R軍団のマイケルとレガシイに乗っていた男とが何かを喋っていた。
「マイケルといったな」
「ああ」
「これからは「負け犬マイケルだ」
「てめえ、調子こいてるんじゃねえぞ、まだここらには沢山速いやつらが集結しているんだ
からな」
「ほう、負け犬の遠吠えか」
「てめえ、ちょっと俺に勝った位で(怒)」
「お前に勝った位で喜ぶバカはいないな」
「おい!、さっさと帰れよ、もう用は済んだだろ?」
「済んだだと?笑えるこというじゃねえかよ」
「てめえそれ以上言ってみろ、その顔と車スクラップ状にしてやるぞ!」
と、911に乗っていたやつが、
「なあロッド、これ以上不要なテンション作るな」
「すまねえジャック」
と、ジャックがこちらにやってきた。
「君たちはギャラリーか?」
「さあな、あんたらに関係ないだろ」
「これは君の車か?」
「そうだ、シビックタイプRだ。ホンダのB16A搭載、ターボにNOSの代物だ」
「典型的なスポコン仕様か、よく見かけるようになったもんだ」
「で、どういう用件で来た訳なんだよ?」
「今度交流戦でもどうかと思って」
「ほう、そのポルシェでか?」
「ああ、なんならもっと遅い車でもいいんだがな」
「ポルシェでいいよ、あんたの腕がハンデになると思うからな」
と、そこにロッドが口を挟んできた。
「おい、てめえ今なんて言った?」
「ん?腕がハンデになるからポルシェのままでいいって言ったんだ」
「ほう、今のうちだぞ、そんな口聞けるのは」
「いいか、大体シビックとポルシェがやりあうことがおかしいと思わないのか?」
「は?レガシイよかは速いだろう」
「そのシビックがか?笑えるじゃねえかよ」
「ああ、あんたのレガシイは速いかもな。だがあんたの腕はカメに違いない」
「この野朗!」
「なに本気になってやがる、本当のことだからムキなってるんだろ?」
「それ以上ほざくと痛い目にあわせるぞ!」
と、ジャックが怒った口調で、
「おい、ロッド」
「こいつ、こいつがジャック、お前の事を侮辱したんだぞ」
「てめえが余計なこと言うからだ!」
「すまねえ」
ジャックが今度はブライアンに向けて、
「すまねえな」
「ああ」
「こいつはすぐ熱くなるやつでな。ついでに口が悪い」
「そうだと思った」
「今度また逢おう」
「おう」
そう言い残すと、ボクシングの連中は駐車場を出て行った。
ブライアンはジョニーに話し掛けた。
「あのロッドってやつ、どういうやつなんだ?」
「ロッドってやつは前から評判悪いんだ。性格といい、もう人間じゃないって」
「だと思った。あのジャックってやつは?」
「彼は理論派で、冷静なやつだ。落ち着いた走り、だがそれでも決して地味ではない」
「なるほど。だけどロッドってやつとはやりたくないな」
「正直私もそうだ。だが、引き受けてくれる人もいないだろうし」
「そうだな、ああいうやつだし。何しでかすことやら…」
「あのボクシングってチームは最近結成されたチームで、名前の通り全てボクサーエンジン
の車で構成されているんだ」
「ほう、ラリーオタクの集まりか」
「そうなるな、チームメンバー全員がラリーの経験ありなんだ」
「ダートトライアルとかか?」
「ああ、それ以外にもジムカーナなんかのプロのやつもいる」
「冗談じゃねえぜ」
「あのロッドってやつはラリー以外にもアウトバーンで昔よく走っていたらしい」
「アウトバーンか、俺もたまにバイクで飛ばしてたな」
「そうか、君はバイクから転向してきたのか」
「ああ、マン島でよく仲間と走ってた、マン島はきついぜ!俺なんか一回クラッシュして死に
そうになったときあったからな。仲間も皆そうだった」
「なら、ジャックは君の担当だ、2輪の経験者が4輪乗るとメッポウ凄いからな」
「ようし、ならジョニーがあのロッドってやつだな」
「そうなるかもな」
「いや、俺があのロッドってやつを撃墜する」
「危険だぞ」
「いや、バイクよかは安全だ」
「それはそうだが、やつとバトルして無傷なやつはいないんだ」
「上等じゃねえか、シビックを馬鹿にされたんだからな、ホンダのど根性ってやつ見せてや
るのにいい機会だ」
「なるほどな。意外にすぐ熱くなる方なんだな、君は」
「そうだ。だからよくイギリス人に見られないんだよな」
「それもそうだろう。だが本当に気をつけろよ」
「ああ、あんたもな」
「おっと、もうこんな時間だ」
「どうだ?3時っていったらゴールデンタイムだぜ」
「…いいだろう」
「ようし、エンジン掛けろよ!」
「おう、軽いウォームアップ走行だ!」
「いや、全開で行こうぜ!」
「待て、誰か来たぞ」
「ん?」
「あの車…、まさかあいつか?」
「誰だよ?」
「タクシー…」
「なんだ、タクシーかよ」
「いや、だったらあんなデカいウイング付けるか?」
「ん、言われてみれば…」
「思い出したぞ!「Mr.HELL CAB」こと、マイクだ!」
「マイク?」
「L.Aで有名中の有名な人だ」
「どういうこと?」
「改造した日本風のセドリックタクシーで、多くのストリートレーサーを蹴散らしてきたんだ」
「セドリック?あのY34のセドリックでか?」
「ああ」
「おいおい、冗談だろ?」
「いや、本当の話だ。もう来るぞ」
「本当だ、こっちに来るぞ」
セドリックのタクシーがこちらに向かってきた。そして、運転席から一人の男が降りてきた。
彼こそ、マイクだ。
「いやあ、ジョニー、ひさしぶりじゃないか」
「元気してるか?」
「ああ、そっちこそどうだ?」
「もちろんビンビンだ」
「そのハチロクレビン2JZスワップの調子はどうだ?」
「相変わらずだ。そっちのウイング付きタクシーは?」
「おつりが来るほど調子が良すぎる」
と、その間に割って入るかのようにブライアンが、
「なああんた、俺と勝負してみないか?そのタクシーで」
「ほう、シビックか、ジョニーのハチロクに対抗でもしてるのか?」
「いや、ホンダのB16Aに乗りたくて買った」
「ほう、テンロクか」
「ああ」
「ようし、ジョニーと君と俺の3人で勝負だ」
「どういう勝負だよ?」
「そっちが二人でスピリットポイントを持つ。どちらかが無くなったら、その場で二人とも負け
で、俺のSPがなくなったら二人の勝ち、どうだ?アドレナリン出すためになんかかけるか?」
「賭けるってか?L.A流のやり方だろ、ようし、ならここに現玉があるから、これを賭ける」
「幾らだ?」
「ざっと4万円だ」
「なら、こっちも同じ額にさせてもらう」
「ようし、ジョニー、負けるなよ。もし負けたらあんたに金弁償してもらうからな」
「おいおい、だったら賭けないでくれよ」
「いいだろ?」
「しょうがないな、さあ、車に乗って始めるぞ!」
ジョニーの掛け声とともに3人は一斉に車に乗った。そして、駐車場を後にした。
いよいよバトルが開始される。いつものカウントがスタート、
「3,2,1,GO!」
スタート!一斉に3台がアクセルを踏み込んだ。
まず最初に飛び出したのがジョニー、その後ろを付けるかのようにマイクが、そして最後にブ
ライアンという形になった。
ここ八重洲線は、まさにコーナー勝負の場所だ。中低速のコーナーが続く、首都高の中で最
もコーナーのRがキツイところでもある。ここだとさすがにブライアンもドリフト走行をしない。一
般車は少ないが、コース幅が狭いからだ。
そして、この後とんでもないマシンがやってくる…。
とんでもないマシン?何のことなのか?第17部に続く!