品版では、カスタムスペーサは3mm厚ですが、メインプレートは4mm厚となっています。これは、締め付け時に、3mm厚ではかなりしなるので、なるべく剛性を高める様にとお願いした為です。

それでは、実際に設置してみましょう。

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四万十川手作り版カスタムバックプレート

製品版カスタムスペーサ

製品版はcB0 Coppermineを採寸し、35x38mmの3mm厚アルミに21x24mmのチップ抵抗を避ける穴が開いています。これをテープ等で絶縁処理してCPUコア真裏に設置します。

その上に、メインプレートでしっかりネジ止めします。

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四万十川手作り版バックプレートをAlpha P3125に固定しています。(ペルチェ使用) 製品版メインプレートをP2-400(SL2S7)とArctiCoolerに固定しています。
製品版の方は、取り付けネジを配置できるぎりぎりの大きさまで小さくなっています。四万十川はバックプレートで断熱材を挟み込む形式としていますが、水冷等で限界まで冷やし込む方の場合は、断熱材でメインプレート自体をカバーできる様にとの配慮の為です。

今回は、ネジ穴位置をAthlom用に変更した物も用意されています。

ネジでの固定に際してはかなりしっかり締込みます。まず、滑り止めのビニールテープを巻いたドライバの軸を指で可能な限り均等に締めていきます。そこから先は、ドライバの柄を30度位ずつ対角線状に均等に回していきます。どこまで回すかは難しい所ですが、私はやばい!と思う直前まで締めています。(ま、CPUが窒息しない程度に程々に^^;)

シリコングリスと市販クーラの固定方法の場合、グリスの擦りあわせやセッティングで5℃やそこらは簡単に温度が変化します。かつては、セッティングを5回行ってベストな温度を記録しておき、その後でベストなセッティングを再現できるまでやり直しという非常に手間のかかる方法を行っていました。この四万十川スペシャルを使い出してからは毎回ほぼ一発でベストセッティングを再現できています。

今回の製品仕様は以下の通りとなります。

仕様

P3スロット版 専用セット
Athlon 専用セット

構成部品

1. メインプレート 
2. 回字形カスタムスペーサー
3.取付け用ビス類 真鍮製ビス3種×各4本、ワッシャー4枚
・M3  16mm(ISO)   マルチペルチェプレート又は他社品のヒートシンク等への取付用
・M3  22mm(ISO)  ピラミッドバッファ + マルチペルチェプレート 使用時の取付用
・M3  25mm(ISO)  ピラミッドバッファ → ペルチェ素子 → 他社品のヒートシンク等使用時の取付用

価格(税込)

\2.490

空冷の場合の四万十川のお勧めは、M2.6のネジを用意して、Alpha P3125との組み合わせですね。愛用中です^^;


3 独り言

さて、如何だったでしょうか? \2.490 という価格は高いと思われますか? いやあ、一度あの電動ドリルとヤスリでの整形に格闘した身として言わせて頂ければ安い!と断言してしまうんですがねえ。これでもう、あの格闘の日々とおさらばできると思うと嬉しくてたまりません(爆)

Socketへの移行が進む中、いささか遅きに失した感もないではありませんが、今現在 Slot-CPUで頑張っている方々には必ずメリットがあると確信しています。

今回のKENDONバックプレートセットで、四万十川がCPU固定にやっている工夫は全てKENDONさんの製品でまかなえる事になってしまいました。あの1年前の苦しい日々を思い出すと感無量であると同時に、娘を嫁に出す様で何か悔しいのは何故でしょうね?(笑) いやいや、そんな事ではいかん! 現状に踏みとどまらず、更に切磋琢磨せねばと心に誓う、今日この頃の四万十川だったりします。(爆)

「明日から、努力の人となるのだ。」
(矢作 俊彦著 「複雑な彼女と単純な場所」 あとがきより)

 

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