ボランテイア活動の義務化について
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教育改革の一環として、ボランテイア活動を義務付けようとの意見が出ているようです。作家の曾野綾子さんなどがその提唱者のようです。私はこの意見は不自然でボランイアの趣旨を曲げてしまうものだと思います。ボランテイアとは「自主的な」という意味の言葉でもあり、何か無理が感じられるのです。私もこれまで小さいながらそのような活動を少しばかりしてきましたし、教え子に協力をしてもらったこともありましたが、公務員が行うボランテイアと私のような民間人が個人で行う活動とでは扱いが非常に異なっています。

私は海外で日本語を指導している人(日本政府の費用で海外に派遣されている)に日本の新聞に織り込まれてくる広告のビラなどを送ったりしていました。日本と海外の国との間での物価比較などを行う上での教材になるのです。しかし教材はただで手に入るものですが運賃が馬鹿にならないのです。船便で送っても段ボール箱だと結構の値段になってしまいます。

私は春の確定申告の際に再三この運賃を必要経費として認めてもらえないものかと申し出ていましたが、市の職員が相手になってくれるときには認めてもらえるのですが、運悪く相手が税務署の職員の場合には一度たりとそれを認めてもらうことがこれまでできませんでした。

公務員のボランテイアの制度が作られた折りには、その活動は有給だとされていたはずです。そのため私は税務署の職員の人に「あなた達の活動は有給なのだから、私は自分の人件費は要求しないから輸送にかかる実費だけを免除してもらえないか」と申し出たのですが、「我々には実費はでないから」と取り合おうとはしませんでした。

この件に関してはE-mailで大蔵省にも質問したのですが、残念ながら返事をもらえずに今まですぎています。

一般の国民にはボランテイア(奉仕)活動を義務化しようとする意見が出てきている中で、そのような活動の面までにも官民格差が存在するというのはどうかと思います。

税務署の職員が私の申し出を認めない理由としては「事業と関係のない費用だから」というものを持ち出してきます。では税務署の職員の人たちがもしタンカー事故の原油流出の除去などのボランテイア活動に出かけたとして、清掃局でもない税務署の日常業務とそれがどのような関係があるというのでしょうか。でもそのような活動は日常的な業務と関係があるなしに関わらず有意義だからこそボランテイア活動として評価されるはずです。また意義があるからこそ教育改革国民会議のような場所で若者達にそのような活動を義務付けようともするのだと思います。

私は公務員の方たちがボランテイア活動に参加されることには大賛成です。国民に自ら範をたれるという意味でも公務員の方たちが積極的にボランテイア活動をされることは非常によいことだとも思います。しかしその方達が行っている活動は、同じような活動でも他の民間人が行っているよりも遙かに優遇された立場で行っているにすぎないのだと言うことを自覚してもらいたいと思います。そうでなければかつての軍国主義時代の日本の「滅私奉公」という言葉が「ボランテイア」という言葉に変わっただけになってしまうからです。軍国主義時代の「滅私奉公」というものの反動で戦後は「滅公奉私」といえるような状況にもなりました。不必要な公共事業を行うことで、あるいは将来の日本にとって重要となるであろうものに対する社会的な先行投資ではなく、単に当面の雇用を維持せんがためにあまり重要でもない公共事業に投資することによって、国や地方の財政は多額の赤字を抱える状況が生まれ出ています。この財政赤字はいずれ国民や住民が穴埋めせざるを得ないものですが、そのために国民や住民は再び「滅私奉公」を迫られることも考えられます。しかしどのような理由においてもボランテイアのような場面にまで官民の格差を付けることは、それこそ教育上好ましいものではないと思うのですが,どうでしょうか。多くの人が「それなら俺(私)も汗をかいてみようか」と思えるような、納得のゆく雰囲気というものは条件として必要だと思うからです。ボランテイアなどの活動をすればするほど、そしてそのような活動が社会の中でどのような位置付けになっているのかを知れば知るほど、そのような活動をすること自体が活動している人間にとっては馬鹿々々しく思えてくるような社会の仕組みは変えるべきだと思います。そして奉仕活動を義務として奉仕活動をするようにとの召集令状が国民の下へ国から送りつけられてきたり、それを拒否した人が非国民扱いされるような時代がこないことを願っています。

 

 

 

曾野綾子



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