真珠の涙






赤の月が 沈む、沈んでいく

独り寂しい、孤高の月が
紅く滲んで 落ちていく
幾とて待てど、昇ってこない
青の月は、どこだろう
今、どこにあるのだろう



今宵はさくぼうの月
同じ想いを持つ者が
出会うことさえ、赦されぬ

願うことは愚かでしょうか?
祈りは天へと届くでしょうか?
誰よりも早く、姿を見せて
私にだけに 微笑んで

あなたが傍にいるだけで
他には何も、いらないの…





赤の月よ。お願い。このまま沈まないで
もうすぐ青の月が昇ってくるのだから…

青の月よ。早く早く、昇ってきて
赤の月が沈んでしまうのだから…

ああ、月よりも蒼い、あの瞳
あなたは どこに いるのだろう?

私の見る夢、たったの一つ
月が交わる、その夜に
あなたの温かな、腕の中
瞳を閉じて、眠りにつくの





夜空の果ての、黒曜くろの瞳
星の瞬き 輝石の光
溢れ出てきた 七つの涙

キミの涙は、真珠の涙

あなたの指先 頬に触れ
優しい瞳が、そう語る



真珠の涙は悲壮の涙
零れた涙の数の夜
月が巡って、落ちる夜

心に入った傷みを包み
切ない想いで大きく膨らむ
静かに耐えゆく、虹色涙は
儚い運命の 真珠の涙



私が作った真珠の涙
そんな涙は いらないの……