再び朝がやってきた。今日は仕事の日、ブライアンはいつものように

支度をして、仕事に向かっていった。仕事はいつものような感じだ。

今日はシボレーブレイザーの修理とアストンマーチンDB7の修理

をしたブライアンは、8時に仕事を終え9時に家についていた。

家に帰ると、早速作業着から普段着に着替え、シビックに乗り首都高

を出た。

いつものように環状線を徘徊すると、一台の車がこちらに近づいてき

たのだ。恐らく車種はニッサンフェアレディZだ。最新型のZ33をカリカ

リにチューンしてあるのが分かった。

バトルする気もあったが、ガソリン不足だったので前を譲った。すると

直線の猛烈な加速でブライアンのシビックを止まっている車の如く抜き

去った…。

(なんだよあれ?最新型とはいえ相当チューンしてあるぞ)

今日は集まりがないので、一人走っていたブライアン。とりあえずガソリ

ンスタンドのあるSAに停まろうとしていた。だが、近くになかったので、

しょうもなく首都高を降りてインター近くのスタンドでガソリンを補充する

ことにした。ここのスタンドはセルフのようで、ブライアンは自分でプレミ

アムガソリンを補充した。これに呉パワーブースターを加えて、馬力UP

を図った。そのとき、一台の走り屋の車かと思われる車がスタンドに入

ってきた。車種はスポコン野郎に人気のエクリプスの旧型だった。相当

カリカリにチューンされているのが分かった。そして、ドアが開いた瞬間

ブライアンに何かビリビリと感じるものがあった…。

(ふざけるなよ…、どういうことだ!?なんでビリ!と感じるんだ?)

中から降りてきたのはルックスも普通な男だった。特にオーラを感じる

わけでもないのに、ブライアンは彼の何かを感じ取っていた。

ブライアンは給油を終えると、再び首都高に戻った。だが、あのエクリ

プスのドライバーは一体…?


ブライアンは3周の練習走行を終えた後、帰路についたが、その頃に

首都高ではとんでもない事が起きていたのだ…。

一台のS2000が激しくGT-Rに挑発していた…。そう、過去此処に君臨

していたかの「迅帝」にハヤブサがパッシングしてバトルを申しこんだ

のだ。そして、ハヤブサのS2000のリアにはこんな文字が書かれていた。

「Tuned by Hudson」

Hudson…?そうこのハドソンという文字が刻まれたマシンはそのマシン

の本来の姿ではなくなるといわれている…。

ハドソンといえば過去存在していた自動車メーカーハドソン社(1958年

にAMC社の傘下に)にゲームメーカーのハドソンが有名だが、このハドソン

はチューンショップの名前で、主に超高回転エンジンの製作を担っている。

今までで最高傑作と言われたデモカーのインテグラタイプRの回転数は1700

0回転にも及ぶ超高回転エンジンを搭載し、あらゆるターボ車を苦しめたのも

記憶に新しい。一切ターボ車を受け付けないショップでも有名だ。そんなハドソン

だが、ある一基のF1エンジンを所有していると噂されているのだ。かの有名な

ホンダRAE002に、何処で手に入れたのか不明であるフェラーリF2002、既に

RAE002はある車に現在搭載されていると噂されているが、真相は分からない。

そんなハドソンと一位二位を争うショップがあった。ショップ名は「春山総研」、名前

からして明らかに走り屋ショップに見えないが、実はターボ車のチューンで有名で、

常に湾岸野朗には支持されていたマシン作りをしていたのだ。自作のターボチャー

ジャーは抜群の耐久性に信頼性で多くの走り屋が買い求め、いつのまにか春山ター

ボが定着化したのだ。リサも春山ターボを使用している。同じターボチューンが施され

ているブライアンのシビックは春山ターボを使用せず、IHI製のインプ用ターボを流用

したみたいだ。

そして迅帝もそんな春山ターボを愛車に搭載している一人である。春山ターボでなけ

れば激しい迅帝の走りについていけないのだ。そう、迅帝VSハヤブサの対決は、

春山総研VSハドソンの争いでもあるのだ…。

いつものカウントが開始された。

「3,2,1,GO!」

バトル開始!最初に飛び出したのは勿論迅帝のGT−Rだ。1200馬力以上のRB2

6が唸りを上げる!しかし、コーナーで追い詰めていく形のハヤブサも負けてはいない。

むしろさらに追いついていくような感じだ。480馬力、16000回転のエンジンは1200

馬力ものGT-Rを追い詰めていく…。そしてその後迅帝の思いがけないミスによって、

勝敗は決まった。ハヤブサが30秒で決めたバトル、もはや迅帝など敵ではないという

走りに迅帝自身も感じていた…。もはやGT-Rには手が出ない…。

その後ハヤブサはどこかへ消えてしまった。迅帝も何処へ行ったのかは不明である。

これにより、自動的に迅帝の権力がなくなったということが証明された…。残る道は

ワンダラーとしての活動のみ…。その後迅帝は引退を表明した。あのGT-Rも売り、すっ

かり普通の社会人に変貌したのだ。引退した理由は「世代交代」のせいだという。そう、

着実に首都高は変わりつつあるのだ…。そしてその世代交代の中でも最も今後有力

な奴等の名前が「ブライアン」、「ジョニー」、「ドミニク」。そう、どれも外国人…。外国人

勢力が今後は恐ろしくなると旧来の走り屋は語る…。

ドミニクの愛車「エレノア」が今日も新環状を走る。その抜群の走りは何と片手運転で

こなしているのだ。最大馬力820馬力以上…、ゼロヨンタイムはなんと9秒弱…、そして

0−100km加速は僅か3秒…。アクセル全開にするとフロントタイヤが浮き上がる

というほどだ。彼が率いるチーム「亜米利加遊戯族」は主にアメリカ人が多くメンバーと

なっているチームだ。その中でもリーダーのドミニクは圧倒的な強さで有名だ。マシンは

通称「エレノア」と言われているシェルビーGT500、だがかの有名な「エレノア」はGT

350をベースにされたものだ…。そう、ドミニクの「エレノア」は某映画に出たものとは全

く違うものなのだ…。内装に「快適装備」という文字が一つもないほど取り除かれている

あらゆる装備達…、だがオーディオだけはCDのを後付けだそうだ。常にハイスピードな曲を

聴き自分自身を高める為だという。彼が聴いている曲はさまざまだ。TVゲームのサン

トラが多いが、彼はゲームをほとんどしない。2.6というとてつもなくいい視力を守る為だ。

その中でもよく聴いているのがソニックアドベンチャー2のサントラだ。だが、あくまでいつも

必ず聴くのは「DARK SIDE」と呼ばれるCDのほうだけ。自分自身ソニックのようにスピー

ドに慣れるためも理由らしい。それもそのはず、ソニックというゲーム自体がとてもハイスピ

ードかつスリリングなゲームで、音楽だってイージーリスニングでは全く盛り上がらないとい

うわけなのだ。正にハイスピードでスリリングなバトルを求めるドミニクに最適なBGMなの

だ。そして、今日もまた一人チームから外れて獲物を探す…。

ドミニクが獲物を見つけたようだ、早速準備態勢に入る。それに気づいた相手は、丁度彼女

を乗せて首都高を徘徊しているときだった。そう、かの有名なナンパ師「マスターポジション」

だ。

(これはいいアピールになるぞぉ〜!ようし、引き受けた!ボクのBMWについてこれるかな?)

この直後、マスターポジションは悪夢を見ることになるとは…。

そして、彼は隣に座っていた女性に調子のいいことを言ってしまった。

「あのボロ車南下に負けるわけがないんだよ、ボクのBMはね」

「まー素敵☆」

「ボクの走りを見ているがいいぜBABY〜☆♪」

その直後、カウントが終った瞬間…!?

ドミニクの車があっという間に遥か前方に消えてしまったのだ…。

コーナーで追いつこうとするも全く無駄なレジスタンスに過ぎない。既に1km前方に移動してしま

ったドミニクのエレノアをもはや誰も止めることは出来ない。そして僅か20秒後。全ては決まった。

ドミニク圧勝完全勝利だった。マスターポジションは開いた口がふさがらない状態になった…。

その後、マスターポジションは放心状態になり、彼女を降ろし一人嘆いていたという…。

僅か20秒の快速技…、かつてこれ程まで凄い奴がいたとは誰も思っていないだろう…。

そしてドミニクは環状線での最速ラップを非公認で更新した。ジョニーが出したタイムよりなんと14

秒以上速いタイムを軽く出してしまう…。今のもほとんど遊び程度で、本気を出したときはF1レー

サーにだって負けないといわれている。

首都高はまさに世代交代の時期を迎えようとしていた…、人がじゃない…、車がだ…。

シビック、インテグラ、アコード、ホンダ勢に追いつくように競うシビック包囲網と言われているハチロ

ク最強軍団…、もはやGT-Rが手を出せる時代じゃない事を示唆させていた…。


丁度ドミニクがバトルをしている頃、例のシビックが再び首都高でテストをしているとの情報を聞き

つけた関係者達が一斉に大黒PAに集まった。新たに改良されたRAE002スペック2β、ハドソンに

よる改良でさらに21000回転のスペシャルエンジンに仕上がった。さらにシェルビー427もハドソン

により改良され、馬力が800馬力にまで到達した。RAE002スペック2βの詳細なデータが公開さ

れらなかったのが関係者にとって一番辛い部分だったろうが、それでも実力を目の当たりにできる

とあって反響は大きかった。

そして…ついにシビックが首都高入りした。ドライバーは第四テストドライバーの「サックス」、実力

派のレーサーだ。そして横羽入りしたとき…、その速さはものすごいものとなった。関係者が待ち

伏せして撮影しようとしていたようだったが、全くシャッターが合わずぶれるだけだったのだ。

さらにシビックは加速していき、ついに横羽での最高速度記録を破り、なんと390kmを叩きだした

のだ。横羽でこれほどまでの最高速度をたたき出したのはプロジェクトリーダーであり、現走り屋で

あるジョーの兄、ブライアンが出した記録のみ。

そして、とうとう環状線入りしたシビックは、その後さらにコーナリングでのパフォーマンスを見せ

付ける、だがドミニクのタイムには到底及ばないものだった。そう、彼のタイムより2秒も遅れている

のだ。これではハナシにならない。

その後公開テストは無事終わり、ブラックボックスも詳細なデータを残しているようだった。だが、

ドミニクのタイムに及ばないのでは公開テストにした意味がない。ジョーも渋い顔でいた。

そして朝を迎える事となった。テストは5時までに打ち切られ、警察もようやくシビックが走ったとこ

ろの規制を解除した。

そして、この日シンジのインテグラがリニューアルする…。