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16 アマゾンのカネロ

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先週書いたナマズ“ブランキーニョ”と並んでアマゾンで最も釣れたのが“カネロ”と呼ばれる気色悪い魚だった。イカダを流し初めて2日めにこいつが釣れた時には本当驚いた。深海魚のように退化した目。目と目の間に開いている鼻の穴。長い間釣りをやってきたけどこんな魚は見たことない。とりあえず僕らはこいつを“アマゾンのサメ”と命名した。

僕は基本的に釣った魚は食べることにしているので気色悪かったけどサメも料理してみた。しかしいくらなんでも刺身は怖いのでムニエル風にやってみるとこれが案外いける。イカダで生活していくのに食料は現地で手に入れる必要があったので、サメがウマイというのは思わぬ拾い物だった。

それから毎日のようにブランキーニョとサメは釣れた。それで分かったのだがこいつはブランキーニョと同様にそのマヌケなツラからは想像もできないほどに獰猛なのだ。その入れ歯を外したあとのような口でどうやってかぶりつくのか分からないが、ともかくやたら攻撃的だし共食いもする。もうひとつ驚いたことは直射日光に当てておくと短時間で身が溶けるという妖怪みたいな特徴も持っていた。

ある日いつものようにサメを料理してると地元の漁師がカヌーで遊びに来たので、料理しかけたサメを見せて「これなんて名前?」と聞くと、漁師は呆れたという顔をして「お前らなんていう物食ってんだ、カネロは水死した人の死体とかでも食う魚だぞ、頼むからそんな気持ち悪い事するな!」と言われてしまった。味は悪くないけど、そんな事言われるとさすがにそれ以後食う気になれず、カネロはメニューから消えた。

それから2ヶ月後、ピラニヤより危険と言われているアマゾン最強の猛魚カンジェロが釣れた。正体はわずか5センチほどのドジョウなのだが、その実力はまさに噂にたがわずで、カンジェロのいる場所で20センチぐらいの魚を釣針にかけて沈めると本当にわずか数秒で完全な白骨にされるほどだった。地元の人の話ではカネロはカンジェロの親戚みたいな魚らしい。なんか、なるほどと納得してしまった。“カネロ”!なかなかどうして侮れないヤツだ。fish.gif (239 バイト)

 

 

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