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ようこそ
更新年月日 04.3.15
まえがき

第一章
日本の道徳


第二章
教育の変遷


第三章
世界の宗教と道徳


第四章
修行のすすめ


あとがき

楽譜

参考文献
Summary
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まえがき      Topページ

 日本は戦後、物質的には豊かになったけれども、精神的には逆に荒廃の一途をたどっているように思います。その原因として、戦後の米国主導型の義務教育に思わぬ欠陥がありそうな気がします。戦後約50年が経過して、21世紀になりました。これを機会に、もう一度日本の道徳について、色々な角度から見直す必要があると思います。
 数千年という長い諸外国の歴史を見ると、数多くの戦争がありました。勝った国、負けた国さまざまですが、しかし日本のように敗戦により、道徳的価値観を根こそぎ破壊された国はめずらしいのではないでしょうか。しかもこのまま進行すれば学級崩壊は蔓延し、道徳回復の目標、方向性を見失って、更に荒廃してゆくような気がします。つまり、なんとなく「これではいけないのではないだろうか」、「なんとかしなければならないような気がする」と多くの人々は思っているはずです。昔の教育勅語にも部分的に良いことが書いてあると、ある政治家がいいました。しかしそういっただけで進歩的文化人、著名人のような人々からこぞって冷笑されるような状態です。終戦直後、教育勅語から忠君愛国、富国強兵、軍国主義的要素を抜いた教育基本方針として種々の試案はあったようですが、結局のところ陽の目を見たものはなかったようです。
 欧米の道徳教育の基本はキリスト教です。幼少からキリスト教によって「しつけ」が行われ、もの心つくまでに厳しくしつけられているそうです。これに対して日本では本来、幼児の「しつけ」は甘いけれども、成長するにつれて昔は社会的に厳しく仕込むといわれていました。
 ところが日本の現在のしつけは、幼児期も甘く、14〜17歳くらいになって体力がついてくると手がつけられず、すぐにキレて暴力行為、挙句の果ては殺人に至るのではないでしょうか。
 昔から「子供は親の背中を見て育つ」といわれています。戦後のベビーブームの団塊の世代が間もなく、60歳の還暦を迎えようとしています。現在のおとなたちは本当に子供たちの模範となるような道徳観をもち、実践しているかといえば、残念ながらそうではないようです。小中学校の道徳教育だけを強化すれば、事足りるというような生易しい問題ではないようです。
 幸いにして、全国的に「生涯学習」が盛んに行われています。その一部として「生涯修行」を取り上げてみてはいかがでしょうか。幼児の「しつけ」でスタートした道徳の修得は中学校を卒業すれば終了するものではありません。青少年、成年、中高年からその生涯を終わるまで、人格の向上につとめるのが、人の道ではないでしょうか。

 数千年前は「生めよ、増やす、地に満てよ」といわれていたようです。しかし1952年に25億人、1997年には56億人と急激に、脅威的に地球上の人口が増加しつつあります。このまま人口増加が進行し、緑地の砂漠化が進行すれば、民族紛争をはじめとして、恐ろしい生存競争が激化するのは火を見るよりも明らかでしょう。
 人類は宇宙船地球号の乗組員のように肩寄せ合って生きてゆかなければなりません。
 キリスト教徒もユダヤ教徒もイスラム教徒もいます。仏教徒もいます。儒教を重んじる人々もいます。その他多数の人々がいます。そのような人々が唯一つの宇宙船地球号に乗り込んでいます。
 これからは、各宗教にベースを置きながらも、共通のモラル、共通の道徳をつくりあげて、相互に尊重し合う、こころ豊かな、住みよい社会にしてゆきたいと念願しています。