| 小さな反抗 |
隙間、とふと思う。 桐山と充は、電車を待っていた。 沢山の人で賑わう駅のホーム。 そこで桐山はふと思う。 自分には隙間がある。 桐山は漠然とそう考えていた。 物心がついた頃には、そう、確信していた。 彼はそれを憂いている訳ではなかったのだけれど、そう思うことは多かった。 中学に上がって出会った少年に、予感めいたものを感じた。 直感。 足許が揺らいだ。 手を伸ばして手に入れたら、その少年は彼の中にすっぽりと収まった。 そうして桐山は、自分の隙間について、少し考えてみようと初めて思った。 繰り返し繰り返し。 繰り返し繰り返し。 同じところへ辿り着く問いを、考えた。 『俺の中はさ、ボスでいっぱいなんだよ』 いつかの、充の言葉。 それならお前の隙間には、俺が居ると言うことなのだろうか。 相変わらず俺は隙間だらけだ。 埋まると、思っていた。 あの予感は一体何? 埋めてくれるのじゃ、なかったのか? 足許が揺らいだ。 駅のホーム。 アナウンスが流れて、電車がホームに滑り込んでくる。 開いたドアから人の波が押し寄せる。 その喧騒に逆い、桐山と充は動かずじっと立っていた。 充の腕が、するりと桐山の腕に絡まる。 桐山の手首の内側に指先をあてながら、充は呟いた。 『手、繋いでもいい?』 遠慮がちに訊いてきたその言葉を、桐山はざわめきと共に押し流し、聞こえなかった振りをした。 「桐山酷ぇ・・・」と思うでしょう?いいんですそれで。桐山は酷い人間ですから。 でもこれは、私なりに考えた桐山の愛情表現のつもり。 私にとって、桐山を動かすのは、良い意味でも悪い意味でも充ただひとり、なのです。 |
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