現代文化学部の4年生は今頃、卒業研究のまとめに励んでいる頃だろうか。

各学生の論文の進め方を見ていると、様々な個性が見える。やりたいことがすぐに見つかる人、「やりたい」より「できること」でテーマを探す人、じっくりと悩んで決める人。各自の生き方が現れているのかなと思う反面、論文の進め方ひとつで人生を決めつけられるのも迷惑だろうなと思い直したりもする。

授業で得た知識はいつか記憶から消えてなくなる。だが、自分でテーマを決め、調べ、考え、まとめて表現することは、何らかの形で自分に消えない跡を残す。特に重要なのは調べ「方」、考え「方」という、「わざ」に属する面だろう。「生きる力」という言葉をあえて使うならば、それを大学で身につける上で、卒業研究は重要な機会になるはずだ。

大学教員にとって、論文を書くことは実は大きな楽しみだ。苦しくないといえばウソになるが、苦しみが大きいほど、それを超える楽しさが味わえる。その楽しみを学生諸氏にも味わってほしいというのが私の一番の願いだ。

(現代文化学部助教授 本多啓)


『駿河台大学ニュース』96号 (2004/10/22)


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